【社説・01.10】:米軍事件再発防止 海兵隊削減こそ抜本策だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.10】:米軍事件再発防止 海兵隊削減こそ抜本策だ
再発防止策は機能せず、組織として統制が取れていない。速やかに海兵隊を大幅削減する以外、米軍事件抑止策はないと言わざるを得ない。
昨年11月、沖縄本島内の部屋の一室で、面識のない成人女性に性的暴行を加えてけがを負わせたとして、県警が在沖米海兵隊員を不同意性交致傷の疑いで書類送検した。
今回の事件の前にも米兵による性被害が相次いでいる。2023年12月、16歳未満の少女を誘拐して性的暴行を加えたとしてわいせつ誘拐、不同意性交の罪で米空軍兵長の男が実刑判決を受けている。
さらに24年5~6月には、それぞれ別の米海兵隊員による不同意性交致傷事件が2件相次いで発生し、いずれも起訴された。
在日米軍は昨年10月、基地外での兵士の行動を規制する「リバティー制度」を見直した。午前1時から5時まで、全ての兵士はバーや居酒屋など飲酒ができる施設に立ち入ることが禁止され、自宅などを除く基地外の公共の場での飲酒を禁じている。19歳以下の全ての兵士については同時間帯の外出も禁じた。
性犯罪防止のための教育を完了していない兵士に対して指揮官が外出を禁じる再発防止策を発表している。
それでも事件や事故が繰り返されているのは、在沖米軍が統制が取れていない組織であることの表れだ。規律の乏しい軍隊が沖縄に駐留し続けるのは危険極まりない。これまで隣り合わせでの共存を強いられてきたが、このままでは駐留は認められない。
林芳正官房長官は9日の記者会見で「在日米軍に綱紀粛正と再発防止の徹底を働き掛けていく」と述べた。実質が伴わない、その場限りの空疎なコメントは聞き飽きたというのが県民の正直な気持ちである。政府は外国軍の兵士によって県民の安全が脅かされ、人権を傷つけられる事態が相次いでいることを深刻に受け止めているのか、はなはだ疑問だ。
玉城デニー知事は、事件が繰り返し発生していることについて、「米軍実施の再発防止策の実効性に強い疑念を持たざるを得ず、在沖米軍内の規律の在り方が問われる深刻な事態だ」との認識を示したが、当然である。
県内における米軍絡みの事件・事故を減らす最も有効な策は、沖縄に駐留する兵士の数を削減することである。昨年12月に在沖米海兵隊の米領グアムへの移転が始まり、先遣隊100人が25年中に移転を完了することが発表されたが、4千人以上とされる全体の移転計画を日米両政府は加速化させる必要がある。
さらに、在日米軍司令官が昨年7月に提案した、事件事故の防止に向けた新たな協議の枠組み「フォーラム」を早急に開催し、再発防止策を策定すべきだ。事件が起きてからでは遅い。一刻の猶予もないことを両政府、米軍は自覚しなければならない。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月10日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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