Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「仮面の陰に あるいは女の力」

2021-05-09 13:52:29 | 読書
ルイザ・メイ・オルコット, 大串尚代 訳,幻戯書房 (ルリユール叢書 2021/2).
図書館から借用.

Amazon の紹介*****
あの『若草物語』の作者オルコットが扇情小説を書いていた?!
なぜオルコットは、A. M. バーナードという男性作家名義で、かくも扇情的な小説作品群をいくつも発表していたのか?
英国の名家でガヴァネスが惹き起こす、19世紀米国大衆〈スリラー〉小説.*****

ここには「扇情小説」は sensational stories の訳.「扇情」が持つ現代の語感がこの場合,適切かどうかは疑問で,訳者觧題には「現在で言うならエンタメ作品」とある.著者オルコットは,原稿料が入ることは別としても,エンタメものを書くのが好きだったらしい,

ヒロインは悪女で,ジーン・ミュアという名前はジェイン・エアへのオマージュ? 彼女の正体が最初から暗示されてしまう.その心理駆け引きと手練手管は「おとこの騙し方」の教科書になるかも.
ヒロインは機智に富んだスーパーウーマンに描かれているので,読み進むうちに読者は心情的に彼女に味方するようになる.オルコットは奴隷制廃止論者であり,19世紀の女性に求められた従順・敬虔・清廉・家族性という規範に矛盾を感じていたので,それが小説に反映しているのだろう.

最初のページに家庭教師に「ガヴァネス」とルビがあるだけで,その後はガヴァネスという言葉が使われる.ネッドとエドワードとが両方使われるが,前者は後者の愛称であることも説明してもらったほうがいいかも.

「若草物語」は読んだと思うが忘却の彼方.

このカバーの色がきれい.カバーはやや寸足らずで,特大の帯のようでもあるが,帯にしては宣伝文が皆無.

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