倉谷 滋,集英社インターナショナル新書 (2019/10).
出版社のCM*****ゴジラ、ガメラ、マタンゴ、ドゴラ、『寄生獣』のパラサイト……、
怪獣たちを最新の生物科学で分析し、徹底的に考察する!
怪獣たちを最新の生物科学で分析し、徹底的に考察する!
怪獣とはどのような生物なのか? その形態や劇中の設定、登場人物たちの台詞などを手がかりに、劇中では語られることのない出自や生態などを考え抜く。実在しない怪獣を生物固体として追究していくと、SFと科学が繋がる新しい境地に到達する。*****
ゴジラ第1作封切り時に16トンは中学生だった.学校でゴジラのうんこについて,まじめなディスカッションをくりひろげた覚えがある.あれの延長,と言いたいがもっと高級.怪獣たちにかこつけた著者の専門的・非専門的ウンチク集と言っても良い.ちなみに,著者は理化学研究所倉谷形態進化研究室主任研究員.
16トンのようなゴジラ,ラドンのぬるいファンにも面白かった.マタンゴ,ドゴラ以下のマイナーな?怪獣たちとなると,カラーグラビアで姿を見せて欲しいところだが,著作権でそうもいかないのだろう.でも,見せないで読ませてしまうところがすごい.
進化形態学的怪獣学概論の,シン・ゴジラの歯並びとか,怪獣のスケール問題の議論には精彩があるが,ゴジラの棲息環境としての地球空洞説と地底世界あたりになると,専門外らしく文献羅列的.マタンゴ,ドゴラを対象とする,進化形態学的怪獣論 -不定形モンスターの生物学的考察- に力が入っていると感じた.
最後は怪獣が登場しない,ウルトラQ17話の1/8計画. 人間のサイズを1/8に縮小し資源を512倍に活用しようという陰謀?が取り上げられる.この本の内容は別として,この計画,人類崩壊の打開策としては名?迷?案かも.