【政界地獄耳】:トランプ提唱の「G12」は悪あがきか/06.08
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:トランプ提唱の「G12」は悪あがきか/06.08
★大統領選挙を控えているものの、国内は内乱状態にあるトランプ米大統領は先月30日、「G7サミット(主要国首脳会議)は、世界の実態を適切に代表していない。古い体制で国際情勢を反映できていない。時代遅れだ」と言い出した。当初は今月中にワシントンでG7開催を模索したが、前向きな姿勢を見せたのは日本ぐらい。ドイツ、英国、カナダなどは検討するとしながら開催に難色を示した。すると米国側はロシア、韓国、オーストラリア、インド、ブラジルなどを新たに加えて「中国の未来について討議する」(ホワイトハウス高官)として、「G12」を提唱し始めた。
★トランプの狙いは中国包囲網だろうが、その覇権争いでも劣勢な米国の悪あがきに見える。早速、英、カナダはロシアの参加を拒否。日本政府も「G7は引き続き重要」と困惑の色をにじませる。もっとも日本の場合は、中国包囲網に加担しにくい。韓国との関係が悪く、アジア唯一のG7参加国としてアジア代表の立場で君臨できなくなるという意味では、トランプの言う「G7は世界の実態を適切に代表していない」というのも、的を射る。
★身内からの批判も大きい。4日、米マーク・ナッパー国務副次官補(東アジア太平洋担当)は「G7のメンバーを変えるためには参加国間の全員一致が必要だ」とけん制した。G7は米、英、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本がメンバー。ロシアを入れたこともあるが今は外されている。そのうち、先の大戦の敗戦国であるドイツ、イタリア、日本とカナダは国連の安保理常任理事国から外されている。「そのためG7の既得権を守ろうとして拡大化に反対するだろう。声をかけられた国は参加したいだろうが、日本は韓国の参加に反対だろう」(外交関係者)。実現するか否かより、その時の米国の大統領と日本の首相はだれかも興味深い。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2020年06月08日 07:45:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。