「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

     だびに付された旧日本軍のご遺骨300体

2009-12-24 06:58:39 | Weblog
(財)インドネシア協会の「インドネシア通信」最新号の短信欄にショッキングな
ニュースが載っていた。インドネシア・パプア州ビアク県スンベルクル村の洞窟
から旧日本軍兵士の遺骨300体が収集され、だびにふされて日本側に引き渡
されたというのである。このニュースは現地の新聞からの引用だが、日本のメデ
イアも報道したのであろうかー。少なくとも僕は知らなかった。

ビアク県はニューギニア北西部の淡路島の3倍ほどの小島だが、大東亜戦争の
末期、この島に建設された日本軍の飛行場をめぐって逆上陸してきた倍する連合
軍との間に死闘が展開され、日本の陸海軍部隊約13000人が玉砕した。生還者
は僅かに数十名であった。

今回遺骨が収集された洞窟は、多分島の海岸線から2㌔ほど離れた急俊な山陵
に二つある自然の鍾乳洞のどちらかであろう。当時の戦史によれば、その一つは
2000人は収容できる大きなもので、司令部もあった。この洞窟に対して連合軍は
火炎放射器で攻撃した。その模様は「パラダイス島戦記」(宮坂英朋 岩波出版サー
ビス2002年)に詳しい。

長年ニューギニアの遺骨収集に当たっているNPO法人「太平洋戦史館」(岩手県奥州
市)の岩淵宣輝氏によると、ビアク島だけで6000体の遺骨がまだ現地に残ったままだ
という。今回の遺骨はその一部だと推定されるが、300体という遺骨はだびにふさない
と現地から祖国へ帰還できないほどの量だったに違いない。痛ましい。これを日本のメ
デイアが扱わないとすれば、戦争の風化である。