Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

直木賞 @ オール読物 9 月号

2016-09-15 08:37:16 | 読書
萩原浩「海の見える喫茶店」を目当てに買った.受賞作は短編集で,もう単行本が出ているが,雑誌収録は3作.

表題作は,若い客に対する年老いた理髪店主の独白,最後にふたりの関係が明らかになるあたりは,平成の人情噺.
「いつか来た道」は,今はひとり暮らしの,厳しかった母を訪ねたら認知症だったという,よくある話.ただしわれわれの世代の立場は,娘側だったり母側だったりするから,読後感は微妙.
「成人式」では,交通事故死した娘の歳を 今年ではたち...と数えていた夫婦が,一念発起,若づくり (仮装?) して成人式に出席する.3作中ではいちばん僕好み.でも招待状対策をしていなかった手ぬかりはちょっと変だ.

審査員は異口同音にベテランの作品と称賛していた.ただしこの号に掲載された自伝エッセイで,著者は「確かに年齢に不足はないのだけれど,専業作家歴はまだ 13 年....」と言っている.エッセイによれば「うちの奥さん」との関係は良好らしい.
他にも,渡辺謙,北川次郎,和田豊などの関連記事があり,萩原浩ファンには永久保存の価値がありそう.

ちなみに今回の他の賞候補者は,伊東潤,門井慶喜,原田マハ,湊かなえ,米澤穂信.僕ならこの中では門井か米澤に一票.
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