Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

カチカチ山と花咲爺

2022-12-26 08:58:52 | 読書

武者小路実篤,岸田劉生 画「カチカチ山と花咲爺」阿蘭陀書房 (1917/10) ; 名著復刻 日本児童文学館 ほるぷ出版 (1978/1).

本棚を整理して発掘したが,どのような経緯で買ったのか覚えていない.ふたつのお伽話が,劇の脚本形式で収められている.
昔のフォント,旧かなづかいで,字間がゆったりしている.

登場人物も登場動物も長広舌をふるう.子供向きとは思えない.
昔噺はけっこう残酷なので,今では改変した絵本も出回っているらしいが,この本のストーリーはオリジナルに近いと思う.
ただし,花咲爺で,殿様の面前で枯れ木に花を咲かせる場面,殿様は正直爺さんと欲張り爺さん,それぞれが持参した灰を取り上げて混ぜ合わせ,また両人に渡してから,花が咲くかどうか実験する.

高校時代,マリという美しい先生を勝手に想像して「真理先生」を読み始めたら全然違っていた.それがぼくの武者小路体験.

岸田劉生の画は片面刷上質紙で挿入されている.調布市武者小路実篤記念館の HP の解説によれば,当時 岸田劉生が強い関心を持っていた,デューラーやウィリアム・ブレークからの影響が見られると言う.囲みの中に描くのは北方ルネッサンス流らしい.原画はペン、墨、鉛筆、色鉛筆で描かれている.ペンでは細かな表現,墨ではベタ塗りを利用して簡略・反転の効果を狙っている.しかし,装画から日本の爺さん婆さんや犬を想像することできない.
右上の挿画にはローマ字で Baba Kutta jiji の文字.右下は欲張り爺さんに殺された犬を埋めた土から芽が出た場面.1917 大正6年は 16 トンの母親の生年である.

 

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