路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【北九州市の中3殺傷】:事件後に外出控えた容疑者、3日連続で出前注文…そば店男性「そわそわした様子」

2024-12-20 23:30:30 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【北九州市の中3殺傷】:事件後に外出控えた容疑者、3日連続で出前注文…そば店男性「そわそわした様子」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【北九州市の中3殺傷】:事件後に外出控えた容疑者、3日連続で出前注文…そば店男性「そわそわした様子」

 北九州市小倉南区のファストフード店で中学3年の男女が殺傷された事件で、男子生徒(15)に対する殺人未遂容疑で逮捕された無職 平原ひらばる 政徳容疑者(43)。事件後の行動も徐々にわかってきた。

ひっそりとした平原容疑者宅(20日午後4時41分、北九州市小倉南区で)=佐伯文人撮影
ひっそりとした平原容疑者宅(20日午後4時41分、北九州市小倉南区で)=佐伯文人撮影

 捜査関係者によると、平原容疑者には妻子がいたが離婚し、2階建て一軒家に一人暮らし。防犯カメラやドライブレコーダーの映像を精査した結果、事件当日の14日は現場のファストフード店から車で帰宅した後、同じ車で買い物に出かけたとみられる。事件の際と同じ黄色いサンダルなどの姿のままだった。 

 しかし、県警が行動を確認し始めた事件3日後の17日頃以降は、警戒していたのか、外出せずに自宅にとどまっていたという。

 この間も平原容疑者と接触があったのが、出前を届けたというそば店の男性(65)だった。

 男性の話では、平原容疑者は16日から3日連続で、いずれも正午頃、カツ丼やざるそばの出前を注文してきた。それまで注文歴はなく、逮捕前日の18日には、メニュー表も届けるよう言われたという。

 料理を届けに行くと、玄関にはごみが入った袋がいくつも積まれ、靴は散乱していた。平原容疑者はトレーナーにスエット姿。食べ終えた後の器を軒先に出しておくよう男性が伝えると、平原容疑者はうなずいただけで一言も発せず、ドアを閉めてすぐに鍵をかけた。

 18日は出前で訪れると、平原容疑者がビール瓶を片手に出てきて、料理を受け取る際に瓶を床に落とした。「おろおろ、そわそわした様子で、落ち着きがなかった」と振り返る。

 自宅では3日間とも無言で、「何もしゃべらないから不気味だった」。ただ、器を回収に行くと、毎回きれいに平らげていたという。男性は「逮捕後にあの家だとわかり、まさかと思った」と驚いた様子だった。

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 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 社会 【事件・疑惑・ 北九州市小倉南区のファストフード店で中学3年の男女が男に殺傷された事件】  2024年12月20日  23:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【北九州市の中3殺傷】:容疑者は車で店周辺を行き来し物色か…複数の刃物や黄色いサンダル押収

2024-12-20 21:31:30 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【北九州市の中3殺傷】:容疑者は車で店周辺を行き来し物色か…複数の刃物や黄色いサンダル押収

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【北九州市の中3殺傷】:容疑者は車で店周辺を行き来し物色か…複数の刃物や黄色いサンダル押収 

 北九州市小倉南区のファストフード店で中学3年の男女が男に殺傷された事件で、男子生徒(15)に対する殺人未遂容疑で逮捕された近くの無職 平原ひらばる 政徳容疑者(43)の車が事件前、同店の周辺を行き来していたことが捜査関係者への取材でわかった。この車や自宅からそれぞれ複数の刃物が押収され、一部は男子生徒が見た特徴と一致することも判明した。

送検のため、小倉南署を出る平原容疑者を乗せた警察車両(20日午後2時9分、北九州市小倉南区で)=長野浩一撮影
送検のため、小倉南署を出る平原容疑者を乗せた警察車両(20日午後2時9分、北九州市小倉南区で)=長野浩一撮影

 福岡県警によると、平原容疑者は14日午後8時25分頃、同店で、同区の男子生徒の腰を刃物のような物で突き刺して殺害しようとした疑い。事件では、一緒にいた女子生徒(15)も腹部を刺されて死亡した。県警は平原容疑者と2人に面識はなかったとみている。 

