その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

RSC: ANTONY AND CLEOPATRA (ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー 『アントニーとクレオパトラ』

2010-12-29 23:19:10 | ミュージカル、演劇
 冬の間、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーがロンドン公演をやります(RSCのロンドン公演についてはこちら→)。細々ながらも、今『ローマ人の物語』を読み、ローマ帝国の歴史に魅かれているので、今年のシーズンで取り上げられるローマもの『アントニーとクレオパトラ』、『ジュリアス・シーザー』の2本は観に行きたいと思っていました。まずは、先頭バッターとして『アントニーとクレオパトラ』を観に行きました。

 このエピソードは、『ローマ人の物語』でも紹介されていますし、事前に日本語訳も読めたので把握済み。ローマの武人アントニーとエジプトの女王クレオパトラの、中年の悲劇的な恋愛を描いた物語です。

 衣装や設定を現代風にアレンジした演出でしたが、本劇の特徴は恐らくクレオパトラの人物作りだったと思います。演じたKathryn Hunterという女優さんは、演技そのものはとても決起迫る迫力があるのですが、背が低くて、だみ声で、ちょろちょろと動くさまは、ちょっとエジプトの女王のイメージとはかけ離れたものがありました。きっと、演出者の意図としては、こうした役柄により何か新しい、クレオパトラ像、もしくは新しい恋愛像を打ち出しているのかもしれませんが、初心者の私にはちょっと応用問題すぎるという感じで、イマイチ舞台に感情移入できませんでした。逆に、アントニー役のDarrell D'Silvaはとっても貫禄があり、いかにもローマで名を成した武人風。格好良かった。

 舞台は極めて簡易で、舞台セット的なものはほとんどありません。脚本を読んでいて、場面が目まぐるしく変わるので、これが舞台でどう表現されるのか興味があったのですが、特にセットが無いので、人の入れ替わりで場の変化が分かるというシンプルなものでした。

 演劇としては十分楽しめたのですが、いかんせん肝心かなめのクレオパトラがイメージと違いすぎたので、素人にはもやもやの残った舞台でした。


 2010年12月19日

※RoundHouse劇場。寒さでレンズが曇ってしまいました


※シンプルな舞台セット


※真ん中がクレオパトラのKathryn Hunter



Cast:
Charles Aitken – Philo
Adam Burton - Scarus
Brian Doherty – Enobarbus
Darrell D'Silva – Antony
Phillip Edgerley – Menas
Geoffrey Freshwater - Agrippa
James Gale – Maecenas
Paul Hamilton – Diomedes
Greg Hicks – Soothsayer
Kathryn Hunter – Cleopatra
Ansu Kabia – Varrius
Tunji Kasim – Mardian
John Mackay - Octavius Caesar
Sandy Neilson – Lepidus
Sophie Russell – Octavia
Peter Shorey – Menecrates
Clarence Smith – Pompey
Katy Stephens – Eros
James Tucker – Thidias
Larrington Walker – Alexas
Hannah Young – Charmian
Samantha Young – Iras

Creative Team:
Director MICHAEL BOYD
Designer TOM PIPER
Lighting WOLFGANG GöEBBEL
Music JAMES JONES and JOHN WOOLF
Movement ANNA MORRISSEY
Fights TERRY KING
Sound ANDREW FRANKS


Running time:
3 hours 10 minutes including one interval of 20 minutes
In repertoire: 8 – 30 December 2010

コメント (6)
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