【安倍晋三首相】:新春特別インタビュー! ■日韓関係「原則を曲げることはしない」 年明け解散「国民に信を問うべきと考えれば…」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍晋三首相】:新春特別インタビュー! ■日韓関係「原則を曲げることはしない」 年明け解散「国民に信を問うべきと考えれば…」
安倍晋三首相が、令和初めての年末年始を迎え、夕刊フジの独占インタビューに応じた。まず、内閣支持率を直撃した首相主催「桜を見る会」問題と、自身の説明責任について激白した。天皇陛下のご即位に関する行事と日本の伝統、台風や集中豪雨などによる災害対策、消費税増税を受けた令和2(2020)年の経済情勢、毅然(きぜん)とした外交が求められる日韓関係と、緊迫する朝鮮半島情勢、憲法改正や拉致問題解決への決意、東京五輪・パラリンピックへの期待、年明けの衆院選の可能性など、一気に語った。
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■桜を見る会「大いに反省」「誠実に説明責任を果たす」
--「桜を見る会」に関する世論調査では、招待者名簿の破棄に批判が強い
「『桜を見る会』は、昭和27(1952)年以来、長い間の慣行の中で行われてきた。招待者基準があいまいで、結果として数が膨れ上がった。大いに反省している。招待者名簿は、まさに個人情報であり、会の終了をもって目的を終える。個人情報である以上、定められた手続きにのっとって廃棄されたと承知している。国民の方々の批判を受けて、2020年の会は中止にした。私自身の責任において全般的な見直しをする」
--悪質なマルチ商法で経営破綻した「ジャパンライフ」の元会長が招待され、広告に利用されたことも問題だ。「鳩山由紀夫内閣(旧民主党)でも招待された」という報道があったが、事実関係はどうか
「私は一対一のような形で元会長と会ったことはない。私も妻も、個人的な関係は一切ないことは明確にしておきたい。鳩山内閣時代のことは分からない。ともかく、不当な活動に利用されることは容認できない」
--通常国会でも、野党は追及する
「質問を受ければ、誠実に説明責任を果たしていく」
--新しい時代「令和」が始まり、皇位継承に関する行事が無事に終わった
「今回の皇位継承(=天皇のご退位による)は200年ぶりの歴史的出来事だった。憲政史上、初めての行事を国内外の温かい祝福の中でつつがなく終えることができた。国民の方々の協力に心から感謝したい。大きな責任を果たすことができ、ホッとしている」
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「即位礼正殿の儀」で天皇陛下のご即位を祝し、高御座の前で万歳三唱する安倍首相(左端)=10月22日、宮殿・松の間
--天皇陛下が即位を宣明される「即位礼正殿の儀」(10月22日)では、雨だったが、陛下が高御座に上られると晴れて、虹がかかった
「天皇陛下と天皇家は、ひたすら国民の幸せと安寧を祈り続けてこられた。陛下とともに、日本人は自然への畏れと敬意を持ち続け、自然とともに歴史を紡いできた。あの日、朝から雨が降り続いていたが、まさに澄明(ちょうめい)な陽光が射し込むなかで歴史的瞬間を迎えた。あの光景を目にした人々は、未来に希望を見ることができたのではないか」
--虹は見えたか
「私は必ず晴れると思っていた。虹は見えなかったが、(後で知り)吉兆だと思った」
--気候変動のせいか自然災害も多かった
「確かに近年、台風や集中豪雨による被害が激甚化している。政治・行政に課せられた責任は、1日も早い被災地の復旧・復興と、『防災』『減災』『国土強靱(きょうじん)化』をパワーアップして備えることだ。先日、総合経済対策をとりまとめた。未来の安心を確保していく」
--経済対策の事業規模は26兆円。消費税増税の影響もあるか
「相次ぐ自然災害からの復旧・復興、インフラの強靱化に加え、米中貿易摩擦などのリスクに備える対策だ。令和最初の強力なパッケージになっている。中小企業や小規模事業者の生産性を向上させる予算も入っている。消費税対策も継続していく。東京五輪・パラリンピック後も見据えて、時機を逸することなく、切れ目なく政策を実行していく」
--令和2年の日本経済をどう見るか
「東京五輪・パラリンピックで、数多くの海外旅行者が来日し、日本で消費してくれると期待する。最高の収益を上げている企業は多い。さらなる賃上げと投資が行われることで、経済の好循環を続けていく。景気の回復基調を維持し、デフレ脱却と経済再生を確かなものにしていきたい」
安倍首相(右)は「国と国の約束を守れ」と、韓国の文大統領に迫った =12月24日、中国・成都(共同)
■日韓関係「原則を曲げることはしない」
--日韓関係について聞きたい。世論調査では、いわゆる「元徴用工」問題でも、輸出管理強化でも、国民は毅然とした対応を支持している
