Sixteen Tones

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文豪と印影

2022-12-17 09:37:00 | 読書
西川清史「文豪と印影」左右社 (2022/1).

Amazon の紹介*****
秘蔵写真多数! 170の印影から見える130人の文豪の素顔
かつて本には「検印」が捺され、 作品を書き上げたあと文豪たちの「一番最後の仕事」は自分の本にハンコを捺すことだったーー。
病床でも「印譜」を見たいと話した夏目漱石や、遺書にも「印鑑」について記した芥川龍之介。 大好きな荷風にとっておきの「印鑑」を贈った谷崎潤一郎に、「検印」の小説を書いた菊池寛など 130人の文豪たちの170の印影をエピソードとともに収録。
「ハンコ文化」が失われつつある今、「ハンコと文豪」の切ってもきれない関係に迫る。
*****

日本の本には「奥付け」があり (洋書にはない) ,そこに昭和 30 年代あたりまでは「検印」が押されていた.出版社は著者に発売部数に応じて印税 (著作権使用料) を支払うが,この部数を押印することによって著者が確認したのである.ページに直接押印することもあるが,印表と称する切手大の紙に押印し,その印表を奥付けに貼り付けることもある.印そのものばかりか,印表にも凝ったものが多い.

この本は文豪の検印集.こういうものが好きな物好きには嬉しい本.大きな写真は厳選されており,キャプションも良い.

夏目漱石は印章マニアで 58 も揃えていたという.書画に落款を押すことと同等な態度で,自著にも押印したことが窺えるが,どの著作にどの印章...というのがこの本からはわからないのが残念だ.
三島由紀夫はスタイリッシュな作家とされているが,検印に使うのは三文判だ.
デザイン判とでもいうべきは,森田草平,内田百閒,司馬遼太郎,稲垣足穂...

この本にも著者の検印がある.ここにコピペしたかったが,奥付けには「コピー,スキャニングトウニヨル無断複製ヲ禁ズ」と釘を刺してあった.

我が本棚には,文豪の古い本はほとんどない.
写真の「不思議の国のトムキンス」は亡くなった叔父にいただいた本.ぼくの最初の就職先ではこの本の著者が所長だった.検印は三文判.
「論理学」は高校時代に購入して輪講をと思ったが,途中で挫折した本.朱肉が本を汚さないようにも印表をパラフィン紙がカバーしている.Natsuhiko Yoshida の N Y を組み合わせたデザインがかっこいい !!
コメント
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