Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

憂鬱な10か月

2019-10-11 10:39:08 | 読書

イアン・マキューアン, 村松潔 翻訳,新潮クレスト・ブックス(2-18/5).

Amazon の商品説明(「BOOK」データベースより)*****
誕生の日を待ちながら、母親のお腹のなかにいる「わたし」。胎盤を通して味わうワイン、ポッドキャストで学ぶ国際情勢、そして父ではない男が囁く愛の言葉と、ある不穏な計画―。胎内から窺い知る、まだ見ぬ外の世界。美しい母、詩を愛する父、父の強欲な弟が繰り広げる、まったく新しい『ハムレット』。サスペンスと洞察が冴える極上の長篇小説。*****

面白かった.胎児の一人称で語られるのだが.妊娠初期中期に胎児が意識を持ちうるとは考えられないから,邦題中の「10ヶ月」はおかしい.原題は Nutshell (胡桃などの木の実の殻)で,胎児の身動きできない状態を示していると思う.

母が父の弟,胎児から見れば叔父と不実な関係に落ち,2人が共謀して父を毒殺する.ミステリーとは言い難いが,犯罪小説とは言える.胎児は男女関係のみならず,ポッドキャストで知った国際情勢にまで御託を述べる.普通の小説なら読み飛ばす,この部分が面白い.

登場人物の名前はハムレットの場合と似ているが,それだけのことで,「まったく新しい『ハムレット』」はちよっと大げさ.母はしょっちゅうワイン,最後にはウィスキーまで飲む.胎児も飲み過ぎを気にしつつ,銘柄を評価したり酔っ払ったりする.

「ドグラ・マグラ」の胎児の夢よりずっとリアリティがあった.

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生プルーンが美味しい!

2019-10-10 06:51:40 | エトセト等

まだ小諸の話題.プルーンといえばミキプルーンか,レーズンの親玉のようなドライプルーンだが,小諸にはいくつかリンゴ園があり,そのひとつで初体験したのが生プルーン.味が忘れられず,翌日再訪したら,昨日のが今季最後のみのだったとのこと.そこで地元のスーパーに行ったら,4個1パック約 400 円で売っていた!  我々のグループがほとんど買い占めてしまった.

コモロニアンさん (生え抜きの小諸人さん) の助言では,これはまだ食べごろに非らず.シワがよるまで置いておくと,ねっとりと甘くなり一段と美味とのことだったが,帰りの電車 特急しなの16号名古屋行き の車中で J 子と2人で1パック4個を食べてしまった.口が寂しくなっても,この特急は,篠ノ井・名古屋間約3時間に車内販売なしなのだ.

特急しなのは行きも帰りも遅れ,予定していた乗り継ぎ (帰りの場合はジパングでも乗れる新幹線ひかり へ) ができなかった.5分遅れると旅程は1時間 (悪くすると1日) 遅れることが,JR にはわかっているのだろうか?!

そういえば,小諸駅で切符窓口ではクレジットカードが使えなかった.持ち金が心細いので,近くに ATM はないでしょうかと聞いたら,15 分歩けば銀行があるときたものだ.消費増税対策キャッシュレスなんてどこの国の話?

新幹線が上田平に行ってしまったための地盤沈下で,小諸は活気がない街と言われ,確かにそう思ったが,プルーンを買ったスーパー・ツルヤは活気にあふれていた.イナゴ,蚕蛹などを発見.特に後者に興味があったが,持ち帰ってひとりで1パックを食べ尽くせるとは思えないので諦めた.J 子はリンゴバター,ほおずきジャムなどをゲットした.小諸ワインなどにも惹かれたが,荷物が増えるので...

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三角巾の八つ折りと本結び

2019-10-09 06:32:18 | エトセト等

百福センターでの救急法の講習では,三角巾がひとり一枚ずつ配られ,まず「本結び」の習得 (Youtube 動画では後半).これができないと先に進めません...と言われたが,すごく難しい.この本結びの特長はするすると解けることだが,子供の時からやっている結び方ではそうはいかない.講習会では我々生徒の出来の悪さに先生が呆れ果て,後で勉強しなさいで結局先に進んだ.

結ぶ時に2度紐の端同士を絡めるのだが,2度目に絡めるときに最初と逆向きに絡めなければならない...ということは,後でネットで学習したこと.遠い昔,学生時代に「結び目理論」をかじってあきらめたことなど,講習会では思い出しもしなかった.難しいわけである.

