「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          「チョコレートと兵隊」続き

2009-02-14 16:12:56 | Weblog
「チョコレートと兵隊」を書いたら旧友から次の感想がメールで送られてきました。
旧友の店の店員の「武さん」(名前忘れる)が昭和13年の南京攻略のさい大場鎮の
戦闘で戦死しましたが、所属の脇坂部隊から、旧友の家に「武さん」宛てに送った
慰問袋が手つかずで返却されてきたそうです。旧友は"誰か戦友にやってくれれば
よい”のにと子供心に思ったそうです。慰問袋には、やはりチョコが入っていて、
兄弟でおいしく食べたとのことです。僕のブログから忘れていた「武さん}の事を
想い出したとのことです。ご供養になりました。





          チョコレートと兵隊

2009-02-14 06:45:38 | Weblog
昭和14年(1939年)に「チョコレートと兵隊」というレコードがテイチクとコロ
ムビア二社から発売されている。その一つテイチクの歌詞(作詞内田ゆた
か)の一節にこういうのがある。
         ♪ 敵弾飛雨の戦線に 名誉の戦死とげた日よ
           御霊の前に供えれば 灯火悲しチョコレート
           今は涙のチョコレート
70年前のチョコレートにからむ悲しい歌である。

今日はバレーンタインデイだ。女性から男性にチョコレートがプレゼントされ
る日。最近はその逆もあるという。女性の中には"義理チョコ”まで含めて1
万円も消費するとか。残念ながら僕には老妻からもこない。血糖値が高い
僕にはその方がよい。それに僕らの世代にはチョコレートについての甘い
想い出などない。

「チョコレートと兵隊」が流行していた頃は、まだ町でチョコが買えた。この歌
は、戦地へ送られてきた「慰問袋」の中にあったチョコレートの包装紙を兵隊
が集め、これを内地の自分の子供に送り返し、子供がこれで製菓会社に応
募してチョコ一枚をゲットした。ところが、その当日、兵隊の戦死の公報も届
いた、という実話によるものだ。

バレンタインデーを祝える今の世は本当に幸せだ。「チョコレートと兵隊の」の
時代、僕ら銃後の小国民は、チョコを包んだ銀紙を集めてボール状にして陸
軍省に届けた。あんな銀紙が戦闘機を造るのに役だったのかどうかー。それ
から数年後、戦争の激化でもはやチョコレートどころではなくなった。