Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

佐藤忠良 @ 泉美術館

2017-11-03 22:09:34 | エトセト等
彫刻言家 佐藤忠良の遺したもの 自作と収集品,教科書の仕事まで.
宮城県美術館と泉美術館のコレクションを中心にした,開館20周年記念特別展.
二紀会 N 画伯の引率のもと,美術館の代表の方にご案内いただくことができた.作品展示のための交渉とか,展示順序・展示方法についても貴重な話を伺うことができた.
展示品の過半数は宮城県美術館に所属したいるが,その宮城県美術館・佐藤忠良記念館は空調工事のため長期臨時休館中のため,ここで鑑賞できるのだ.

収集品には,ピカソ,ドガなどのスケッチを除けば,ロダン,ムーア,マリーニなど,彫刻家の商品とスケッチが多く,「学ぶため」という色彩が強い.

美術教科書の仕事として,彼が教科書で紹介した,中川一政の「駒ケ岳」と海老原喜之助の「曲馬」が展示されていた.海老原作品とマイヨールの作品がよく似ていることを発見した.
教科書は安野光雅らと編集したものだが,実際に学校で使われた例は少なかったそうだ.「図画工作の時間は上手に絵を描いたり,上手にものを作ったりすることが目当てではありません」から始まる.復刻すれば大人が買うだろう.

佐藤忠良の彫刻は,展示室照明ではなく,ふつうの部屋の照明あるいは外光のもとで鑑賞できるように配慮されている.
すべて女性を扱った作品.

収集品の一つ,グレコの「うずくまる女 2」と佐藤作品「うずくまる裸婦」をトポロジカルに比較するのも面白い.グレコのはごろんとした塊だが,佐藤作品はドーナツの集合だ.左は三菱一号館広場の「うずくまる女」シリーズの2ではなく3.やはり塊.右は http://sdart.jp/archives/265 にある,忠良作品.でも二次元写真ではトポロジーはわからない.

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嘘の木

2017-11-03 08:32:29 | 読書
フランシス・ハーディング, 児玉 敦子 訳,東京創元社 (2017/10).
原題 The Lie Tree

Amazon の内容紹介*****
高名な博物学者で牧師のサンダース師による世紀の大発見。だがそれが捏造だという噂が流れ、一家は世間の目を逃れるようにヴェイン島へ移住する。だが噂は島にも追いかけてきた。そんななかサンダース師が謎の死を遂げる。自殺ならば大罪だ。密かに博物学者を志す娘のフェイスは、父の死因に疑問を抱く。奇妙な父の手記。嘘を養分に育ち、真実を見せる実をつける不思議な木。フェイスは真相を暴くことができるのか? 2015 コスタ賞大賞・児童文学部門賞をダブル受賞。*****

19 世紀末.進化論が定着していない時代に設定したことで,嘘を養分にして育つ木というロマンチックな設定をもっともらしくしている.この設定はどう説明するのかと思ったら,常套等的解決.でも SF は風味だけで,じつは骨太なミステリ.
探偵役の 14 歳の少女フェイスが推理とアクションの両面で大活躍.彼女の母親と,同世代の少年に対する辛辣さが鋭い.でも最後はまるく収まるところも常套的.しかし常套的ということは,安心して読めるということでもある.
児童文学といわれると,ぼくは小学生相手を想像してしまうのだが,訳者あとがきの,主人公の成長を描いた王道の YA というのが適切だろう.

400 余ページの大作.映像化したら面白そう.図書館本.

☆☆☆☆★
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reading

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