【金口木舌・12.20】:兄ちゃんとバイクに乗って
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・12.20】:兄ちゃんとバイクに乗って
北風吹きすさぶ嘉手納町役場の屋上から見下ろす嘉手納基地。米軍はこの1年で通算10回目となるパラシュート降下訓練を強行した。けし粒のように空にまかれた兵士は次々と落下傘を開き、音符のように地に降りた
▼フランシス・コッポラ監督の映画「地獄の黙示録」で、米軍の“空の騎兵隊”がベトナムのヌング川河口に侵攻する際に流れたリヒャルト・ワグナーのオペラ「ワルキューレの騎行(きこう)」
▼勇壮な音符の下で殺されたベトナムの無数の人々にもその音楽はささげられたか。無数の若い米兵も亡くなった。戦争の死者は誰もが歴史の中で匿名のまま
▼ワルキューレは欧州の神話などで「戦死者を選ぶもの」を指すそう。戦争で長らく生殺与奪を握ったのは強い軍隊だ。それでも大国米国はベトナム戦争に敗北。今まだ世界の戦争の混迷は止まらない
▼ベトナム戦争を前にした62年前のきょうの昼、旧嘉手納村屋良に米軍のKB50空中給油機が墜落し24歳の青年ら2人の住民が死亡した。兄とオートバイに2人乗りで瑞慶覧までドライブも楽しんだ青年。楽しい道すがらを思い、同じような経路をたどって合掌する。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2024年12月20日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます