Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

無言館 遺された絵画展

2017-10-30 08:06:31 | お絵かき
呉市立美術館.上田市の無言館の作品の巡回展示の一環.

第二次世界大戦で没した,20 代 −30 代前半の画学生の作品群.特に戦争を題材にしているわけではないが,どの作品もあの時点で絵を描くことの必然性を感じさせる.漱石が「山路やまみちを登りながら,こう考えた」のは,この世のストレスが人を芸術に向かわせるということだった.確実に死につながる徴兵ほど,大きなストレスはあるまい.
こうした緊迫感はどちらかといえば日本画には希薄に思えたが,これは並べられた日本画に装飾的なものが多かったためだろう.

新婚の妻や,独身なら妹をモデルにした作品が多い.写真の2枚も妹だ.家の庭で「あと少し,あと少し」とせがんで描いたとか,また戦後残された絵を無言館に託すことを妹が最後まで逡巡したとかのエピソードも,それぞれの絵のそばに紹介されていた.

戦没画学生という背景なしに,純粋に作品として見たときの評価がどうかはわからない.この会場ではそういう見方は不可能だ.

広島の原爆で亡くなった手島守之輔の特集展示あり.入って最初に展示された作品はやはり妹がモデルだった.
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