路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【米国】:オバマ氏、人種差別解消へ若者へ「希望持とう」

2020-06-04 08:58:30 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【米国】:オバマ氏、人種差別解消へ若者へ「希望持とう」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【米国】:オバマ氏、人種差別解消へ若者へ「希望持とう」

 オバマ前大統領は3日、白人警官による黒人男性暴行死事件を受けて開かれた黒人の若者らとのインターネット集会に参加し、米社会に深く根ざす人種差別に関し「怒りを抱えていると思うが、希望を持ってほしい」と語り、問題解決に向けて諦めず取り組むよう促した。オバマ氏は米国初の黒人大統領で、今も国民的人気が高い。

 新型コロナウイルス感染拡大や暴行死事件、その後全米に広がった人種差別解消を訴えるデモを念頭に「この国で起きているものすごい変化は私の生涯で見たことがない」と指摘。事件は「悲劇」だったが「われわれが結束して取り組み、米国を変革させる機会を与えてくれた」と強調した。

 一方で、時間がたてば注目度も下がっていくと懸念し「この機運を生かすことは重要だ。今こそ変えていこう」と呼び掛けた。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・北米・トランプ政権・白人警官による黒人男性暴行死事件】  2020年06月04日  08:58:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳】:法だけでは解決しないネット誹謗中傷/06.01

2020-06-04 08:29:20 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【政界地獄耳】:法だけでは解決しないネット誹謗中傷/06.01

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:法だけでは解決しないネット誹謗中傷/06.01

 ★フジテレビの番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラー・木村花さんが急逝したが、原因の一端に番組での振る舞いへの誹謗(ひぼう)中傷をネットに書き込まれ続けていたことが明らかになった。番組は「恋愛リアリティショー」と銘打ち台本がないという。それでも「番組」だということを視聴者は理解しない。政界では早速先月25日、官房長官・菅義偉が「インターネットでの誹謗中傷の書き込みについては、ユーザー1人1人が他人を傷つけるような書き込みをしないよう、リテラシー向上のための啓発を行っていくことが重要だ」とした。

 ★そこからが早い。翌26日、総務相・高市早苗は衆議院総務委員会で「匿名の者が権利侵害情報を投稿した場合に、発信者の特定を容易にするための方策について検討を進める予定でございます」。同日、自民党は参院議員・三原じゅん子が座長になりインターネット上の誹謗中傷対策を検討するプロジェクトチーム(PT)が初会合を開いた。政権の対応はネットの誹謗中傷の法的厳罰化だ。だがその線引きは難しく、発信者の情報開示手続きを規定したプロバイダー責任制限法の法改正で解決するだろうか。

 ★NEWSポストセブンによれば誹謗中傷への批判を理解しない若者がいるという。記事では「『テラハのファンだった』という女子学生の1人は、『彼女が亡くなったのは個人的な問題なのに、なぜ番組がたたかれるんですか? 番組を作っている人と番組のファンが被害者』」と言う。ネットは少し前、フェイクニュースに揺れたことがある。それまでざっくり言えばネットはニュースでも話題でも「バズれば(話題になれば)良い」という時代がある。その時からネットを使っている若者にリアルやリテラシーについての正しい理解がないままさまざまな事象を受け止めているのではないか。ICTでテレワーク授業が進む今、ネットのリテラシーから教育しなければ法の厳罰化だけでは解決しない。(K)※敬称略 

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2020年06月01日  09:16:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳】:「ご飯論法」一点の安倍はもう限界/05.28

2020-06-04 08:29:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【政界地獄耳】:「ご飯論法」一点の安倍はもう限界/05.28

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:「ご飯論法」一点の安倍はもう限界/05.28

 ★自民党支持者や自民党議員でも、26日午後の参院厚生労働委員会での首相・安倍晋三の答弁を聞いていれば、正面から質問に答えず、同じ答弁のメモを読み続け、いわゆる「ご飯論法」で論点ずらしてちゃんと答弁しているかに装う手法にいら立ち、うんざりするはずだ。この手法の答弁を8年間繰り返してきたと思うと、いくら何でも不誠実答弁というだけでなく、首相は答弁漏れどころか、答弁できる状態ではないのではないかと心配になる。誠実丁寧に答えていると本当思っているなら、また、その通りだと思う支持者は長い時間かけて、政治答弁とはそういうものだと刷り込まれてしまったのではないか。

