■酒季の歌 / 梶芽衣子 (ポリドール)
晩秋からの季節、いよいよ喜怒哀楽に事寄せた宴会が増えてくるのも、また日本の風物詩のひとつと思いますが、もちろん「酒」には銘柄以上に飲む人それぞれの気分が千差万別でしょう。
ですから、古今東西、「酒」にまつわる歌はヒットする確率が高いのは納得するしかなく、殊更我が国の歌謡曲には名曲名唱、そして隠れた裏名曲がどっさりある事は言わずもがな、梶芽衣子が昭和55(1980)年に出した本日掲載のシングル盤A面曲「酒季も歌」の、なかなか味わい深い仕上がりも忘れ難いところです。
なにしろ作詞:菅野さほ子&作曲:新井利昌が提供したのは、ほとんど正統派演歌節であり、ちょい聞きには曲タイトル共々に小林幸子っぽいフィーリングが滲むほど!?
しかし、流石は梶芽衣子!
持ち前の細くて鋭い声質を活かしたシャープなコブシ回しは独特の個性となって結実し、特に高音部における、せつなさとやるせなさが強く表現されるところなどは、何度聴いてもゾクゾクさせられるんですねぇ~~♪
これは京建輔が施した正統派にしてモダンな演歌アレンジが効いている成果と思えば、梶芽衣子の歌手としての魅力が上手い具合に引き出されたものと思います。
ちなみに当時の梶芽衣子は、このシングル曲「酒季の歌」をメインに、「酒」と関連する様々な名曲カバーを入れたLPを出していて、サイケおやじもリアルタイムで入手していたんですが、友人に懇願されて前世紀末に譲ってしまったのが運の尽き!?
今となっては、なかなか状態の良いブツとの出会いが無く、未練がつのるばかりです。
う~ん、CD化されているのかなぁ~~~。
ということで、体質的に心底酒に酔うということがないサイケおやじではありますが、酒を飲む雰囲気というのは決して嫌いではありません。
ましてや、そんなこんなの歌の魅力こそが、酔わされる癒しになっているのでした。