 捜査関係者によると、防犯カメラの映像などを解析したところ、事件前に同店の周囲を往来する不審な黒いワンボックスカーが浮上。映像をつなげて足取りを追う「リレー捜査」でナンバーが判明した。車は同店駐車場に入ると、事件発生直後に駐車場を出て、約1キロ南西の平原容疑者宅に戻った。県警は、平原容疑者が事件を起こす場所を物色していた可能性もあるとみて調べている。

送検される平原容疑者(20日午後2時7分、北九州市小倉南区で)=秋月正樹撮影
 
送検される平原容疑者(20日午後2時7分、北九州市小倉南区で)=秋月正樹撮影

 19日の捜索では、この車と自宅から、それぞれ複数の刃物が見つかり、一部の形状は男子生徒の目撃情報と同じだった。逃げた男が着用していたとみられる灰色の上着や黒色のズボン、黄色いサンダルと特徴が同じ衣服・履物もそれぞれ押収した。衣服に目立った血痕は確認されなかったという。

 県警は20日、平原容疑者を殺人未遂容疑で福岡地検小倉支部に送検した。容疑を認める一方、取り調べの際に声を荒らげることもあり、動機に関して現時点では話していないという。県警は女子生徒に対する殺人容疑も捜査する。

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 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 社会 【事件・疑惑・ 北九州市小倉南区のファストフード店で中学3年の男女が男に殺傷された事件】  2024年12月20日  21:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.20】:ホンダと日産 大変動期に臨む連合策

2024-12-20 16:05:50 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説①・12.20:ホンダと日産 大変動期に臨む連合策

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.20】:ホンダと日産 大変動期に臨む連合策 

 自動車産業の大きな変動期に生き残りを図る連合策といえよう。

 ホンダと日産自動車が経営統合に向けて協議していることが分かった。

 持ち株会社を設立し、傘下に入る方向という。販売台数で世界7、8位の2社が統合すれば、3位の規模になる。

 日産と企業連合を組む三菱自動車も合流する見込みだ。日本勢は、最大手のトヨタ自動車を中心とするグループと二つに集約されるという大規模再編を意味する。

 脱炭素化に向けて拡大する電気自動車(EV)や自動運転の市場獲得を競う中、合従して出遅れを挽回し、先行する新興メーカーなどに対抗できる競争力を高める狙いだろう。

 独立路線を貫いてきたホンダと、経営改善が急務の日産の統合協議は、業界の構造変化への対応と競争の厳しさを物語る。ホンダが日産救済に動いた面も大きく、異文化の統合効果が問われよう。

 EV市場で日本勢は劣勢が目立つ。昨年の販売首位の米テスラ、次ぐ中国の比亜迪(BYD)の各150万台超に対し、日産は約14万台、ホンダは燃料電池車(FCV)と計2万台にも満たない。

 欧米などで急速なEVシフトに鈍化もみられるが、中長期的な需要拡大は底堅い。最大市場の中国は、新車販売の約4割がEVなど新エネルギー車とされる。販売不振からホンダ、日産とも中国の一部工場を閉鎖・休止し、三菱自は昨年に現地生産から撤退した。

 日産の9月中間期純利益は前年同期の10分の1に急減し、9千人削減と世界生産能力の2割縮小を打ち出す苦境にある。台湾の鴻海精密工業による買収検討が取りざたされる中、3月に提携協議を始めたホンダと、より踏み込んだ経営統合へ話が進んだようだ。

 EVや自動運転分野は巨大IT企業も参入し、開発にしのぎを削っている。競争力を左右する車載ソフト開発に莫大な資金が必要で、経営統合により、分担して投資を加速できるメリットがある。

 製造部品の共通化によるコスト削減も見込まれる。両社の取引企業は延べ約3万5千社に上る。生産・供給網の統廃合や地域経済への影響にも目を配る必要がある。

 EVやFCVも希少金属を含む多くの資源とエネルギーを消費する。従来の大量生産・販売の競争でなく、情報通信による移動・輸送ニーズの代替も見据え、持続可能な生活スタイルにふさわしい事業構造を目指すべきだろう。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月20日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.20】:米海兵隊の移転 負担軽減にはほど遠い

2024-12-20 16:05:40 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【社説②・12.20:米海兵隊の移転 負担軽減にはほど遠い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.20】:米海兵隊の移転 負担軽減にはほど遠い 

