その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

Midori with LSO  メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲

2010-02-26 06:11:22 | コンサート (in 欧州)
 ※冒頭の写真はLSOのHPから借用

 五嶋みどりさんを聴きにバービカンホールに行きました。今日は、LSOとの共演でメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲です。あまりの定番の選曲に驚いていたのですが、何回か聞いている曲でもあるので、どんな演奏をするのかとても楽しみにして出かけました。今日は日本人の演奏家でかつCanonがスポンサーなこともあってか、普段にもまして日本人、それも奥様連れのビジネスマンの方が目立ちました。

 舞台に登場したみどりさんは、とっても細身で小柄です。ただとても堂々としていて、落ち着いて見えます。

 みどりさんのメンデルスゾーンは、普段自分がCDで聴いていた曲と随分違って聴こえました。なかなか具体的にどう違うのかを描写できないのがじれったいのですが、とても繊細で優しい音楽を奏でていました。昨年、初めてみどりさんのショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲で耳にしたときは、その情熱的で力強い演奏に驚かされましたが、この日は、むしろじいーっと耳を澄まして、一音符たりとも聴き逃さないように聴く、そんな音楽でした。今日は奮発して一等席を購入していたものの、これって2階の奥の席では聴こえないのではないか?そんなことさえ、頭に浮かんだぐらいのデリケートな音楽に聴こえたのです。表に出る情熱よりも、内面的な内に秘めた強い気持ち、意思を感じるような演奏でした。「へえー、こんな演奏の仕方もあるんだ。全然違った音楽に聴こえるもんだなあ」と、感動というよりは、驚いたというのが正直なところです。たぶん、もっと耳の肥えた人が聴けば、違いが良くわかるのでしょうが、私はそのレベルには達していないのが残念です。


 休憩後は、ベルリオーズの幻想交響曲。名曲コンサートみたいなプログラムですが、この演奏も素晴らしかったです。第1、第2楽章は弦の良さ、第3楽章以降は管の素晴らしさが耳に残りました。今日のコンサートマスターは客演のローマン・シモヴィック(Roman Simovic)さん。ガンガンに鳴らしていましたね。第3楽章以降はコーラングレのソロを筆頭に木管、金管が大活躍。第3楽章の美しいメロディ、第4楽章「断頭台への行進」の大爆発、第5楽章の「魔女の夜宴の夢」の金管の圧倒的フィナーレ、LSOの持ち味がふんだんに発揮された演奏でした。

 それにしても、デイヴィスさんは、まるで80歳とは思えない精力的な指揮ぶりです。ロンドンでは、2008年12月のROH「ヘンゼルとグレーテル」、昨年12月の「オテロ」に続いて、3回目ですが、毎回、演奏後の満足感が高い演奏を引き出してくれます。指揮ぶりは決して格好のよい振り方とも思えませんが、その指揮棒から生み出される音楽は、深遠なものです。こちらに来て聴いている指揮者の中では、もしかしたら一番好きかもしれません。


 ※実はみどりさんの前にはWebのプログラムには載っていなかった曲が一つ演奏されました。Matthew KingのTotentangoという曲です。指揮も違う人で、Pavel Kotlaという人でした。現代風のリズム感豊かな舞曲でした。

Berlioz Symphonie fantastique

24 Feb 2010 7:30 PM
Barbican Hall

MENDELSSOHN: Violin Concerto
BERLIOZ: Symphonie fantastique

Sir Colin Davis conductor
Midori violin
London Symphony Orchestra
コメント
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