Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

北村薫「遠い唇」

2019-12-12 09:28:00 | 読書
角川文庫(2019/11).単行本は2016/9.

出版社のCM*****
小さな謎は、大切なことへの道しるべ -- ミステリの巨人が贈る極上の謎解き
コーヒーの香りでふと思い出す学生時代。今は亡き、慕っていた先輩から届いた葉書には謎めいたアルファベットの羅列があった。小さな謎を見つめれば、大切な事が見えてくる。北村薫からの7つの挑戦。*****

7編中「パトラッシュ」と「ゴースト」はミステリではない.宇宙人が日本の名作を「解釈」するのも,ミステリとは言えない(ぼくの趣味ではない).ここには和田誠のイラストが挿画として転用されている.
残るは4編だが,最後に「読者への挑戦」があるわけでもない.その4編は全部が暗号ものだが,例によって謎解きに持っていくまでが読みどころ.かってのこの作家の円紫さんシリーズもそうだったと,懐かしく思った.
「付記」では楽屋裏まで読書の対象にしている.ちかごろのこの作家には,蘊蓄中心の付記だけみたいな本も多いようだ,

表題作「遠い唇」の暗号はコーヒー好きにはすぐわかる.ぼく的には「しりとり」に感服したが,「ねこはい」の影響もあったかもしれない.「続・二銭銅貨」は暗号だけでは弱いので,乱歩作品にかこつけた感じ.「ビスケット」の「付記」では,今ではキーワードさえ与えられれば,普通の人間でもネットで名探偵の頭の中をのぞくことができる...とあり,なるほどと思った.

解説 天野慶.カバーイラスト(agoera)がよかったのでジャケ買いした感もあり.

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