安倍首相                  安倍首相

 ★同委員会では立憲・国民、新緑風会・社民会派の石橋通宏の問いに「賭けマージャンがどのような罪にあたるかは法務省に聞いて欲しい」「賭博罪かどうかは法務省が判断する」とし、訓告とした処分の決定過程にも「法務省が検事総長に訓告が相当と伝え、検事総長も訓告が相当だと判断して処分した。はそれを了承しただけ」と述べ、すべて法務省での決定と言い張った。石橋も「法務省にすべて責任をなすりつけている」と幾度も問いただしたが答弁は同じだった。

 ★石橋は質問を変え、「(当時、東京高検検事長だった)黒川弘務を『余人をもって代えがたい』として公務の運営に著しい支障が生じるからと、定年延長の閣議決定を1月にしたのなら、今はどんな重大な公務の支障があるのか」と問うたが、合理的な説明はついぞなかった。何かを守るため、何かを隠すため、どこかでウソをつくなどのほころびは、大きくなると取り返しがつかないほどの穴に広がってしまう。政治的な潮時というより、首相は既に限界なのではないか。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2020年05月28日  09:16:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:米中対立深刻化 自由な香港死なせるな

2020-06-04 08:19:55 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説①】:米中対立深刻化 自由な香港死なせるな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:米中対立深刻化 自由な香港死なせるな 

 中国が香港の「一国二制度」を事実上葬り去る「国家安全法」導入を決めたことに対し、米国は厳しい対抗措置を発動する構えだ。何よりも肝心なのは、自由な香港を死なせないことではないか。

 中国の全国人民代表大会(国会)は五月末、香港の自治を奪う「国家安全法」を採択した。

 同法は、共産党政権転覆や中国分裂活動などを禁じる。香港の議会である立法会の審議なしで、今夏にも施行される見通しだ。

 共産党政権に批判的な言動を取り締まることが最大の狙いだ。香港では毎年六月四日に天安門事件の追悼集会が開かれてきたが、香港警察は今年初めて不許可とした。今後は民主化を求める反中デモなども違法とされ、厳しく摘発される恐れがある。

 中国は香港返還の際に、「一国二制度」の下で五十年間、香港の「高度な自治」を認めると表明した。これは中英間の約束だっただけでなく、国際公約でもあった。二〇一四年の雨傘運動以降、香港で再燃し続けた民主化要求デモに危機感を抱いた中国が、一方的なやり方で公約を反故(ほご)にするなら、国際社会の信頼は得られまい。

 貿易摩擦やコロナ対応などで中国との対立が深刻化している米国のトランプ政権は、香港に認めてきた関税やビザなどの優遇策を廃止する制裁発動を示唆した。

 優遇策は香港の「高度な自治」が前提であるから、今や廃止やむなしとの理屈は理解できる。だが、制裁を科しても、香港問題を「核心的利益」とする中国が同法を撤回する可能性は低い。香港を大陸と同一視しての制裁発動は、中国が強行しようとする「一国一制度」を逆に助けることにもなりかねない。

 何よりも懸念されるのは、貿易総額世界七位、新規株式公開調達額世界一位の経済都市である香港を「死に体」にしてしまう危険性があることである。

 香港には米企業千三百社が拠点を置く一方、海外からの対中直接投資の七割は香港経由である。香港の衰退は米中のみならず、世界にも負の影響が大きい。

 しかも、習近平国家主席の香港強権統治とトランプ大統領の対中強硬策は、共に国内求心力を高める狙いが強いように映る。

 米、英、豪、カナダは先月末、香港への統制強化に「深い懸念」を示す声明を出した。日本も含め、国際社会が連携して中国の非に警鐘を鳴らし、自由な香港を守る努力を続けるべきだろう。

  元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年06月04日  07:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:対韓輸出規制 見直しの機会を生かせ