「外交では、原則や基本を守ることが両国関係の真の安定・発展につながる。原則を曲げた場合、一時的に良好になったように見えても、必ず後で非常に不安定になる。韓国については、1965年の日韓請求権協定の違反状態を是正し、国家間の約束を遵守することが重要だ。輸出管理では、軍事転用の可能性がある戦略物資について、専門的知見に根差したルールの厳格運用は当然だ。原則を曲げることはしない」
■「国民に信を問うべきと考えれば、躊躇なく断行する」
--北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返すなど、朝鮮半島情勢が緊迫化している
「北朝鮮の行為は、日本を含めた国際社会への深刻な挑戦だ。わが国は、北朝鮮の非核化に向けたプロセスを支持をしており、ドナルド・トランプ米政権の取り組みを100%支持している。これには国連安全保障理事会決議の完全な履行が必要だ。引き続き、米国をはじめ国際社会と緊密に連携していきたい」
--自衛隊などの警戒態勢は万全か
「どんな状況でも、国民の命と暮らしを守り抜くことが、政府の責任であり、そのために万全を期していきたい」
--香港では、「自由」「民主」「人権」を守ろうとする市民や学生が激しく抵抗している
「香港情勢は大変憂慮をしている。一国二制度のもと、『自由で開かれた香港』が引き続き繁栄していくことが重要だ。自制と平和的な話し合いを通じた解決を、関係者に求めていきたい。事態が早期に収束・収拾され、香港の安定が保たれることを強く期待する」
--米議会では、香港やウイグルの人権法案が可決された。こうしたなか、中国の習近平国家主席の国賓待遇での来日に反対する声がある
「日中両国は、アジアや世界の平和と安定に大きな責任を有している。私と習主席がこうした認識を共有し、責任を果たす意思を明確にすることが、国際社会から求められている。さまざまな意見があるのは承知しているが、こうした考え方から、習主席を国賓として招待することにした」
「同時に、中国との間では、沖縄県・尖閣諸島周辺海域における公船侵入や、日本人拘束など、さまざまな事案が存在している。こうした懸案について、これまでも習主席に直接提起してきたが、習主席が国賓として来日した際も、しっかりと主張し、中国の前向きな対応を求めたい」
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--麻生太郎副総理兼財務相が、月刊「文藝春秋」(新年特別号)のインタビューで、「安倍首相が本気で憲法改正をやるならば、自民党総裁4選も辞さない覚悟が求められる」と発言した
「先の参院選で、私は街頭演説で必ず憲法改正を訴えた。結果、改選過半数を大幅に上回る支持を与党で得られた。国民の声に押されて、憲法審査会で2年ぶりに自由討議が行われた。憲法改正は自民党立党以来の党是だ。選挙での約束を実現していくことが、政治の責任である。たやすい道ではないが、私の手で必ず成し遂げたい」
--総裁4選はどうか
「二階俊博幹事長や麻生氏のような、経験を積んだ方からそうした発言があるのは大変光栄だが、全く考えていない」
--北朝鮮による拉致問題の解決も重要だ
「いまだに、拉致被害者と家族の方々が再会できない。総理大臣として責任を痛感している。あらゆるチャンスを逃さず、行動すべきときは果敢に行動していきたい。こうしたなか、トランプ大統領は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との1対1の会談で、何度も明確に拉致問題解決を訴えてくれた。感謝している」
--東京五輪・パラリンピックへの期待は
「1964年の東京五輪のとき、私は10歳だった。女子バレーボール『東洋の魔女』(金メダル)の応援で声をからし、男子マラソンの円谷幸吉選手(銅メダル)が精根尽き果てるまで走り抜いたのを見て、大きな興奮と感動が胸に刻まれた。世界に感動を与えられるような、日本の可能性をみんなが信じられるような五輪・パラリンピックになればいい」
--年明け早々、衆院選があるとの見方もある
「自民党総裁として、いつもわが党の議員には『衆院は常に、常在戦場だ』『勝ち抜くことも、与党議員の責任である』と言っている。その気持ちで、緊張感を持って、この年末、お正月を過ごしてもらいたい。現在、先の参院選で約束した政策を実行に移し、国民の負託に応えている最中だが、『国民に信を問うべきときがきた』と考えれば、躊躇(ちゅうちょ)なく、解散・総選挙を断行したい」
元稿:夕刊フジ zaKzaK 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース】 2020年01月01日 09:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。