動画前半のたたみ方は,講習では「八つ折り」と教わった.三角巾を紐状・包帯状にする正式な方法だそうだ.

頭部被覆法も教わった.毛が少なくライブのときに頭が寒いとうまく演奏できないので,いつもは帽子をかぶるのだが,三角巾もいいかな.


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小諸・布引観音

2019-10-08 10:26:51 | エトセト等

昔々,よくばり婆さんが布を晒していたところ,牛がその布を角に引っ掛けて走り出しましたとさ.追いかけたらいつの間にか善光寺についてしまった,というのが「牛に引かれて善光寺参り」である.牛ではなく布に引かれたと言ってもいい.終着地は善光寺だが,出発点はこちらの布引観音,正式には布引山釈尊寺である.


写真上左,麓の駐車場は千曲川に面している.ここからは岩壁に隠れて見えないが,布引観音へは標高差100メートルを直登20分.途中「牛岩」もある.自然石を組んだ室町時代?からの石段だが,一段あたりが高くてきつい.昔のヒトのほうが脚が長かったはずはないのに...


たどり着いた釈尊寺には山側からは車が入れる.社務所には猫がリラックスしていた (写真下左).寺の本堂から数十メートルトラバースすると,懸崖造りの観音堂 (写真上右).途中に写真下中央の六地蔵があったが,並んだ2体,とくにおばあさんに目がいく.牛に引かれた婆さんか!?

観音堂からは写真下右のようにさらに奥へと続くトンネルがあるが,現在は通行止め.手前の仏像がミイラっぽく真に迫っている.

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小諸ツリーハウスプロジェクト

2019-10-07 10:31:15 | エトセト等
昨日の続き.百福自然体験活動指導者養成センターの周囲には1.6kmの散策路が整備されていて,これに沿っていくつかのツリーハウスが点在する.
トップの画像は駐車場からストレートに目に入ってくる佐藤可士和の「間」.ただし修復中で,この写真はホームページから拝借した.

上は Noma Bar による Birds Eye View.尻尾が階段で右のように中に登れる.崖の上に建っていて,鳥瞰を楽しめる.展示中唯一の,体験可能なツリーハウス...と思ったら,中には吸ってはいけませんという掲示が落ちていたのを,後から発見.

この巨大なハンモックは Energy Meet というグループの作品 Nest.太陽光発電パネルで,中でお湯を沸かしたり光を灯したりできたらしい.しかし今では落ち葉や蜘蛛の巣で居住性が悪そう.

デザインオフィス nendo による bird-apartment.中の写真の遠景は鳥たちのアパートの入り口.左の大きな穴はヒトの入り口で,なかのしきり穴にはドアスコープが埋め込まれ,鳥たちを観察することができる...らしい.ただし現状ではターザンでもなければ中に入ることは不可能.右の2枚の写真はホームページから拝借した.

当初存在したうちのいくつかは破損したらしい.通常は安全のため,ツリーハウス内部に立ち入ることは禁止されている (立ち入りたくても立ち入れない).このためデザイナーたちの展覧会に過ぎず,魅力は半減どころか8割減だが,仕方なし.


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

百福センター

2019-10-06 12:53:33 | エトセト等
つくばの登山グループにまぎれ込み、小諸の安藤百福(ももふく)自然体験指導者養成センターで合宿。昼は高峰高原で登山と池塘散策。夜は地質学と救急法のレクチュア。
安藤百福は、即席ラーメン開発をテーマにした朝ドラ「まんぷく」の発明家のモデル。
宿泊者にはかってのユースホステルのようなルールが敷かれている。写真は退出時に提出するチェックリスト。館内どこにもテレビ受像器が存在しないのはなかなか精神衛生によろしい.
建物は隈研吾設計とかで,よく手入れされていて外観も内観もかっこいい.宿泊室にバス・トイレなしはいいとしても,歯を磨くのにいちいちコップを持参してトイレか浴室に出張しなければならないのは苦痛.
宿泊室からトイレまでは数十メートルあり,途中に坂もある.夜間頻尿の年配者は宿泊対象外らしいが、我が国の現状を度外視している.設計者もあと10年も経てば建物のこの欠点を思い知ることだろう.
図書室に自然体験図書,とくに山岳図書が揃っている.戦前の貴重本も...
センターの中庭?で子どもがボルダリング。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