2020-06-04 08:19:50 | 【韓国・在韓米軍・従軍慰安婦問題・強制労働・島根県竹島(韓国名・独島)の領有権】

【社説②】:対韓輸出規制 見直しの機会を生かせ 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:対韓輸出規制 見直しの機会を生かせ 

 日本の韓国に対する輸出規制強化をめぐり、両国の対立が再燃する気配を見せている。コロナ禍で経済の世界的落ち込みが予想される中、貿易制限は避けるべきだ。今が見直しの好機ではないか。

 韓国政府が世界貿易機関(WTO)に提訴する手続きを再開したのは、日本政府が昨年七月に発表した措置に対するものだ。

 日本政府は韓国の貿易管理の体制が不十分として、半導体の原材料などの韓国向け輸出を厳しくし、韓国を輸出手続きの優遇措置の対象からも除外した。

 韓国政府は、指摘を受け入れ改善したとして、日本政府に対して先月末までに姿勢を明らかにするよう求めていた。紛争がWTOに持ち込まれれば、対立の長期化は避けられない。 

 そもそも輸出管理強化は、日韓間で対立していた元徴用工問題を巡って、日本側が対抗措置として発表したものだ。

 歴史問題に経済を絡めたことは適切とは言えず、日本国内からも強い批判が起きた。しかし、韓国政府も元徴用工問題を放置したままだ。解決するための具体案を出してほしい。それが、輸出規制問題を解決する早道にもなる。

 世界に目を転じれば、各国とも新型コロナウイルス対策に追われ、穀物のほか医療用マスク、防護服などの輸出を規制する動きが広がっている。

 この問題について五月に開かれたG20貿易相会合で梶山弘志経済産業相は、「貿易制限はできるだけ速やかに解除することが重要」と呼びかけていた。

 世界が苦境に直面している中、どんな形式であれ貿易制限を行うべきではないのは当然だろう。

 さらに米中の対立が深まっており、日本も韓国も近隣諸国との関係強化が急務になっている。

 ところが日韓間では対立のあおりで、防疫をめぐる協力がほとんど実現せず、ビジネス関係者や研究者らの相互訪問すらできない。こんな不正常な状態を長引かせていいはずはない。

 韓国政府は昨年、規制強化の解除がなければ、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄も辞さない強硬姿勢だった。今回はGSOMIAの扱いには慎重で、問題を拡大させたくないという意向がうかがえる。

 日本政府はまず、韓国の制度状況や運用実態を見極める考えのようだ。問題がなくなったと判断したら、部分的にでも解除を進め、関係改善の糸口にしてほしい。

  元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年06月04日  07:38:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:<不思議な橋がこの町にある 渡った人は帰らない>。浅川マキ…

2020-06-04 08:19:45 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【筆洗】:<不思議な橋がこの町にある 渡った人は帰らない>。浅川マキ…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:<不思議な橋がこの町にある 渡った人は帰らない>。浅川マキ…

 <不思議な橋がこの町にある 渡った人は帰らない>。浅川マキさんの「赤い橋」(一九七〇年)。その赤い橋を渡ると、みんなどこかへと消えていく。そして、いつかは自分も…。そんな不思議な歌だった▼赤く点灯する東京・お台場のレインボーブリッジを見て、浅川さんの沈鬱(ちんうつ)な歌声を聴いた気分である。東京都は二日、新型コロナウイルスの感染が再び拡大傾向にあると判断し、都民に警戒を呼びかける「東京アラート」を初めて発令した。レインボーブリッジが悲しい「赤い橋」になったのもアラート発令に伴うものだそうだ▼緊急事態宣言が東京で解除されたのが五月二十五日。少しずつ「普通の日」に戻りつつあったのに、わずか約一週間でアラート発令とは悔しくなる▼今のところ、休業の再要請などにはいたっていないが、安心はできないだろう。今、増えている感染者は緊急事態宣言が解除される前に感染した人と考えられる。解除後、町にどっと戻った人波を思い浮かべれば、来週あたり、感染者がさらに増えても、不思議ではないかもしれない▼夜の繁華街での感染が目立つという。一度、緩んでしまった心のたがを再び引き締めるのは苦労だが、気をつけるしかない▼腹黒いウイルスは歌とは違う。橋を渡って、消えていったように見せかけて、こちらがつい油断すると、平気な顔をしてまた帰ってくる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2020年06月04日  07:51:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:給付金委託費 説明責任は国にある

