「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

       北朝鮮のおかしな義理 デヴィ夫人の平壌訪問

2012-04-16 05:57:56 | Weblog
タレントのデヴィ夫人(インドネシアの故スカルノ大統領第三夫人)が北朝鮮の金日成生誕百周年記念行事に招かれ平壌に出かけてきたそうである。夫のスカルノ大統領が1965年に新種の蘭を金主席に贈ったのが機縁で、夫人は以来八回も北朝鮮に招かれているとのこと。随分、義理堅いことである。

1965年といえば、9月30日にクーデター未遂事件が起きた年だ。インドネシアは国連を脱退し、世界的に孤立していた時で、スカルノ大統領は同じように欧米からツマはじきされていた国のカンボジャ、北ベトナム、北朝鮮、中国と組んで”ジャカルタ、プノンペン、ハノイ、北京、平壌”枢軸という外交政策を打ち出していた時代である。僕はスカルノが政権移譲を発表した翌1966年の3月11日事件(スーペルスマル)を取材しているが、当時のジャカルタ市内はスカルノの経済政策の失敗で、粗悪な中国製品だけが街にあるだけで、国民は塗炭の生活の苦しみ下にあった。

あれから半世紀近くたって世界情勢はすっかり変わった。インドネシアもベトナムも中国も経済は飛躍的に発展した。昨年11月、僕は5年ぶりにジャカルタを訪れたが、1966年当時にはなかった高層ビルが林立している。当時、外交関係がなかった韓国が北朝鮮に代わって進出してきていて、韓国のインドネシアへの投資額は2009年には3.3億㌦だったのが2010年には8.7億㌦になり、街には焼肉店がめだって増えてきている。

変わらないのは北朝鮮だけである。でも義理をたててか元大統領の第三夫人を招待している。おかしな国である。