Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

すべての鳥を放つ

2019-05-15 09:49:44 | 読書
四方田犬彦,新潮社 (2019/1).
カバーデザイン (タイル,イラン イスファハーン,20世紀初頭) に釣られて図書館で借りた.

Amazon の内容紹介*****
会ったことのないあの男は、自分の片割れなのか? 大学入学早々、セクトの活動家と間違えられたことから、自分の分身のようなその男の存在を意識しながら生きてきた瀬能。死んでも自分の残像は永久に残ると語っていた女と彼は再会するが、しかし彼女はすでに死んでいた。東京を離れ、パリ、アフリカと流浪する瀬能の魂は果たして解放されるのか。 著者が初めて挑んだ小説。*****

第1章「東京1972」第2章「パリ1980」第3章「東京1984」第4章「アンタナリヴィオ2001」エピローグ「東京2002」.主人公は学生運動には距離を置いているのに,自分によく似ていると言うセクトの活動家の亡霊?に振り回される.著者は 16 トンのひとまわり下で,文化系という違いがあるが,第1章には土地鑑があった.

彼が妄想性精神分裂病 ? になって既に死んでいるはずの女性と会話したり行動したり性交したりするとか,あるいはドッペルゲンガー的・双子のかたわれ的存在に怯えるあたりとかは,小説としては面白い仕掛けだがよくわからない.「鳥を放つ」の意味もわからない.にも関わらず一気読みしてしまった.学生運動とその後という背景に,思い出したくないことを思い出し,神経を逆撫でされた所為もあるだろう.

エピローグの視点が主人公と思って読み進んだら裏切られたり,韓国人のキム = 日本人の木村だったり,ミステリ仕立てにしても良さそう.実名の中上健次とか,四方田姓の三枚目が登場するのはおふざけだろうか.
☆☆☆☆
コメント
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