2020-06-04 08:19:36 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説①】:給付金委託費 説明責任は国にある

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:給付金委託費 説明責任は国にある

 コロナ禍対策のための持続化給付金の業務委託をめぐり不透明な資金の流れが浮上している。給付の遅れが目立つ中、看過できる問題ではない。国は実態を調べた上で説明責任を果たすべきだ。

 経営が苦しい中小企業や収入が激減した個人事業主を助ける持続化給付金事業は、経済産業省が所管している。

 同省は事業を七百六十九億円で一般社団法人サービスデザイン推進協議会に委託した。協議会は広告大手の電通に七百四十九億円で再委託していた。さらに電通は一部業務を大手人材派遣のパソナなどに四百五億円で外注していた。

 四年前に設立された協議会の代表理事は給付業務について「一切知らない。(業務は)電通の人がやっている」などと回答している。東京都中央区築地にある協議会の入り口には、先月十九日現在で「お問い合わせは(給付金の)コールセンターまで」との紙が張られていた。

 これでは実体のない組織に委託したと指摘されても否定できないのではないか。再委託の過程で二十億円の差額が生じたことも不可解だ。さらに協議会は電通が設立に関わっている。

 協議会への委託について梶山弘志経産相は「過去に給付を行った際、支払い元に電通と記載され受け取る側が混乱したため」としている。しかし、それなら国からの給付と明記すれば済むはずで納得できる説明とは言い難い。

 持続化給付金は多くの中小企業や店舗、個人事業主にとって頼みの綱だ。だが一律現金給付同様、給付が届いていないという声が噴出している。給付が間に合わず倒産したり仕事を失ったりするケースは各地で起きているはずだ。

 協議会を通じて民間に委託した今回の仕組み自体、迅速性を著しく欠いていることはもはや明白だ。その上、給付業務に不透明さがあったのでは国への信頼は一層揺らぎかねない。

 国の施策が透明性を保ち公平であることは当然であり、民主主義の根幹を成す。ましてや今は未曽有の危機の最中にある。不透明な状況の放置は許されない。

 今後、国は差額の二十億円の名目や使途、協議会を通して電通に委託した理由などについて丁寧に説明する義務がある。さらにその説明は安倍晋三首相が直接国民に向けて行うべきだ。同時に、国会での実態解明のための追及にも強く期待したい。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年06月03日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:検察刷新会議 政治の排除こそ議題に

2020-06-04 08:19:32 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【社説②】:検察刷新会議 政治の排除こそ議題に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:検察刷新会議 政治の排除こそ議題に

 「法務・検察行政刷新会議(仮称)」の設置方針を法相が明言した。前東京高検検事長が賭けマージャンで辞職した問題による。だが定年延長を含めた事実関係も不透明なままでは前に進めない。

 「甘い」が78・5%−黒川弘務・前東京高検検事長の処分を「訓告」で済ましたことに、国民は納得していない。共同通信の世論調査がよく示している。

 賭けマージャンがいけないことは誰もが知っている。だが、人事院指針にも反する「訓告」はなぜなのか。かつ職責や地位が高い者ほど重い処分になるはずなのに目をつぶっている。

 首相や法相らの説明が要を得ないのは明らかだ。国民の怒りはそこにある。

 綱紀粛正だけで足りず、新たに会議を設置するなら、その目的とともに前提となるべき事実関係が明確でなければならない。賭け事を反省するのは当然として、甘い処分になった経緯も十分に説明されるべきである。

 賭けマージャンの相手が新聞記者らだったことから、会議の方向が取材や報道の規制につながる恐れをはらんでいる。メディア側が自らを律するのは必然であるが、黒川氏の問題の根本は、政治権力が人事によって検察組織に介入したことにあるはずである。

