■雨の日のひとりごと / 八神純子 (キャニオン)
冷たい雨が降り続き、急激に寒くなりましたが、皆様は如何お過ごしでしょうか。
そこで本日は雨がテーマの歌謡ボサノバということで、八神純子が昭和49(1974)年末に出した実質的なデビューシングル曲「雨の日のひとりごと」であります。
もちろん作詞作曲は八神純子で、ヤマハ主催の通称ポプコン第8回の優秀曲賞を獲得したほど出来栄えは、なんとっ!
彼女が16歳にして作り上げた初々しい名曲♪♪~♪
なにしろイントロから軽快なボサノバのリズムが気持ち良く、フルート、アコースティックギター、ピアノ、そしてちょっぴりドラマチックなストリングスを伴奏に歌われるメロディの穏やかなせつなさとでも申しましょうか、八神純子が持ち前のハートフルなハイトーンボイスで自作自演の強みを活かしきった節回しを聴かせてくれるんですから、たまりませんねぇ~~~♪
特にサビでの思いつめた表現には、未だピュアハートな彼女を感じてしまいますよ♪♪~♪
このあたりは萩田光雄のアレンジとの相性も良かったと思われますが、実はこの「雨の日のひとりごと」は純然たるオリジナルのシングルバージョンですから、要注意!
というのも、皆様ご存じのとおり、八神純子が本格的にプロデビューしたのは昭和53(1978)年、二十歳になって発表した「思い出は美しすぎて」のスマッシュヒットからですので、同時期に制作された同名LPのA面ド頭に入れられたのは、大村雅朗のアレンジによる別バージョンであり、ピアノをメインに伴奏された、幾分ゆるやかな仕上がりになっているのは、好き嫌いが分かれるところと思います。
それは、このシングルバージョンに感じられた、ある種の意気込みというか、情熱みたいなものが、アルバムバージョンでは、幾分内省的に表現された感じでしょうか、その感性の違いは、つまり彼女の年齢的な成熟と書いてしまえば、贔屓の引き倒しかもしれません。
ですから、なかなか面白く聴ける楽曲でありまして、サイケおやじは両バージョン共に好きなんですが、とりあえず本日はシングルバージョンのご紹介というわけです。
ちなみに当然ながら、今日では両バージョンともにCD化されておりますが、個人的にはデジタル化されたシングルバージョンが「線の細さ」というか、なんとなく痩せたサウンドに聞こえてしまうことから、サビで特徴的なハイトーンボイスのパートに歪みを感じてしまうので、結局は温もりがあるアナログのシングル盤を聴いてしまうのですが、いかがなものでしょう。
ということで、本来なれば歌謡ボサノバは夏の日の必需品とはいえ、こんな冷たい雨の日にも、案外と良い相性を覚えてしまいます。
う~ん、まさに雨の日のひとりごと……、でした。