路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・12.16】:同性婚二審 違憲3例目 直ちに法整備の議論始めよ

2024-12-16 07:00:50 | 【人権・生存権・同性婚・人種差別・アイヌ民族・被差別部落・ハンセン病患者】

【社説・12.16】:同性婚二審 違憲3例目 直ちに法整備の議論始めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.16】:同性婚二審 違憲3例目 直ちに法整備の議論始めよ 

 動きの鈍い国会に対し、対応を強く迫る司法からの警告だ。同性同士の結婚を認めない民法などの規定を問う訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は憲法13条に違反すると、初めての判断を示した。

 13条は全ての国民が個人として尊重され、幸せを追求する権利を保障する規定だ。一人一人がありのままに認められ、他人も同じように尊重される。憲法の三大原則の一つ「基本的人権の尊重」の土台でもある。

 同性婚を巡る訴訟は、全国5地裁で計6件起こされた。二審では、これまでの札幌高裁、東京高裁を合わせて3例全てで違憲判決が出た。司法では同性婚を認める方向性が固まったと言えよう。

 福岡高裁の判決は、同性カップルを法的保護の対象にしていない点を問題視した。婚姻は「重要かつ根源的な営み」で、両当事者の希望を最大限尊重するよう憲法が国に求めているとした。男女のカップルと等しい権利があると認め、現状について「制約は重大だ」と踏み込んだ。

 原告らはさまざまな困難を訴えてきた。相続、税制上の優遇、社会保障、親権と、日々の暮らしや人生の岐路で、家族として法的な保障を受けられない事態に直面する。多様な生き方を認めよと正面から言い切った判決は、当事者の思いに応えるものだ。

 今年3月の札幌高裁判決は憲法24条1項で初判断を示した。婚姻は「両性の合意のみに基づいて成立」とする規定は、同性婚も異性間と同程度に保障していると認めた。10月の東京高裁判決は「性的指向により法的な差別的取り扱いをしている」と注文を付け、法の下の平等を定めた14条1項に違反するとした。

 婚姻に関わる法制定での個人の尊厳を掲げた24条2項を含めて、各地の訴訟で争点となった憲法の条項は全てで違憲判断が出た。人権侵害を放置できないとの危機感がうかがえる。立法措置を求めるメッセージに他ならない。

 背景には社会情勢の変化があろう。今春の共同通信社の世論調査で同性婚を「認める方がよい」が7割を超えた。自治体では関係性を公的に証明するパートナーシップ制度が広がるが、地域差があり、法的保障が不十分だとも知られるようになった。

 今回の判決は、婚姻について「血縁集団の維持・存続目的や宗教的立場からの介入は許されない」と指摘した。同性婚を法制度として認めない理由は「もはや存在しない」と断じた。政治は重く受け止めなければならない。

 これまで自民党政権は、伝統的な家族観を重んじる保守派の強い反対を踏まえ、国会での議論に後ろ向きだった。同様に石破茂首相も就任前から後退し、「国民の家族観と密接に関わる」として消極姿勢を見せる。だが注視する段階はとっくに過ぎた。

 国会は少数者の権利を守る手法を編み出すことも仕事のはずだ。家族観が関わるなら、なおさら合意形成していく努力が要る。法整備の実現に向けて直ちに議論を始めなければならない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月16日  07:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。


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