 その論点をずらしてはならない。黒川氏は前例のない定年延長を受けた。一月末に閣議決定されたが、実はこの決定経緯もいまだ不透明なのである。さらに検察庁法の改正案を出し、検察幹部の人事に政権が介入できる仕組みをつくろうとした。

 これは検察の独立性を崩すと国民の反発を受け政府は断念した。だが、仮に刷新会議のテーマに「検察の統制」を入れ込むと、再び政治介入の論議が復活しうる。暴走する検察を止めるために政治権力が必要だとの論法で…。

 検察力に対しては、法相が検事総長を指揮する「指揮権」や、市民が主体となる「検察審査会」などの法制度が既にある。しかし、少なくとも検察の見張り役として、およそ政治権力はなじまない。政治権力の腐敗に対抗する存在こそ検察だからである。

 むしろ政府の暴走をどう止めるか、その統制と監督の装置の一つとして検察はある。統治システムに仕組まれた歯止めだ。法相は法案への答弁で「検察の民主的統制」の言葉を何度も出した。歯止めを崩すもくろみがあるなら、刷新会議などは不要である。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年06月03日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:作家の島田雅彦さんがある漫画家について書いている。「危険視…

2020-06-04 08:19:28 | 【訃報・告別式・通夜・お別れの会・病死・事故死・災害死・被害による死他】

【筆洗】:作家の島田雅彦さんがある漫画家について書いている。「危険視…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:作家の島田雅彦さんがある漫画家について書いている。「危険視…

 作家の島田雅彦さんがある漫画家について書いている。「危険視する一部の風潮に逆らってひそかに彼の作品を読むことが当時小学生だったぼくのスリリングな楽しみだった」。「危険」と呼ばれた漫画家が亡くなった。ジョージ秋山さん。七十七歳▼子ども向けギャグ漫画家から出発した秋山さんは、一九七〇年の『アシュラ』(少年マガジン連載)で作風を一変させる。飢饉(ききん)の平安末期、生きるため人を殺(あや)め、その肉まで食う子どもアシュラ。テーマは人間性や罪悪への赦(ゆる)しだが、おびただしい血と死体の山に大人たちは目をむいた▼島田さんは「スリリングな楽しみ」と書いたが、その下の小欄世代は読むのがただ恐ろしくて『アシュラ』のページはあわてて飛ばした記憶もある。それでも、やっぱりと後でこわごわ読んだ。目が離せなかった▼アシュラも『銭ゲバ』も登場人物の目に特徴がある。目の中の上の方にポツンと点のような瞳。その目は恨みがましく冷酷で非情、時に悲しく寂しく見えた。複雑な感情のこもったあの目が人間を生々しく描いた秋山作品の秘密なのかもしれない▼多作にして幅広いジャンル。漫画を極めようとした人だろう。代表作の『浮浪雲』のせりふを思い出す▼「富士山に登ろうと心に決めた人だけが富士山に登ったんです。散歩のついでに登った人はひとりもいませんよ」。高い山に登った。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2020年06月03日  07:13:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【私設・論説室から】:おふくろの歌

2020-06-04 08:19:24 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【私設・論説室から】:おふくろの歌

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【私設・論説室から】:おふくろの歌 

 時々おじゃまする東京・駒場の音楽喫茶室「カフェ・アンサンブル」のママ、望月廸子(みちこ)さん(89)が、ユーチューブへの動画配信を始めた。

 コロナ禍で営業自粛に追い込まれた四月。息子たちが「おふくろの元気な姿を常連さんに見せよう」と発案したそうだ。家族でトークを繰り広げ、廸子さんが歌を披露する。手作りの動画「カフェアンチャンネル」の配信が始まった。

 「知床(しれとこ)旅情」「七つの子」「朧月夜(おぼろづきよ)」…。来年、卒寿を迎える廸子さんだが、歌声に伸びがあり、表情が生き生きとしている。そうか、息子たちは母親を励まそうと動画を始めたのか、と思い至った。

