その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

リセウ大劇場で『トリスタンとイゾルデ』を見る

2010-02-07 17:18:15 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 出張で出かけたバルセロナだったが、隙間時間でオペラを見ることが出来た。それもワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』。


 リセウ劇場は豪華さではNo1。外見は古いが、ロビーや劇場内は綺麗で新しい。スタイルは昔なさがらの感じで、シックな中にも派手さがある。ロイヤルオペラハウスを派手にした感じ。全体的にすごくスペースに余裕があるので、とてもリッチな感じがする。








 50ユーロで、3階席左手の奥の席。視界は一部さえぎられるが、鑑賞にはほぼ問題なし。オーケストラの音と歌手の歌がしっかり聞こえる良席。廻りの人は皆知り合いらしく、挨拶を交わしていた。となりのおばさんから「今日はFantastic. Beautifulなオペラよ」と言われる。開演前はスペインらしくお喋りがすごい。


 公演は期待以上に素晴らしかった。歌手は実力派をそろえているように見えた。イゾルデのDeborah Voigt以外は知らないが、トリスタンのテノールも良かったし、侍女のメゾソプラノは主役を食う勢い。久しぶりに圧倒された。オケの響きもとても美しい。かなりの実力があると思った。バルセロナのオペラがこれほど実力があるとは知らなかった。

 それにしてもワーグナーは疲れる。今日は80分、75分、75分。映画の3本建てを一気に見るよう。2幕が終わった段階で、翌日に備えた打ち合わせのため、出なくてはいけなかったが、2幕で十分。動きの少ないオペラで、歌いっぱなしの2人は本当に大変だろう。

  


Direcció d escena / Dirección de escena / Stage Director Thor Steingraber
Escenografia i vestuari / Escenografía y vestuario /Set and costume
design David Hockney
Il·luminació / Iluminación / Light Design Duane Schuler
Producció: Los Angeles Opera

31/01/10 17:00
Direcció musical Sebastian Weigle
Tristan Ian Storey
Marke Kwangchul Youn
Isolde Deborah Voigt
Kurwenal Bo Skovhus
Melot Norbert Ernst
Brangäne Michaela Schuster

Un pastor / Un Mariner Francisco Vas
Pilot Manel Esteve Madrid
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日本人のおじぎ(bow)4態 (トヨタ車のブレーキ欠陥)

2010-02-07 02:31:12 | ロンドン日記 (日常)
 今朝のタイムス紙にトヨタのブレーキ欠陥に関連したトヨタ社長の謝罪についての記事が載っていました。興味深かったのは、その記事とセットで解説してある "The Japanese bow"。


写真に付随する説明を逐語訳しますと、

(一番目)
「私どものせいで、ご迷惑をおかけしました」(Scarcerly bothered・・・どう訳すんでしょうか?)
「25度の角度で傾けるが、静止はしない。『すいません。ご不便をおかけしました』を示す。」

(2番目)
「非常に申し訳ございません」(Quite sorry)
「45度に傾け、迷惑をかけた度合いにより1秒から3秒静止」
「『はい、私どもの不始末です。今度、2度とこのようなことは起こしません』を示す」

(3番目)
「本当に(もしくは)公式に、申し訳ございません」(Actually or offically sorry)
「90度に傾け、失った金額や生命や信用の度合により3秒から7秒静止。」
「とんでもないことをしてしまいました。お許しください」を示す。

(4番目)
「本当に、本当に申し訳ございません」>(Really spectacularly sorry)
「土下座(Dogeza)。膝間付き、頭は床に、最大30秒まで続ける」
「法律でに罰せられるにしても、とても私の謝罪を補うものではありません」を示す。

 この絵の後に続く、さらなる解説が面白いです。要約すると、

伝統的に謝罪のおじぎは角度とタイミングの組合せである。日本の会社にとって、ここでのおじぎはどれだけ会社が申し訳思っているか、もしくは顧問弁護士がどれだけ謝罪することをを認めるか、次第である。案件の状況によりおじぎの仕方は数10種類ある。トヨタ社長の昨夜のおじぎ(右奥の写真です)は、おそらく彼が取りうる最も中立的なものであった。すなわち45度の角度で、頭は体と同じ角度で。タイミング的にも、一通りのことが終わった後、急ぎ1.5秒だけ。日本人作法の専門家によると、これは彼が責任を認めたことを意味しないとのことである。おじぎの意味合いからすると、あなたの注文を取り忘れたウエイター程度の謝罪のようだ。(文責は一切負いませんので、あしからず)

 ただ、これはあまり面白がっているわけにはいきません。昨日の紙面では、トヨタ車のブレーキ故障と思われる事故で亡くなった家族の記事が大々的に報道されていたことでもあり、言葉上は謝罪していても、実は謝罪のつもりはないのはと思われ、更にトヨタの信用、しいては日本製品の信用が失われないか心配です。安易に、ただ謝罪すれば良いものではないので、なかなか舵取りが難しいとは思いますが、誠実かつ適切な対応をトヨタにはお願いしたいです。

 2010年2月6日
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