 「基地負担の軽減」にはほど遠いと言わざるを得ない。

 沖縄県に駐留する米海兵隊の一部が米国のグアム島へ移転を始めたと、中谷元防衛相が発表した。

 2006年に日米で合意した在日米軍再編のロードマップに盛り込まれ、18年が経過している。

 今回は「先遣隊」としてわずか100人の移転にとどまる。しかも、第2陣以降の移転計画は白紙である。

 中谷氏は「大きな節目」と地元負担の軽減をアピールするが、いかにも苦しい。これまでに日本側は移転先の整備費などに3700億円以上を負担しているが、見合う効果も全体像も見えないのでは、国民の理解は得られまい。

 在日米軍の再編計画は、沖縄県普天間飛行場の移設と海兵隊の移転が柱で、グアムには4千人以上が移転し、約5千人が米国本土やハワイに移転する。

 問題は、移転実施が完全に米軍任せになっていることだ。在沖縄海兵隊の兵員数そのものが明らかにされておらず、どれほどの移転かもはっきりしない。政府は米側に計画の詳細と実施日程の開示を求める必要がある。

 移転合意後の環境変化から、在日米軍の態勢も見直され、沖縄の基地負担は軽くなるどころか重みを増している。

 名護市辺野古の米軍新基地建設は、選挙や県民投票で反対の民意が示されたにもかかわらず、工事が強行されている。

 米軍は中国の軍事展開を意識し、海兵隊の集中配置から、小規模な部隊の分散配置で機動力を高める方針に転換している。

 沖縄を「戦略的要衝」とする位置付けは変わりなく、12年の移転計画の一部見直しで海兵隊司令部は沖縄に残ることが決まっている。今後、着実に移転が進むのかは不透明だ。

 石垣島など八重山地方では日米合同軍事演習が繰り返され、「先島諸島は軍事要塞化しつつある」との指摘も強まっている。

 米兵による性犯罪などが後を絶たぬ中、米軍に特権的扱いを与えている日米地位協定は手つかずのままだ。

 石破茂首相は自民党総裁選中、沖縄で「日米地位協定の見直しに着手する」と述べたが、首相就任後は「日米同盟の信頼性を高める観点で検討する」とトーンダウンした。

 「物言えぬ」同盟ではなく、目の前にある沖縄の苦しみを取り除く主体的な動きが不可欠だ。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月20日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《憂楽帳・12.20》:サンタの正体

2024-12-20 13:15:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

《憂楽帳・12.20》:サンタの正体

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《憂楽帳・12.20》:サンタの正体

 小学6年の息子がついにサンタクロースの正体を知った。同級生に教えられたらしい。うちは3歳下の娘がまだ信じているので、尋ねられても答えをはぐらかしていたのだ。

 人は何歳ぐらいまでサンタを信じているものなのか。乳幼児心理学が専門の富田昌平・三重大教授が学生76人にアンケートしたところ、幼児期までが21%、小1~小3までが48%、小4~小6までが21%、中学まで…

 ■この記事は有料記事です。残り270文字(全文450文字)

 ■続きは、会員登録後、お読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京夕刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【憂楽帳】  2024年12月20日  13:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《憂楽帳・12.19》:物語の「その後」

2024-12-20 13:15:20 | 【神道・伊勢神宮を本宗・神社本庁、明治神宮他全国約8万社の神社、敬神生活の...

《憂楽帳・12.19》:物語の「その後」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《憂楽帳・12.19》:物語の「その後」

 今年も鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)のイチョウが鮮やかに黄色く染まった。鎌倉の名所だが、14年前の一大事を覚えているだろうか。

 2010年3月、樹齢1000年とされる高さ約30メートルの大イチョウは強風で倒れた。鎌倉幕府の三代将軍・源実朝を暗殺した公暁が潜んでいた「隠れ銀杏(いちょう)」として伝えられてきただけに、当時は大きな話題になった。

 「再生は厳しい」とみる専門家もいたが、関係者は残った幹を切断して近くに植えた。採取した枝を育苗箱で育てるなど、手を尽くした。倒木直後の1カ月間に、再生を願って記帳に訪れた人は6万人に上った。多くの人の思いが通じたかのように、幼木は高さ8・5メートルまで成長。鶴岡八幡宮の吉田茂穂宮司は「生命力が強かったのだと思う」と目を細める。 

