【HUNTER・10.23】:非公認・西村元経産相陣営の開き直り
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・10.23】:非公認・西村元経産相陣営の開き直り
解散総選挙に打って出た石破茂首相が電光石火で踏み切った「裏金議員斬り」。安倍晋三元首相の下で我が世の春を謳歌していたのが安倍派5人衆だったが、松野博一元官房長官を除く4人が非公認となり、無所属候補として戦っている。そのうちの一人、西村康稔元経産大臣は安倍派の事務総長として裏金の「継続」に深く関与し、党員資格停止1年という重い処分を受けた。さらに、全国的に悪名をとどろかせた斎藤元彦前兵庫県知事を擁立したことでも批判を浴びており、兵庫9区は注目の選挙区だ。
立憲民主党が新人の橋本慧悟氏、日本維新の会は新人の加古貴一郎氏、共産党は新人の高田良信氏を擁立している。
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衆議院が解散となって数日後、西村氏は明石市の集会でマイクを握り、危機感いっぱいに訴えた――「無所属の私、維新、共産との争いかと思っていたら立憲がきた。しかし、実質的には前明石市長が裏にいる。泥沼、血みどろの戦いだ」。
西村氏を追い込んでいるのは、裏金事件と斎藤前県知事の明代。橋本氏の出馬で、これまでのような余裕の選挙戦ではなくなった。
西村氏のライバルとみられる橋本氏は前明石市長の泉房穂氏の「弟子」。舌鋒鋭いコメントでテレビ番組などで引っ張りだこの泉氏は、明石市長退任後、「明石市民の会」という政治団体を設立し2022年の兵庫県議選に橋本氏を擁立し、トップ当選させた。泉氏はこう話す。
「橋本くんは、僕に出ろ出ろとさかんに勧めてきたが、私はまだ自分というカードを切るべきではないと判断した。そこで『橋本くん、キミが出ればいい』と背中を押した。ただ、無所属でいくか、立憲民主党からでて比例復活の可能性を探るかは、橋本君に任せました。西村さんという大きな壁が立ちはだかっていますが、裏金事件、政治とカネが争点になる衆院選は絶好のチャンス」
西村氏は先の集会で、「国を任されていた10年間、官房副長官、経産大臣、コロナ担当大臣としてやってきた。政治資金の不記載で、自民党から処分を受けてからはほとんど地元にいる。初心にかえってやっていくので、よろしくお願いします」と深々と頭を下げた。しかし、拍手をする人がいる一方、しらけた表情の有権者もいた。西村氏の集会に参加していたある自民党支持者が次のように本音を漏らす。
「西村さんも必死や。けど、裏金と斎藤の問題、どっちも西村さんの責任は重大。泉さんが橋本さんを応援しているとなれば、そっちも考えないとね」
西村氏は当選7回。自身が語るように、この10年は国政の中心にいた。対抗馬の橋本氏は、県議になる前は兵庫県小野市の職員で政治キャリアは1年ちょっと。その比較だけでは、西村氏が圧倒している。しかし、2023年の県議選・明石市選挙区では橋本氏が3万2千票あまりを得てトップ当選。2位は西村氏にも近く、明石市長を2期8年務めた北口寛人氏だったが、1万6千票とダブルスコアの差をつけられていた。西村陣営も危機感を隠そうとしない。
「今日、投票日ならなんとか知名度で勝てると思う。しかし、橋本陣営が勝負になるとおもえば、泉さんが台風のように現れてマイクを握り、一気に票をさらっていくはず。こちらは追いかけられる立場で、カネも人手もかかる。正直、ここにきて非公認のダメージを痛感しています」(西村氏の陣営幹部)
無所属出馬となれば、党の公認料など約1,500万円とされる選挙資金がもらえない。供託金も自己負担だ。またテレビなどの政見放送にも出演ができず、経歴が紹介されるだけ。選挙ビラも公認となれば11万枚だが、無所属だと7万枚までと制限を受ける。
西村陣営は連日、明石市や淡路島3市で選挙への対応を協議する会議が開かれている。その模様を記録したデータをハンターが入手した。衆院選では選挙期間中に候補者や政党が「公選推薦はがき(選挙用はがき)」を有権者に配布できる。西村氏の陣営では、会議で「推薦はがき(選挙がはじまる)10月15日からご近所に配ってほしい。実際、はがきを配って、こちらに返してもらうという形で輪を広げていく最後手段として考えてます。ただ戸別訪問と関係もあり、グレーゾーンはありますが」と語っていた。
選挙期間中の投票依頼を目的にした戸別訪問は、公職選挙法で禁じられている。だが、選挙用はがきを配るだけので、戸別訪問ではないという見解。選挙用はがきを利用した抜け穴というわけだ。西村陣営はある人物は、開き直って次のように話す。
「西村さんが悪くないと言うつもりはないんです。ただ(安倍派の)一番の上の事務総長をしていたということで(党員資格停止の)罰を受けた。岸田さんは(総裁選で)再選を果たそうとしていたけど、支持率が上がらない。挽回しようと安倍派潰しに動き、そのとばっちり受けたのが西村さんでしょう。西村さん、反省はしとるけどもまったく悪いことはしてない。(裏金は)100万円で、帳簿にものせている。西村さんとしては、裏金議員と呼ばれることが心外なのです」
裏金事件で悪いのは、旧安倍派や旧二階派の議員である。それを岸田文雄前首相を悪者にして西村氏の行為を正当化するのだから呆れるしかない。
無所属の西村氏は小選挙区で当選するしか、道はない。この衆院選で退場してもらうのが一番だと思うが……。
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会・疑惑・2024衆院選、「政治とカネ」】 2024年10月23日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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