Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

小沼 丹「黒いハンカチ」

2022-12-11 10:17:14 | 読書
 小沼 丹「黒いハンカチ」東京創元社 (創元推理文庫 2003/7).
本棚から発掘.帯はしわくちゃだが,しわくちゃになることで本体を守ったのだろう.惹句の類は写真ではよく読めないと思うが,Amazon の紹介は

*****A女学院のニシ・アズマ先生の許にちょっとした謎が持ち込まれたり、先生自ら謎を見つけ出すと、彼女は鋭い観察眼と明晰な頭脳でそれを解き明かす。飄飄とした筆致が光る短編の名手による連作推理十二編。昭和三十二年四月から一年間、〈新婦人〉に「ある女教師の探偵記録」と銘打って連載された短編集の初文庫化! 解説・新保博久*****

解説が行き届いていて,別な推理短編集「古い画の家」にも言及している.また福永武彦の加田伶太郎全集とも比較している.読み手にもよると思うが,僕個人はマニアックな福永ミステリを再読することはないが,小沼ミステリはわりに再読している.
小沼ミステリは日常の謎ミステリもの (ただし殺人もある) の嚆矢かも.

解決しては探偵が照れるところがかわいい.解説では,ニシ・アズマは珍しい純粋観察型の探偵であって,犯罪の発覚以前から何かが起こるのを予知している.名探偵然として依頼人を待つのではなく,いつの間にか犯罪現場にいることになる.このあたりはチェスタートンのブラウン神父と似ている,とも書いている.

今回再読して,ニシ・アズマ (西・東) の妹がミナミであることを認識した.著者は,登場人物の名前がカタカナだが,それには理由があると書いていたが,理由そのものは,いまではわからない.

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