その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ロイヤル・オペラ 『道楽者のなりゆき (The Rake's Progress)』

2010-02-01 06:15:08 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 今年初のロイヤル・オペラ参上です。ストラヴィンスキーの『道楽者のなりゆき(The Rake's Progress)』を観に行きました。あらすじはこちら

 「感動した」「良かった」という感想よりは「面白かった」という公演でした。オリジナルのプロダクションを観ていないので何とも言えないのですが、演出がとても面白かったです。演出はカナダの俳優兼監督兼脚本家のロベール・ルパージュという人なのですが、仕掛けがあったり、ふんだんに映像を活用した舞台は、オペラというよりも演劇を見に行ったような感覚で、現代モノらしい、いつもとは違った面白さがありました。

 こうした舞台だと、出演者の演技力も重要だと思うのですが、各歌手陣はとっても名俳優ぶりを発揮していました。主役の道楽者を演じたトビー・スペンスはいかにも「真面目に働く気のない甘ったれ若者」という感じでしたし、助演男優とも言えるKyle Ketelsenのシャドウ役は、不気味な悪者オーラ抜群で存在感がありました。女性陣も、主演女優のRosemary Joshuaは「待つ」女性Annの役ははまり役でしたし、ババを演じたPatricia Bardonの演技はコミカルで面白いものでした。

 正直、音楽はあんまり印象に残っていなくて、オーケストラの演奏や歌手の歌唱よりも舞台や演技に目が行きました。ストラビンスキーの音楽だから、どんなものが出てくるのかと身構えていたのですが、意外と普通。でも第3幕第3場のトムとアンの2重唱やアンの子守唄はとっても美しいメロディで良かったです。
 
 余談ですが、今日は私のロイヤル・オペラ歴初めてのオーケストラ・ストール席(平土間)。この公演は現代物のせいでしょうか、いつもは200ポンド(3万円!)近くするストール席がほぼ半値の値段でした。オペラについてはひたすら質よりも量を追求し、60ポンド以上の席には原則手を出さない私ですが、今回は値段設定につられこんな機会でもないと一度もストールを経験できないと思い、最高値(110ポンド)の席にチャレンジしました。舞台に目が行ったのは、そのせいかもしれません。

The Rake's Progress
Saturday, January 30 7:30 PM

Credits
Composer Igor Stravinsky
Director Robert Lepage
Revival Director Sybille Wilson
Set Designer Carl Fillion
Costume designs Francois Barbeau
Lighting Designer Etienne Boucher
Video Boris Firquet
Choreography Michael Keegan Dolan

Performers
Conductor Ingo Metzmacher
Trulove Jeremy White
Anne Trulove Rosemary Joshua
Tom Rakewell Toby Spence
Nick Shadow Kyle Ketelsen
Mother Goose Frances McCafferty
Baba the Turk Patricia Bardon
Sellem Graham Clark
コメント
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