 ■この記事は有料記事です。残り122文字(全文458文字)

 ■続きは、会員登録後、お読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京夕刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【憂楽帳】  2024年12月19日  13:04:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説・12.20》:ホンダと日産 問われる統合の相乗効果

2024-12-20 09:31:50 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

《社説①・12.20》:ホンダと日産 問われる統合の相乗効果

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.20》:ホンダと日産 問われる統合の相乗効果 

 ホンダと日産自動車が、経営統合に向けた協議を始めた。

 日産と企業連合を組む三菱自動車も合流する見通しだ。実現すれば販売台数で世界3位の巨大グループが誕生し、国内の自動車業界はトヨタグループと二つの勢力に集約される。

 日本経済を引っ張ってきた業界の将来を左右する動きだ。部品の供給など関連する企業の裾野は広く、地域への影響も大きい。

 世界の自動車業界はいま、脱炭素に伴う電気自動車(EV)へのシフトや自動運転技術の進展によって、「100年に1度」と言われる変革期を迎えている。

 米テスラ、中国・比亜迪(BYD)などの新興メーカーがEVで台頭する一方、日本勢は出遅れが目立つ。単独での生き残りは厳しさを増しており、結集して対抗する方向に傾いたようだ。

 ただ、ホンダと日産にはそれぞれ独自に積み上げた技術があり社風も違う。その壁を乗り越え、互いの強みを生かして相乗効果を発揮できるかが成否を握る。

 両社は今年3月、EVの中核部品や車載ソフトの分野で経営資源を共有する戦略提携を検討すると発表。それが統合協議にまで発展した形だ。背景には、日産の経営悪化があったとみられる。

 日産は米国や中国での販売不振が深刻で、2024年9月中間期の純利益は前年同期から9割も減少した。11月に、26年度までに世界で9千人を削減するリストラ策を明らかにしていた。

 この状況に注目したのがEVに参入した台湾の鴻海精密工業だ。買収の検討を始めたため、ホンダは日産を奪われると戦略の大幅な再考を迫られると考え、統合協議に踏み込んだ―。業界内で指摘される「事情」である。

 鴻海は、米アップルのiPhone(アイフォーン)の受託生産などで成長した企業だ。自動運転に使う車載ソフトが車の性能を左右する重要な要素となるなど、業界で進む大きな変化を反映した展開と言えるだろう。

 帝国データバンクによると、ホンダと日産に部品などを納入するサプライチェーン(供給網)に入っている企業数は、長野県内を含め延べ約3万5千社に上る。

 統合が実現すれば、生産コストの削減を狙って製造部品の共通化が進むことが想定される。供給網の再編が進み、下請けにも大きな影響が及ぶ可能性がある。

 多くの下請け企業が協議の行方を注視している。両社は責任をもって丁寧に向き合ってほしい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月20日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・12.20》:学術会議法人化 学問の自由を堀り崩すな

2024-12-20 09:31:40 | 【学術・哲学・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

《社説②・12.20》:学術会議法人化 学問の自由を堀り崩すな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.20》:学術会議法人化 学問の自由を堀り崩すな 

 日本の科学者を代表する機関の実質的な解体につながりかねない動きである。法人化が所与の前提であるかのように事を進めるのは認められない。

 日本学術会議のあり方を議論してきた内閣府の有識者懇談会が、法人化に向けた報告書案をまとめた。政府は来年の通常国会に制度改定の法案を提出する構えだ。法人化を既定方針とする政府の筋書きに沿った展開である。

 活動の状況を評価する委員会や監事を置くほか、会員の選考手続きに関しても助言委員会を設け、外部の目を入れることが柱だ。評価委員と監事は首相が任命する。いずれも、学術会議は「独立した活動を阻害するもので、受け入れられない」としていた。

 学術会議は現在、国の「特別の機関」と位置づけられ、政府からの独立が法に明示されている。政府は、国から切り離すことで独立性や自由度が高まると言うが、委員の人選などを通じて、むしろ介入の余地が生まれ、活動が監視の下に置かれかねない。

 科学者を代表する組織の独立と自律を確保しつつ、国の機関として財政の基盤を支えることは、学問の自由を制度の面から保障する意味を持つ。そのことを再確認する必要がある。

