「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

アラブ”有志連合”の危機感

2014-09-25 06:25:44 | Weblog
米国がイスラム過激派組織である「イスラム国」のシリアの拠点を初めて空爆した。この攻撃にはアラブ”有志連合”5か国(サウジアラビア、ヨルダン、バーレーン、UAE(アラブ首長国連邦)カタール)が参加した。カタールの衛星放送局「アルジャジーラ」が、その模様を放送していたが、”アラブは一つ”を表明しているアラブの国が別なアラブの国を攻撃するなんて、かっては考えられなかったことだ。

半世紀前の1950年代から60年代にかけて、僕は新聞社の中近東のニュースを担当していたが、52年のエジプト革命から始まって48年イラク、62年イエメンと3か国で王政が倒れるクーデターが続出した。当時は56年のスエズ戦争(第二次中東戦争)で勝利したエジプトのナセル大統領の「革命の哲学」がアラブ世界が風靡していて、実際にエジプトとシリアが合邦して「アラブ連合共和国」(UAR)ができ、これにイエメンが参加した。僕は62年、UAR機にのってアラブ13か国を歴訪したが、アラブ世界はまさに”アラブは一つ”という印象を受けた。

アラブ”有志連合”の顔ぶれをみた。5カ国とも王国か君主国である。2010年、チュニジア、リビアから始まった、いわゆる”アラブの春”ジャスミン革命は、この5か国の岸も洗っている。「イスラム国」は、スンニ派の過激派であるという。サウジアラビアをはじめ5か国はスンニ派が主流である。シーア派との対立が争いとは思えない。やはり、5か国にとって、同じスンニ派であっても、その過激行動が自国内に波及するのを怖れたのが”有志連合”参加の理由ではないのだろうか。

半世紀前のシリアの首都ダマスカスはウマイヤ.モスクやハミディアは観光客で賑わっていた、一方、UAEの首都アブダビは高層建築は一つもなく砂漠の中の飛行場の滑走路は舗装もされていなかった。政治の力の大きさを感じる。