【社説・12.22】:【同性婚訴訟】:国会は直ちに議論始めよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.22】:【同性婚訴訟】:国会は直ちに議論始めよ
憲法13条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と規定する。
同性婚を認めない民法や戸籍法の規定は憲法違反だとして、同性カップルが国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は幸福追求権を保障したこの憲法13条に違反するとの判断を初めて示した。
同種の訴訟は全国5地裁で計6件起こされており、高裁レベルでは3月の札幌、10月の東京に続き3例目の「違憲」判断となった。法整備に依然として慎重な国会に対し、別の論点から立法措置を迫った注目すべき判断と言える。国会は真摯(しんし)に受け止め、早急に議論を始めなければならない。
今回の判決は、婚姻は人の「根源的な営み」だとして、同性婚の制度がない現状は幸福追求権を侵害していると認めたことが特徴だ。
婚姻は当事者の自由な意思に完全に委ねられるとし、婚姻の成立と維持について法的保護を受ける権利は異性間でも同性同士でも同じだと明言。その上で、同性婚の制度を設けず、法的保護を与えないのは「幸福を追求する道を閉ざすことになり、制約は重大だ」と踏み込んだ。
さらに「公共の福祉に反しない限り」という幸福追求権の条件については、同性婚の存在が異性婚の権利を妨げる事態は想定できないと説明。宗教的な立場や、子どもを産み育てて共同体を維持するとの目的から婚姻に介入するのは許されないとも指摘した。
違憲性を唱えたこれまでの判決の中でも、少数者の権利保護を強く求めたと言える。苦しみ続ける当事者に寄り添う姿勢が際立った。
判決は法の下の平等を定めた14条1項と、個人の尊厳と両性の本質的平等を掲げた24条2項にも違反していると認めた。
自治体ではカップルの関係性を公的に証明するパートナーシップ制度の導入が進むが、相続や親権などの法的な手続きには効力はない。判決は「同制度では不平等は解消されない」と断言した。
今回、福岡高裁が13条違反の判決を出したことで、各地の訴訟で争点となった憲法の条項全てで違憲判断が出たことになる。
現状を問題視する司法判断が相次ぐ背景にあるのは、社会の意識の変化だ。世論調査では同性婚を「認める方がよい」と答えた人は7割超に上る。
こうした動きとは対照的に、政治の動きは鈍い。石破茂首相は判決後の国会答弁で、同性婚の実現により日本の幸福度は増すとの認識を示した。ただ自民党内では保守系を中心に同性婚への慎重論は根強い。
福岡高裁の判決は「同性婚を法制度として認めない理由はもはや存在しない」と指摘した。これ以上、当事者の不利益を放置してよいはずはない。国会には迅速な対応が求められる。
同性婚を認めない民法や戸籍法の規定は憲法違反だとして、同性カップルが国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は幸福追求権を保障したこの憲法13条に違反するとの判断を初めて示した。
同種の訴訟は全国5地裁で計6件起こされており、高裁レベルでは3月の札幌、10月の東京に続き3例目の「違憲」判断となった。法整備に依然として慎重な国会に対し、別の論点から立法措置を迫った注目すべき判断と言える。国会は真摯(しんし)に受け止め、早急に議論を始めなければならない。
今回の判決は、婚姻は人の「根源的な営み」だとして、同性婚の制度がない現状は幸福追求権を侵害していると認めたことが特徴だ。
婚姻は当事者の自由な意思に完全に委ねられるとし、婚姻の成立と維持について法的保護を受ける権利は異性間でも同性同士でも同じだと明言。その上で、同性婚の制度を設けず、法的保護を与えないのは「幸福を追求する道を閉ざすことになり、制約は重大だ」と踏み込んだ。
さらに「公共の福祉に反しない限り」という幸福追求権の条件については、同性婚の存在が異性婚の権利を妨げる事態は想定できないと説明。宗教的な立場や、子どもを産み育てて共同体を維持するとの目的から婚姻に介入するのは許されないとも指摘した。
違憲性を唱えたこれまでの判決の中でも、少数者の権利保護を強く求めたと言える。苦しみ続ける当事者に寄り添う姿勢が際立った。
判決は法の下の平等を定めた14条1項と、個人の尊厳と両性の本質的平等を掲げた24条2項にも違反していると認めた。
自治体ではカップルの関係性を公的に証明するパートナーシップ制度の導入が進むが、相続や親権などの法的な手続きには効力はない。判決は「同制度では不平等は解消されない」と断言した。
今回、福岡高裁が13条違反の判決を出したことで、各地の訴訟で争点となった憲法の条項全てで違憲判断が出たことになる。
現状を問題視する司法判断が相次ぐ背景にあるのは、社会の意識の変化だ。世論調査では同性婚を「認める方がよい」と答えた人は7割超に上る。
こうした動きとは対照的に、政治の動きは鈍い。石破茂首相は判決後の国会答弁で、同性婚の実現により日本の幸福度は増すとの認識を示した。ただ自民党内では保守系を中心に同性婚への慎重論は根強い。
福岡高裁の判決は「同性婚を法制度として認めない理由はもはや存在しない」と指摘した。これ以上、当事者の不利益を放置してよいはずはない。国会には迅速な対応が求められる。
元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月22日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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