荊棘の冠

2019-10-05 08:38:45 | 読書
里見弴,講談社文芸文庫(2012/3)。図書館本。
美貌の天才バイオリニスト、諏訪根自子をピアニストに置き換えた小説。荊棘(いばら)の冠は彼女の名声のことだろう。ただし音楽のことは何も出てこない。いきなり梅毒が出てきて面食らう。周りの大人たちの愛憎が中心。とくに父親は売れない小説家で、娘を持て余した挙句頭がおかしくなる。実際にあった母娘の家出のスキャンダルが後半の中心。
この作家は初めてだが、理屈が多い風俗小説という感じ。著者は音楽のことは何も知らないらしいが、生半可に音楽通ぶるよりはマシかもしれない。
志賀直哉の序文がある。
1934年から3つに分けて中央公論に発表され1935年に出版された。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

広島から小諸へ

2019-10-04 08:27:59 | エトセト等

小諸へ行くことになった.「千曲川旅情...」の小諸である.ところが,公共交通機関で広島から小諸に行くのはなかなか大変.東京に出て U ターン (J ターン) 形で行かざるを得ないようにできている.遠回りさせて新幹線料金を払わせようというJR の陰謀である.航空便も地方都市間は貧弱だし,空港と JR 主要駅との連絡も面倒臭い.

もうひとつケチな話だが,JR にはジパングという老人割引制度がある.でも「のぞみ」「みずほ」は割引にならない.

乗り換え案内アプリは数あるが,意外にあてにならない.JR 系アプリは東日本・西日本にまたがるときは融通が利かない.ジョルダンのジパング向きは有料ときたものだ.

それやこれやで捻出したプランがこれ.U(J) ターンなし.まあまあ安く,乗り換えも待ち時間が少ない.乗り換えが5回も楽しめる.最後のしなの鉄道線に期待している.

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

美空ひばりが AI で復活

2019-10-03 08:29:01 | 新音律

NHK とヤマハの,AI 技術を用いて,新曲を美空ひばりに歌わせようという企画をテレビで視聴した..オーディオ的にはは,これくらいできて当たり前と思うが,ビデオの方はやや仏像が歌っているような違和感があった.でも涙を拭きながら見入っているファンも映っていた.

美空ひばりの熱心なファンではなく,というより,どちらかといえば好きでない方である.大きなことは言えないが,芸歴の長い美空ひばりの,どの時期を目指したのだろうか.晩年のひばりではないようだ.映像の方は年齢不詳で,うまくマッチングしていた?

オーディオは本人の歌声を解析し合成するという科学的? な方法で作られたはずだが,これを森昌子などの「ものまね」と比べたらどうなんだろう.ものまねの場合は,声のスペクトルを同じにすることは不可能だが,それをカバーする何かで,本人以上に本人らしく (またある時はパロディっぽく) 聞かせてしまう.AI に本人ではなく,ものまねをカバーさせたら,もっとうまく行ったかもしれない.ビデオも,天童よしみではなくコロッケの身振り手振りを参考にしたら?

ボーカルではなく楽器ならもっと易しそうだ.ジャズに応用して,たとえばエロル・ガーナーに演歌のメロディを弾かせる...などはすぐにできそう.もう先例があるかもしれない.

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銀座奥野ビル ギャラリー松林

2019-10-02 09:39:45 | お絵かき

個展を計画している.面白半分だが,かってそういうタイトルの,吉行淳之介編集の雑誌の英訳が Half Serious だった...けっこう面白半分も大変なのだ.

契約した会場に行ってみた.奥野ビルは知っていたが,ギャラリーそのものを同定したのは初めて.長尾玲子さんの個展「はる」の最終日であった.トップのピアノは少し大きいが,10センチ平方か,それ以下の刺繍が50点.絵本もたくさん作っておられる.残るは食欲のみのぼくとしては,食べ物に惹かれた.ネットに「社食の12ヶ月」という大作を発見.作品の撮影の許可をお願いしたら画集をいただいてしまった.このギャラリーを「日本一良心的」と評価しておられ,毎年個展のため新潟から上京されているとのこと.

展示方法など貴重な御助言をいただいた.ギャラリー壁面はコンクリートの上に板張り,その上に壁紙という構造なので,刺繍やCDケースならピンで十分留められる.タイトルはラベルシールで貼ればきれいに剥がれる.作品売却に伴う画廊によるピンハネはゼロ.

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg