Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

どちらかが彼女を殺した

2024-02-22 17:09:22 | 読書
東野圭吾「どちらかが彼女を殺した -  新装版」講談社(文庫 2023/6)

カバー裏の惹句*****
「お兄ちゃん以外、信じられなくなっちゃった」電話は切れ、妹は殺された。
愛知県交通課の兄・和泉は、犯人への復讐を決意し、現場の証拠を隠蔽する。

容疑者は元恋人の男と親友の女。決め手が見つからないなか、練馬署の加賀刑事だけは兄の工作を嗅ぎ取る。

あなたに真相が見抜けるか。究極の”犯人当て”小説。*****

本文では犯人は明らかにされない.
巻末の「推理の手引き<袋綴じ解説>西上心太」を読めば,どちらが彼女を殺したかがわかる : この趣向が「新装版」の味噌らしい.マニアックに重箱の隅をつつくように読めば分かるらしいが,本文読了後はどっちでも良いやと思ってしまった.

病院の談話室に「ある閉ざされた雪の山荘にて」と並んでいたので,時間潰しに読んだ.「ある閉ざされた…」に比べるとつまらなかった.同一作家連読のせいもあるかもしれない.

事件について何も分からない段階から,被害者の兄が警察を出し抜いて犯人に復讐しようと決心する必然性がない.だからこの兄に共鳴出来なかった.さらに,被害者が殺されなければならない,動機も不明.いろいろ種はばら撒かれているが,これが明らかにされるのも最後の最後である.ぼくのような読者としては,この状況で300ページも引っ張られるのはごめんこうむりたい.病室でなかったら,放り出していたことだろう.

兄と練馬署・加賀刑事との知恵比べはおもしろかった.この刑事は東野ミステリの常連のひとりらしい.

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