 学術会議は、現在の制度を変更する積極的な理由を見いだすのは困難だとする見解を示している。それを押しやって、政府が組織や会員選考のあり方に手を入れること自体が不当な介入だ。

 そもそも学術会議の独立を脅かす挙に出たのは政府である。首相による会員の任命は形式上の手続きであるにもかかわらず、2020年の改選の際、当時の菅義偉首相が6人の任命を拒否した。

 明らかな権限の逸脱に対する批判を逆手に取るように、自民党は学術会議のあり方に矛先を向け、法人化を政府に提言した。軍事研究に加担しない姿勢を学術会議が取り続けていることへのいら立ちがその背後にある。

 04年に法人化された国立大学は政府の管理と統制がかえって徹底され、大学の自治の形骸化があらわになっている。学術会議の独立が損なわれ、学問の自由の防波堤がさらに掘り崩されるのを防がなくてはならない。

 学問研究への圧迫が、言論や思想の弾圧とひとつながりであることを戦時下の歴史は教える。今また圧迫を強める政府の動きに対し、学術会議が毅然(きぜん)と向き合うとともに、主権者として私たちがその背を支える必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月20日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《斜面・12.20》:気がつけば破局では

2024-12-20 09:31:30 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

《斜面・12.20》:気がつけば破局では

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《斜面・12.20》:気がつけば破局では

 フランスの農村では昔、麦をひくのに風車が欠かせなかった。

 蒸気で動かす製粉工場ができると、農家は麦を工場に運ぶようになり、風車は消えていく。

 19世紀の作家アルフォンス・ドーデは、そんな農村の姿を題材に物語を紡いだ…、

 ■この記事は、会員限定の記事です。(残り485文字/全文592文字)

 ■続きは、会員登録後、お読み下さい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【斜面】  2024年12月20日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・12.14】:補正予算案の衆院通過での同床異夢を続けられるか

2024-12-20 07:40:20 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【政界地獄耳・12.14】:補正予算案の衆院通過での同床異夢を続けられるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・12.14】:補正予算案の衆院通過での同床異夢を続けられるか

 ★12日の衆院本会議で補正予算案は一部修正の上、自民・公明両党に加え、野党の日本維新の会、国民民主党も賛成・可決された。立憲民主党代表・野田佳彦は「約束したことが果たされるかどうか、わからない中で決断してしまい、だまされなければいいなと思う」とけん制したが、それは立憲民主党が野党を取りまとめられなかった悔しさも含まれるだろう。13日、政府・与党は防衛力強化の財源を確保の増税について、所得税の増税開始時期の決定を先送りする方針を固めた。全体的には野党の意見を反映させた自民党という構図だが実態は個別野党に配慮して補正予算を上げたといえる。

 ★自民党議員が言う。「少数政党の国民民主党と組んでいても、野党第1党の立憲を巻き込まないとならないし、日本維新の会共同代表・前原誠司がいるおかげで維新も巻き込めた。各野党の顔を立てながら進めていくのはこの国会でのお互いの練習だ。来年の本予算のためにはこのくらいの努力は必要」。一方、ある野党議員は「この程度のあんこで各党が物分かり良く補正に賛成するわけでもない。もちろん補正予算だということもあるが、何か別の思惑が隠されているのではないか」と疑問を呈す。

 ★自民党は野党共闘の阻止が目的。この程度の駆け引きなら簡単だろうが自民党が力をつけ、自信を取り戻せば当然、来夏の参院選挙を衆院選とのダブル選に持ち込んで一気に安定与党に戻したい。そのためのサービス路線なのではないか。それならば全体像が見えてくるようだが自民党議員が言う。「当然、党内には完全与党復帰の青写真があるだろう。だが簡単ではないのが都議会議員選挙、参院選に衆院選となれば首相・石破茂(党総裁)でトリプル選を戦うのかという悩ましい命題が浮かぶのと、そんなトリプル選挙は公明党が大反対する。そこをまとめ上げることができるネゴシエーターが党内にいるのか」という問題。補正予算審議衆院可決での同床異夢を続けられるか。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年12月14日  07:58:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・12.13】:上司からの性的暴行、女性検事の涙の訴え 法相はどう対応するのか

