衆院選は30日、選挙戦最終日を迎え、与野党幹部が激戦区を中心に街頭演説を行った。

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 「10月31日、日本の政治、日本の社会が変わる。日本を変える力を持っているのは、あなたです」。立憲民主党の枝野幸男代表(57)が、JR新宿駅東南口を埋めた1人1人に訴えた。壇上前はもちろん、歩道橋、階段。エスカレーターや歩きながら耳を傾ける人へ。時には絶叫し、大きく開いた5本指を有権者らに突き刺すかのような力強い身ぶり手ぶりで、心にも訴えかけるようだった。結党直後の4年前の衆院選投票日前日、新宿駅南口に集まった8000人には及ばないが、政権交代実現へ、野党第1党となった験の良い“聖地”を党最終演説地に選んだ。

 この日、「#立憲大作戦2021FINALin神奈川→東京」と題し、鎌倉市、横浜市、立川市など計7カ所を応援演説で巡った。09年から3年半、政権をとった民主党時代を「国民の期待に応えられなかった思いがある」と素直に反省。その上でアベノミクスと称した9年にわたる自民党政権を批判した。「政権選択が出来る今回の選挙を逃せば、隠す、ごまかす、改ざんする政治が続いてしまう」。岸田首相が掲げる「成長と分配の好循環」には「分配なくして成長なし。財布のひもが固く締められたままでは経済をまわすことは出来ない」と政策でも反論した。

 最後は自身の選挙区の大宮駅前で締めた。歩行者が身動き困難なほどグルッと聴衆が囲んだ東口ロータリーで、「枝野コール」に両手を上げて応えながら、午後8時を迎えた。【鎌田直秀】