安倍総理大臣は16日朝、読売テレビの番組に出演し、アメリカのトランプ大統領が米韓合同軍事演習の中止に言及したことに理解を示し、北朝鮮が非核化に向けて迅速に行動することが重要だと指摘しました。また、拉致問題の解決にはキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の大きな決断が必要だとして、信頼関係を醸成したいという考えを示しました。
この中で安倍総理大臣は、米朝首脳会談について、「相互不信の殻に閉じこもっていてはならないということで、その殻を打ち破った。世界最強の軍事力を持つアメリカの大統領にキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長は完全な非核化を書面で約束した。まずは、非核化に向けた土台をつくることができた」と述べ、評価しました。
そのうえで、トランプ大統領が米韓合同軍事演習の中止に言及したことについて「信頼を醸成するための善意だ」と理解を示し、「北朝鮮が迅速に対応するかどうかが極めて重大だ」と指摘しました。
また、安倍総理大臣は、北朝鮮の非核化をめぐって、IAEA=国際原子力機関による査察の必要性を指摘し、査察の費用を負担する考えを重ねて示すとともに、国際的な枠組みを新たに設けて、非核化を進める場合には、その費用負担も検討する考えを示しました。
さらに、米朝首脳会談の共同声明で核やミサイルのCVID=完全で検証可能かつ不可逆的な廃棄に関する言及がなかったことについて、「もちろん入れるべきだと思った」と述べました。
また、安倍総理大臣は、北朝鮮国営の対外向けラジオが15日夜、「すでに解決された」とする従来の主張を繰り返した拉致問題について、「北朝鮮側が知っていることをきれいさっぱり話し、すべての拉致被害者を日本に帰国させたときに、この問題は解決する。そのためにはキム委員長の大きな決断が求められる。日本もアメリカがスタートしたように信頼関係を醸成していきたい」と述べました。
一方、安倍総理大臣は、秋の自民党総裁選挙での3選に強い意欲を示したうえで、立候補を表明する時期について、「東京近辺でセミの声がうるさいなと感じられる状況になった頃だ」と述べました。(引用ここまで)
NHK 北朝鮮メディア「拉致問題解決済み」 2018年6月16日 3時36分米朝首脳会談
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180616/k10011480411000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_034
北朝鮮国営の対外向けラジオは、今月12日の米朝首脳会談でトランプ大統領が拉致問題を取り上げて以降、初めて拉致問題に触れました。このなかで「すでに解決された」とする従来の主張を繰り返し、日本政府をけん制しています。
北朝鮮の国営メディアを分析しているラヂオプレスによりますと、15日夜、国営の対外向けラジオ、ピョンヤン放送が日本に関する論評を伝えました。
このなかで「日本はすでに解決された拉致問題を引き続き持ち出し、自分たちの利益を得ようと画策している」として、「拉致問題は解決済み」という、従来の主張を繰り返しました。
そのうえで、「国際社会が一致して歓迎している朝鮮半島の平和の気流を必死に阻もうとしている」と指摘し、日本政府を非難しました。
今月12日にシンガポールで開かれた米朝首脳会談で、トランプ大統領が拉致問題について取り上げて以降、北朝鮮の国営メディアが「拉致問題は解決済み」という従来の主張を示したのはこれが初めてで、日朝首脳会談も視野に北朝鮮との直接対話に向けた調整を続けていくとする日本政府をけん制しています。
キム委員長 習主席の誕生日祝う書簡送る
北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは15日夜、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が、15日に65歳の誕生日を迎えた中国の習近平国家主席に祝賀の書簡を送ったと、伝えました。
キム委員長が習主席の誕生日に合わせて祝賀のメッセージを送ったことが伝えられたのは、5年ぶりです。
書簡では、「血で結ばれた両国の友好を大切にして発展させていくことはわが党と人民の確固たる意思だ」と強調しています。
北朝鮮は、今月12日に米朝首脳会談が開かれたシンガポールに、キム委員長が中国の航空会社の専用機で訪れるなど、中国を後ろ盾にする姿勢を鮮明にしていて、習主席の誕生日を祝う書簡の公開は、急速に接近する両国の関係を反映しています。(引用ここまで)