その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

London Symphony Orchestra / Antonio Pappano/ Midori

2010-12-19 21:47:18 | コンサート (in 欧州)
 かなり出遅れましたが、4日前の水曜日のコンサートの感想を。

 Midoriさんの出演ということで、週中ではありましたがロンドン交響楽団のコンサートへ駆けつけました。もう、ロンドンに来てからMidoriさんとLSOの共演を聴くのも3回目。「あっという間に時間は経ってしまうだなあ」と、個人的な感慨に浸りながらバービカンホールへ。今日の指揮者は、ロイヤルオペラハウスの音楽監督、パッパーノ大将です。パッパーノ大将は、ロイヤルオペラでいつも素晴らしい指揮ぶりなので、LSOとのコンサートではどんな演奏を聞かせてくれてるのか楽しみでした。

 1曲目LigetiのConcert Romanescは初めて聞く曲ですが、東欧の民族音楽を取り入れた音楽で、柔らかで美しいメロディやリズミカルで音遊び的なパーツがあったりしてとても聞いていて楽しいものでした。

 そして、2曲目がMidoriさんのブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番です。有名なヴァイオリン協奏曲の名曲ですが、素晴らしい演奏だったと思いました。演奏は、繊細で情熱的。もともとロマンティックな曲が、さらにふくよかさを大きく広げた演奏でした。みどりさんの演奏はまさに全身全霊を投入して、体全体で音楽を表現するかのごとくでした。オーケストラとの息もぴったりで、パッパーノ大将とLSOは小柄なみどりさんを大きく包み込むように歌います。演奏後の拍手も私のみどりさん体験のなかでは一番大きかったような。自分を「この演奏、この音楽をこの場で聴けて本当に良かった」という幸福感に包んでくれました。

 3曲目はリムスキー=コルサコフのシェヘラザード。これも凄い演奏でした。LSOの個人技とアンサンブル力、そしてパッパーノ大将の表現力(とでも言うのでしょうか?)が組合わさって素晴らしい演奏でした。目の前で千夜一夜物語の絵巻を見ているような気になります。オペラを聴いているような色彩豊かな音楽をLSOから引き出してくれます。LSOの音が普段より滑らかで、ふくよかな印象を受けたのは気のせいでしょうか?

 しかし、いつもながらLSOは本当に上手だと思う。名曲もののプログラムが中心とはいえ、こんな素晴らしい演奏に日常的に触れられるのは本当に幸せとしか言いようがないと思う。神様、仏様、ご先祖様に感謝だ。

演奏後のMidoriさん
 

パッパーノ大将
 


London Symphony Orchestra / Antonio Pappano
15 December 2010 / 19:30
Barbican Hall

Ligeti Concert Romanesc
Bruch Violin Concerto No 1
Rimsky-Korsakov Scheherezade

Antonio Pappano conductor
Midori violin
London Symphony Orchestra
コメント (2)
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