2024-12-20 07:40:10 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【政界地獄耳・12.13】:上司からの性的暴行、女性検事の涙の訴え 法相はどう対応するのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・12.13】:上司からの性的暴行、女性検事の涙の訴え 法相はどう対応するのか 

 ★大阪地方検察庁元検事正・北川健太郎被告が、部下だった女性検事に性的暴行を加えた罪に問われている裁判は、元検事正が勝算があるとしたのか、初公判で「公訴事実を認め、争うことはしません。被害者に深刻な被害を与えたことを深く反省し、謝罪したい」という姿勢から一転、10日、弁護人が会見で「同意があると思っていた」「抗拒(こうきょ)不能だったか疑わしい」と無罪を主張したのはマイナスに働くのではないか。今年多くの国民が朝ドラ「虎に翼」(NHK総合)で学んだ司法界の女性の壁はいまだ厚く、まして大阪検察庁トップの巻き起こした事件の説明としてもあまりにもお粗末だ。

北川健太郎被告

 ★11日、被害を訴える女性検事は会見で涙ながらに「元検事正自身が犯した準強制性交等の罪について、否認に転じ、無罪を主張していることを絶句し泣き崩れました」から始まり、「信頼していた女性副検事から裏切られ、検察職員らからセカンドレイプの被害まで受け、信頼していた検察組織から心無い対応をされ続け、検事総長らから疎まれることもなかった」と続く。「性犯罪事件においてどのように主張すれば逮捕や起訴を免れやすいか、無罪判決を得やすいかを熟知した検察のトップにいた元検事正が、世にまん延する『同意があったと思っていた』などという姑息(こそく)な主張をして無罪を争うことが私だけでなく、今まさに性犯罪被害で苦しんでいる方を、どれほどの恐怖や絶望に陥れ、被害申告することを恐れさせているか、そして、今後さらに多くの性犯罪者に『同意があったと思っていた』と主張させて、性犯罪の撲滅を阻害し、むしろ助長させることになる」。

 ★ほかにも耳を覆いたくなる話が続いた。また検察内部の隠蔽(いんぺい)工作や被告弁護士への情報漏えいまで、ありとあらゆる方向から攻め立てられていることを率直に話した。多くの国民はこの証言に怒りを覚えたと思うが、政治は何ができるのか。法相はどう対応するのか。裁判のゆくえだけでなく、司法や検察の在り方が問われているのではないか。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年12月13日  08:08:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.20】:裏金で政倫審 証人喚問で真相の究明を

2024-12-20 06:05:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・12.20】:裏金で政倫審 証人喚問で真相の究明を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.20】:裏金で政倫審 証人喚問で真相の究明を 

 実態解明はまたも進まなかった。だからといって裏金事件の幕を引いてはならない。

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、政治資金収支報告書に不記載があった旧安倍派、旧二階派の計19人が衆参両院の政治倫理審査会に出席した。

 いずれも公開で1人が1時間程度、弁明して質問に答えた。新たな証言はない。

 この問題が決着しない理由は明白だ。裏金づくりを誰がいつ、どういう理由で始め、何に使ったのか。肝心なことが分かっていないからだ。

 特に派閥の意思決定に関しては、そろって知らないと言うばかりだ。旧安倍派の稲田朋美氏は「派閥の多くの議員は幹部の決めたことに従っただけだという意識がある」と述べた。違法性の認識はなかったという。

 他の議員も「裏金をつくる意図はなかった」「秘書から報告がなかった」と釈明し、知らぬ存ぜぬを繰り返した。

 会計処理に疑問を持ったにもかかわらず、結果的に放置していた議員もいた。無責任と言うほかない。

 衆院の政倫審は15人、参院は4人が出席した。自民は来年夏の参院選に影響が及ばないように、早く区切りを付けたいのだろう。出席に消極的な議員を党執行部がせき立てるようにして、開催にこぎ着けた経緯がある。