 カフェは開業三十五年。亡き夫が退職金を投じ、手塩にかけた夢の店だという。立派なグランドピアノを置き、合唱団の練習やアマチュア演奏会にも好評だった。

 感染第二波が懸念される中、家族の思いと行政の給付金が支え、という経営者は多いだろう。しかし、ただの客にすぎない私たちもこうした店の未来と無関係ではない。近所のおいしいスパゲティ屋さんも、仕入れの良い花屋さんも、心と暮らしを豊かにしてくれる地域の「資産」ではないか。

 コロナと闘う八十九歳の歌を聴くと、見慣れた街の風景が大切なものだと思えてくる。 (臼井康兆)

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【私設・論説室から】  2020年06月03日  08:19:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説①】:学校の再開 現場の支援きめ細かく

2020-06-04 08:19:16 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説①】:学校の再開 現場の支援きめ細かく 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:学校の再開 現場の支援きめ細かく 

 学校の再開が本格化している。新型コロナウイルスの感染が完全には収束しない中、分散登校など試行錯誤が続く。学びを支えるためには、教員など関わる人を増やすなどの支援が不可欠だ。

 五月二十五日に学校を再開した北九州市では同じ小学校で複数の児童が感染し、クラスター(感染者集団)が発生したとみられている。市内のほかの小中学校でも感染が確認され、市教委では登校前の検温の徹底などを呼び掛けている。一日から再開した学校は緊張感の中で新学期を迎えたことだろう。

 各教育委員会の判断にもよるが、教員の業務量は格段に増えそうだ。教室を含めた校内の消毒作業や給食の配膳など感染拡大防止対策も教員が担うところがある。どこまでの対策が必要なのか、状況を見ながら、柔軟に対応していくことが必要になるだろう。

 政府が配布した「アベノマスク」の着用が必要と受け止められるような文書を生徒に配布し、後に謝罪した中学校もあった。

 家庭の経済状況などさまざまなことへの配慮もあるのだろうが、科学的知見にもとづかない細かなルールを定めることは、家庭や教員の負担をいたずらに増やす恐れもある。

 文部科学省は二〇二〇年度第二次補正予算案に、感染リスクの高い地域で、小学六年、中学三年については、少人数ごとの指導が毎日可能となるよう、教員三千百人を新たに配置する費用などを計上した。

 退職教員らを起用し、クラスを二つに分けて、別々の教室で机の距離を離して指導することなどを想定する。体制が整備されればオンライン授業を組み合わせることも選択肢となるかもしれない。

 小六、中三を優先するのは卒業を控え、学習内容の積み残しができないためだ。ほかの学年では特例措置で学びの遅れを複数年かけて補うことが可能となっている。

 ただ今後の学習量が増えることを考えれば、きめ細かな指導が必要な事情は他学年も同じだ。少人数指導が可能となる範囲拡大を探ることが望ましい。

 常にマスクを着用しての学校生活では、子どもが疲れてしまうこともあるだろう。感染拡大に神経質になるあまり、差別や偏見の根が植え付けられてしまうこともあってはならない。

 感染防止に留意しつつも、児童や生徒一人一人の心に向き合うことがこれまで以上に大切となる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年06月02日  07:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:荒れる米国 トランプ氏の責任重い

2020-06-04 08:19:12 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②】:荒れる米国 トランプ氏の責任重い 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:荒れる米国 トランプ氏の責任重い 

 警察の暴力への抗議行動が全米で荒れ狂っている。トランプ大統領は国民に平静さを取り戻すよう呼び掛けるところなのに、逆にあおるような発言をしている。その責任は重い。

 路上に伏せさせられた黒人男性の首を白人警察官がひざで押さえ付ける。男性は「息ができない」と訴えるものの、警官は聞き入れない−。

 中西部ミネソタ州で男性が死亡したこの事件の映像が流れるや、抗議デモが全米に広がった。一部が暴徒化して略奪や放火も相次いでいる。

 二〇一四年に丸腰の黒人青年が警官に射殺された「ファーガソン事件」を契機に、米司法当局は警官にボディーカメラを装着させるなどの対策を進めたが、警官の暴走は後を絶たない。

