ジョン・パウエルの著書「ドビュッシーはワインを美味にするか? - 音楽の心理学」の「第10章 メロディって何?」では,「盗作ではなく,インスピレーションだったら」という節で楽曲間の類似を取り上げている.古い楽曲と,そこからインスピレーションを得て作られた楽曲の例には,ベートーベンの交響曲第9番とブラームスの交響曲第1番のリンクなどがあるが,こうしたリンクでパウエルさんが一番好きなのが,ショパンの子守唄 (変ニ長調作品57,1844)とビル・エバンスのピース・ピース(Peace piece 1959)だそうだ.
Wikipedia でも類似が指摘されていたので,知る人ぞ知る程度に有名なことなんだろう.引用すると
"..., both pieces use a two-chord left-hand ostinato throughout, and they both have an ornamented melody line"
音楽用語辞典によれば
ostinato: オスティナート.あるパートが、一定の音型を繰り返して演奏すること。低音楽器で行われることが多い。
ornament: 装飾音.メロディを飾るために付け加えられる音。トリル、ターン、シェイクなど楽器の特徴を活かした技術が求められる。
こちとらは子犬と雨だれと別れくらいしか知らなかったが,ビル・エバンスが意識的無意識的にショパンのこの曲からインスピレーションを得た可能性はいかにもありそう.