 当該議員からは、党や内閣の役職に就けないことへの不満が出ているという。政倫審での説明は最低限の責務である。「みそぎ」になると思ってはならない。

 旧安倍派の萩生田光一氏は2003年の衆院初当選時に派閥事務総長から、パーティー券の販売ノルマ超過分を政治活動費として返すとの説明を受けたと証言した。

 パーティー券の販売収入を還流させる方法で、20年以上前から裏金をつくっていたことがうかがえる。当時の派閥会長は森喜朗元首相だ。

 還流については、安倍晋三元首相が派閥会長だった22年4月に中止を指示した。再開したのは、安倍氏が死去した後の8月にあった幹部会合後とみられる。

 幹部会合に出た塩谷立、下村博文、世耕弘成、西村康稔の各氏は今年3月の政倫審で「結論は出なかった」と述べた。一方、派閥の会計責任者は公判で「復活が決まった」と証言している。

 野党は証言の食い違いを指摘し、自民に再調査を要求しているが、石破茂首相は「新たな事実が出たとは認識していない」とかわす。これまでと変わらず、自民が進んで解明する意欲は見えない。

 裏金事件が発覚して1年になる。貴重な国会審議の時間をこの問題ばかりに費やすわけにはいかない。

 来年1月からの通常国会で決着をつけたい。偽証罪に問われる可能性のある証人喚問で森氏、幹部会合の出席者4人、会計責任者に説明を求めるべきだ。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月20日  06:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.20】:仮装身分捜査/導入に向け課題の解決を

2024-12-20 06:00:50 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【社説・12.20】:仮装身分捜査/導入に向け課題の解決を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.20】:仮装身分捜査/導入に向け課題の解決を 

 首都圏などで相次ぐ闇バイトによる強盗事件を受け、捜査員に架空の身分証を使ってバイトに応募させ、摘発したり犯行を抑止したりする「仮装身分捜査」の導入を盛り込んだ緊急対策を政府がまとめた。来年早い時期の実施を目指す。

 仮装身分捜査は現場の要望を受け長年検討されてきたが、安易な適用を懸念する声は根強い。今後、都道府県警に示すガイドラインで歯止めとなるルールを明確にした上で、実効性のある運用を図るべきだ。

 一連の事件の実行役は若者が大半で、交流サイト(SNS)の「高収入」「ホワイト案件」との書き込みにつられて応募していた。参加を断ると運転免許証などの個人情報を基に「家に行くぞ」などと脅され、逮捕されるまで何度も加担させられる事例も目立つ。多くは報酬も支払われず、卑劣さは際立っている。

 仮装身分捜査では、架空の身分証を作成した上で捜査員が闇バイトに応募し、犯行グループとの接触を図る。実行役として現場に集められる過程で、他のメンバーを摘発する手法が想定され、募集を抑止する効果への期待もある。

 これまで違法薬物や銃器の捜査の一環で、捜査員が身分や目的を隠し密売などの犯行を促す「おとり捜査」が用いられてきた。これに対し、仮装身分捜査は事前抑止が目的で、若者らによる犯行の実行を食い止められる利点がある。

 導入に慎重だったのは、身分証の偽造が本来違法なためだ。一方、刑法は「正当な業務による行為は罰しない」と規定しており、警察庁は現行法下でも実施可能とみている。 

 国外では米国やドイツ、フランスなどが導入しているとされるが、他の犯罪捜査への安易な拡大は避けなければならない。適用を闇バイトに限る特別法を制定するなど、歯止めが欠かせない。摘発に踏み切るタイミングの判断や捜査員の安全確保など捜査上の課題もある。対策をきめ細かく練り上げてほしい。

 闇バイトによる犯行を元から断つには首謀者の摘発が必須だが、秘匿性の高いアプリで遠隔指示するため捜査は容易でない。

 緊急対策は、募集者の氏名や業務内容の記載がない求人情報を違法と明確化し、事業者に削除させるよう求めた。さらに、アプリに対する捜査環境の整備も不可欠だ。憲法が保障する通信の秘密に配慮しながら、通信データの照会を可能にする方策を追求してもらいたい。

 強盗罪の刑罰は5年以上の懲役、強盗殺人は無期懲役か死刑である。将来ある若者が意図せず凶悪犯罪に手を染めるような事態は早急に止めなければならない。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月20日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.20】:【ホンダ・日産】:日本車のあすを占う統合

2024-12-20 05:05:50 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説・12.20】:【ホンダ・日産】:日本車のあすを占う統合

