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マリアンヌ・クローニン.村松潔 訳「レニーとマーゴで100歳」新潮社 (クレスト・ブックス 2022/1).
出版社による紹介*****
「なぜわたしは死ぬことになっているの?」終末期病棟の礼拝堂で、17 歳のレニーは神父を詰問して困らせる。好奇心旺盛で何事にも前向きの少女は老人向けアート教室に入り、83 歳のマーゴと計画する。1 年に 1 枚ずつ、2 人の人生を 100 枚の絵に描くのよ――。デビュー作にして世界中で大絶賛を浴び、映画化も決定した心温まる物語。
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苦手な心温まる物語と知らず図書館で借用した.通読して心温まってしまった.
17 歳のレニーの部分は現代劇,83 歳のマーゴが過去の人生を語る部分は時代?劇の感じ.表紙カバー裏で梨木香歩が言うように,才気煥発たるレニーの行動力や実行力は終末期患者のようには見えない...と思っていたら,どんどん衰えて最後は死んでしまう.この生意気なヒロインは魅力的.神父の登場は日本の小説ではありえない.
いっぽう,1990- の著者のような「健康な」「若い人」が,マーゴのような高齢者が死についてどう考えるか 解らなくても当然だろう.だからマーゴの部分はストーリーで読ませる...上手く企んでいるではないか.
夫がアルツハイマー病になるあたり,後期高齢読者としては明日は我が身,と思ってしまう.
100 枚と言うがふたりが回想するエピソードは,数えたわけではないが,2-30 しかない.それはいいとしても,これらのエピソードがどのように絵になるかったかも,小説では判らない.ハリウッドで映画化するそうだが,なかなか難しそう.終末期患者の映像化も,見たくないし.
原題 The One Hundred Years of Lenni and Margot.
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