「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          Smack   夏の想い出

2007-08-04 06:03:26 | Weblog
戦前、東京の山手のサラリーマン家庭の一部だが、夏休みに房州(千葉
県)へ避暑に行った。岩井(鋸南町)保田の農家に数日滞在して海水浴を
楽しんだものだ。民宿のはしりである。

房州へは現在国技館がある付近の両国駅からSLが出ていた。千葉駅ま
で直行で、その一つ先の「本千葉駅」で内房線と外房線に別れたが、この
駅で売っていたSmack(アイスクリーム)が60数年経った今でも忘れられな
い。円筒形をしたアイスクリームの表面をチョコレートでコートしたものだが、
当時、この駅だけでなく東京では他でも売られていた。今でも売られている
のだろうかー。

記録によると、アイスクリームが日本で始めて製造販売されたのは明治2
年(1869年)横浜の馬車道の店だが、それより7年前の文久2年、榎本武揚
らが、渡欧途中、船の遭難先のバタヴィア(ジャカルタ)で、アイスクリーム
と氷がなぜ常夏の地にあるのか驚いている。

アイスクリームが今のように普及したのは、昭和30年代からだ。それ以前は
アイスキャンディが全盛だった。「週刊新潮」の表紙を飾っていた谷内六郎の
あの世界である。麦わら帽子のおじさんが,チリンチリンと鈴を鳴らしながら
自転車で売り歩いていた。海岸にはヨシズ張りの「氷」のノレンがどこにでも
あった時代である。

今はメルヘンティックな時代ではないのかもしれない。「谷口六郎」では週刊
誌は売れない。政治家の悪口とタレントのゴッシプがセールスポイントになっ
てきた。