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.20】:【ホンダ・日産】:日本車のあすを占う統合

 日本の「お家芸」といえる自動車産業も、世界的な競争激化に思い切った生き残り策を講じ得なくなったということだろう。

 自動車大手のホンダと日産自動車が経営統合に向け、協議を始めたことが分かった。日産と企業連合を組む三菱自動車も合流する見込みだ。

 実現すれば、総販売台数は800万台を突破。トヨタ自動車グループ、ドイツのフォルクスワーゲングループに次ぐ世界3位の巨大グループが誕生する。
 いま自動車産業は「100年に1度」の変革期にあるといわれる。電気自動車(EV)や自動運転技術が進展し、米国のテスラや中国の比亜迪(BYD)といった新興メーカーが急成長しつつある。
 ホンダ、日産の経営統合は、規模の利を生かし、世界の動きに対抗できる技術や製品を開発できるかが鍵となる。日本車のあすを占う戦略といってよいだろう。協議の行方が注目される。
 経営統合は、持ち株会社を設立し、両社が傘下に入る形が検討されている。それぞれの企業、ブランドは残しつつ、経営資源を共有化。経営基盤や技術開発の強化を図る狙いがある。
 特に日産は販売不振で経営が悪化している。先月発表した2024年9月中間連結決算は、純利益が前年同期比93・5%減の192億円という厳しさで、世界で9千人の人員削減を発表した。
 株価も低迷し、台湾の電子機器受託生産大手の鴻海(ホンハイ)精密工業が買収の動きを見せているとされる。ホンダとの経営統合は海外からの買収を回避する狙いもありそうだ。
 そのため日産救済の側面が強く感じられるが、ホンダ側にも事情がある。国内にはトヨタ自動車という巨人がいる以上、生き残りを懸けて手を組む相手といえば、日産しかないのが実情だろう。
 両社は今年3月、EVなどの分野で戦略提携の検討を始めると発表。それが日産の経営悪化もあって、経営統合の協議にまで発展したとみられる。
 窮余の合従連衡と言えなくもないが、ともに日本の自動車産業をリードしてきた企業である。それぞれ異なる得意分野を持つ。
 日産は過去、比較的早い時期にEVを開発した。ホンダはハイブリッド車(HV)市場をけん引してきた実績がある。三菱自動車もプラグインハイブリッド車(PHV)の技術がある。
 今後は燃料電池車(FCV)や自動運転技術の競争も一層激しくなりそうだ。企業風土も歴史も異なる両社の統合は予断を許さないが、強みを持ち寄り、相乗効果を発揮できる統合にしなければならない。

 一方で、統合によるコスト削減や、エンジン車に比べて部品数が少ないEV車の開発・生産の強化は、部品メーカーなどサプライチェーン(供給網)への影響が大きい。

 両社には社会的な責任も十分踏まえた協議が求められる。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月20日  05:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【小社会・12.20】:水と油

2024-12-20 05:05:40 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【小社会・12.20】:水と油

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小社会】:水と油

 「たっすいがは、いかん」ラガーが、たっすくなったりして? などと軽口をたたいたものだ。2009年にキリンとサントリーの統合協議が判明した時のこと。世界最大級の酒類メーカー誕生と騒がれた。

 だが翌年、この縁談はビールの泡のごとく消える。株の保有割合で折り合わなかったことが表向きの理由だが、社風の違いも大きかったとされる。「やってみなはれ」で進取精神の強いサントリーに対し、良くも悪くも官僚的で有名だったのがキリン。「水と油」と評された。

 ホンダと日産が統合協議を始めたとの報道に、この話を思い出した。共通するのは世界経済を動かすスケール感。そしてもう一つは社風が「水と油」であることだ。

 ホンダは創業者本田宗一郎の精神を受け継ぎ、自由で自立志向が強い。一方、日産は官僚的で、カルロス・ゴーン元会長という強烈な存在がいたためトップダウンも根付く。

 とはいえ、激しい国際競争にシビックだのスカイラインだのと言っていられないのが実情か。キリン・サントリーが「攻め」の統合だったのと違い、今回は経営不振の日産救済策の色も濃い「受け」の統合。ホンダの従業員の不満が早くも聞こえるが、外堀はもう埋まっているのかもしれない。

 本来相いれない水と油も、せっけんを足せば混ざり合うという。せっけんになるのは何だろう。コスト論? 開発速度? 顧客や販売店の存在も忘れないように。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【小社会】  2024年12月20日  05:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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