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【社説・01.10】:多様化する家族観 法整備の遅れ 直視する年に

2025-01-11 07:00:45 | 【LGBTQ+=ジェンダー・アイデンティティ、レズ、ゲイ、バイセクシャル、

【社説・01.10】:多様化する家族観 法整備の遅れ 直視する年に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.10】:多様化する家族観 法整備の遅れ 直視する年に 

 衆院で野党優勢となった国会が進めるべきは、多様化する家族観を踏まえた法整備の審議である。

 従来の自民党政権が党内事情を優先するあまり後ろ向きだった政策分野だ。加えて国会議員に、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の一つでもあるジェンダー平等を学んだ若い世代や、女性の割合が著しく低いことも対応の遅れを招いてきたといえる。

 家族の在り方は人それぞれに価値観があり、時代とともに変化した。少数者や社会で不利益を受けている人の声を聞き、分断の溝を埋める議論ができる機会と捉えたい。国会に求められる務めを直視し、実行の年にすべきだ。

 選択的夫婦別姓は現行で義務付けられている同姓だけでなく、夫婦がそれぞれの姓を名乗れる制度で、30年近く法案審議が棚上げされてきた。昨年の衆院選で導入に前向きな政党が議席を伸ばし、立憲民主党は今月下旬からの通常国会に法案を提出する方針を示した。慎重だった日本維新の会でも、新執行部の幹部から別姓に肯定的な意見が出てきた。公明党は自民党に与党協議を強く呼びかける。

 世論は昨年5月の共同通信調査で賛成が76%に上ったように、変化している。経団連もビジネス上での障壁が看過できなくなったとして早期導入を求める。自民党内で賛成を明言する議員も増えた。党は議論に臨むべきだろう。

 当事者は生活や仕事での旧姓の通称使用では限界があると訴える。それ以上に「アイデンティティーの問題だ」という主張にはうなずける。生き方や家族の在り方の選択肢が狭められ、改姓するのは女性が95%と偏っている。

 反対する自民党の保守派は「家族の一体感を損ねる」と言う。廃止されたはずの民法の家制度に基づく意識を、異なる価値観の家族に押し付けかねない危うさがある。

 法案を基に賛否の意見をオープンに掘り下げる段階に来ている。子どもの姓をどう決めるのか、影響が大きい論点もある。国会での熟議と、国民との対話によって導入への機運醸成に努めるべきだ。

 折しも今年、女性差別撤廃条約の批准から40年になる。昨年10月、国連の委員会から別姓導入について4度目の勧告を受けた。政府としてもこれ以上の放置は許されない。

 同性同士の結婚を認める法整備も急がれよう。昨年、民法などの違法性を争った控訴審で三つの高裁が憲法違反と断じた。しかも婚姻の自由を保障した憲法24条、法の下の平等の14条、幸福追求権の13条と、各地の訴訟で争点となった条項全てを巡って違憲判断が出たことは重い。立法措置を強く求められている。

 自治体で関係性を公的に証明するパートナーシップ制度が広がるものの、税の優遇や相続など法的な保護を受けられない事態は切実だ。石破茂首相は先の臨時国会の参院予算委員会で、同性婚が実現すれば「日本全体の幸福度にとってプラス」と答弁した。求められているのは論評ではなく、政権与党の政治的なリーダーシップである。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月10日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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