 ただ、今回の抗議活動の規模は、公民権運動の指導者だったマーチン・ルーサー・キング牧師が暗殺された一九六八年以来とも評される。新型コロナウイルスの感染拡大で広がる社会不安。人々の怒りが沸騰する下地が出来上がっていたのだろう。

 コロナ禍は低所得者の多い黒人やヒスパニック(中南米系)住民に対し、より深刻な被害をもたらす。感染率や死亡率は白人に比べると目立って高く、人種間格差を浮き彫りにした。

 しかも雇用情勢は極度に悪化し、失業保険の申請件数は四千万件を超えた。

 今回の事態にトランプ氏は民主党の知事や市長の対応を手ぬるいとして、連邦政府の軍投入も辞さない姿勢を見せた。

 暴徒には「略奪が始まれば発砲が始まる」とツイートした。これは六〇年代に人種差別的な白人警察幹部が、黒人社会取り締まりに臨む姿勢を語ったのと同じ表現だ。事態の沈静化を図るどころか、暴動を挑発していると批判されてもしかたのない発言である。

 多民族社会の米国では、大統領は人種間の融和と協調を説くべきだが、逆に分断をあおるのがトランプ流だ。白人労働者層を中核とする支持層受けするとみなしているのだろう。

 南部ジョージア州の州都アトランタはキング牧師の生誕地である。黒人女性のボトムズ市長は「これは抗議行動ではない。キング牧師の精神にも反する。単なる暴動だ」と述べ、デモ参加者に帰宅を促した。

 よほど指導者にふさわしい振る舞いである。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年06月02日  07:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【筆洗】:作家の太宰治がある場所について書いている。「何をしても不安…

2020-06-04 08:19:08 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【筆洗】:作家の太宰治がある場所について書いている。「何をしても不安…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:作家の太宰治がある場所について書いている。「何をしても不安…

 作家の太宰治がある場所について書いている。「何をしても不安でならぬ時」や「心の弱っている時」にそこに飛び込みたくなるという。その場所にいれば、少しホッとし助けられる。「あんな、いいところは無い」−。どこだかお分かりか▼映画館である。世間から切り離された真っ暗な空間。そこに映しだされる物語に「観衆と共に、げらげら笑い、観衆と共に泣く」。それが救いとなる。映画は「優しい慰め」。よく分かるという人もいるだろう。終戦直後のカネのない時代にも映画館に大勢の人が詰め掛けたと聞くが、これも「心の弱っている時」と関係があろう▼「あんな、いいところは無い」場所が帰ってきた。東京都は一日、新型コロナウイルス対策の休業要請をやや緩め、これによって映画館が営業を再開した。また一歩「普通の日」に近づいた。再開に長蛇の列ができたところもあったそうだ▼不要不急の外出。映画館へ行くのもそれに該当するのだろう。けれども不要不急なものが生きていく上でどれだけ大切で欠かせぬ存在だったか。そう気付かされた自粛期間中の日々だった▼朗報の一方、コロナの影響で映画館や劇場、ライブハウスなどの娯楽施設の中には経営が厳しいところもあると聞く。存続の危ぶまれるミニシアターもある▼人を慰め、夢見る場所を守りたい。その場所は無論、「不要」ではない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2020年06月02日  07:14:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:感染追跡アプリ 個人情報守る配慮を

2020-06-04 08:18:55 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説①】:感染追跡アプリ 個人情報守る配慮を 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:感染追跡アプリ 個人情報守る配慮を 

 新型コロナウイルス第二波の防止策として、感染追跡用の携帯電話アプリが注目されている。ただ、すでに導入された国では個人のプライバシー侵害の懸念も出ており、慎重な活用が望まれる。

 日本で開発が進んでいるのは、スマートフォンの「ブルートゥース」と呼ばれる近距離無線通信を利用したものだ。政府は六月中の実用化を目指している。

 米IT企業が開発したシステムを土台としている。同じアプリを入れたスマホが「一メートル以内に、十五分間以上」あると、情報が暗号化されたうえ、双方のスマホ内に記録される。

 このデータを基に、感染者と濃厚接触の可能性のある人に通知が届く仕組み。データは二週間後に自動的に削除される。アプリを使うかどうかは、個人の判断だ。

 感染防止と経済活動の両立を図るため、追跡アプリへの期待が高まっており、欧州でも広く導入が進んでいる。もちろん万能ではなく、課題も指摘されている。

 中国では、民間企業が「健康QRコードアプリ」を開発。立ち寄り先の情報などから携帯所有者の感染のリスクをQRコードで表示する。公共交通の利用やビルなどに入るには、提示が求められる。

 感染予防には役立っているものの、個人情報の扱いが不透明なため、市民の「監視」に使われているのではないかとの批判もある。

 韓国では、クレジットカードの使用歴、携帯電話の位置情報などから感染者の移動経路を特定し、公開。民間開発のアプリが、このデータを再利用している。

 感染者の実名や立ち寄った店名が特定されてしまうケースが相次いだため、公開範囲の見直しが行われた。

 先行してブルートゥース型追跡アプリを開発したシンガポール政府は、市民に利用を奨励した。

 しかし、アプリの使い勝手が悪いうえ、収集したデータを政府が管理することなどから、アプリの普及率は三割にも満たない。

 専門家によれば、感染追跡アプリが効果を発揮するには、六割以上の普及率が望ましい。

 これを達成するには情報の扱いについて事前に十分に説明し、透明化する必要がある。社会の安全を優先するのでなく、個人情報の保護への配慮が欠かせない。

 また、スマホに慣れていない高齢者にも分かりやすい設計や、濃厚接触が確認された人が、安心してPCR検査を受けられる制度の整備も必要だ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年06月01日  08:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:働く妊婦の保護 休める支援を職場から

2020-06-04 08:18:50 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説②】:働く妊婦の保護 休める支援を職場から

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:働く妊婦の保護 休める支援を職場から

 働く妊婦にとって新型コロナウイルス感染への不安は大きい。政府は休業や在宅勤務などの対応を企業に義務付けたが、実効性には疑問符がつく。妊婦が安心して働ける支援を職場から広げたい。

 現時点では妊娠中の女性が感染すると重症化しやすいとのデータはないと言われるが、未知のウイルスで未解明な部分は多い。妊婦にすれば自身と生まれてくる子どもへの影響を心配する日々だ。

 胎児への影響を考えると服用できる薬や検査も制限される。感染した場合に出産できる医療機関も限られてしまう。

 人と接する機会が多い医療や介護、保育士、スーパーや店舗業務などは女性の働き手が多い。特にマスクや消毒液、防護具が不足する医療現場ではそのストレスは相当なものに違いない。

 厚生労働省は経済団体に在宅勤務の導入や休業などをしやすい環境づくりなどの配慮を要請してきたが拘束力はない。休業を認めてもらえなかったり、解雇をほのめかされたケースもあったようだ。

 厚労省は五月、男女雇用機会均等法に基づく指針を改正した。来年一月末までの期間、妊婦本人から申し出があれば感染のおそれが低い業務への転換や、在宅勤務、休業などを認めるよう企業に義務付けた。

 申し出をする際、医師や助産師の指導内容を記載した「連絡カード」を事業主に示し、その内容に沿った対応を求める。

 連絡カードの活用は申し出をしやすくする効果はあるだろう。ただ、人手不足の職場や、感染対策で業務が増えた業種では休むことへの罪悪感からなかなか本人から声を上げづらいのではないか。

 今回の改正では体調に今すぐ問題がなくても感染へのストレスを理由に申し出ができるが、その周知不足から産科医がカードへの記入を拒否した例もあったという。周知は政府の責任だ。

 このほか働く妊婦には、残業や休日労働、深夜業の制限などは労働基準法で医師からの指導がなくても請求が認められている。こうした規定も活用すべきだ。

 妊婦が体調を崩したり、不安から退職してしまっては企業にとっても人材を失うことになる。妊婦が働ける環境づくりを事業主や職場は取り組んでほしい。

 政府は妊婦に休業補償を払う事業主への助成制度を創設するが、その周知も必要だ。感染症とは共存を求められる。今回の改正の恒久化も今後の課題になる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年06月01日  08:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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