その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ロイヤル・オペラ 『ヘンゼルとグレーテル』

2011-01-08 22:51:04 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 正月のラストイベントとして、ロイヤルオペラへ『ヘンゼルとグレーテル』を観に行きました。実は、まだロンドンに来たての2008年12月21日に同じ演目を観ているのですが、まだ赴任間もない緊張感による疲れもあったのか、今プログラムを見返すとメンバーは指揮のデイヴィス御大を初め豪華メンバーなのですが、公演自体はあまりピンときませんでした。なので、2年たった今もう一度見てみたいと思ったわけです。

 この日の公演は今年のオペラ初めとして幸先の良いとても素敵な舞台でした。こんなに美しい音楽だったとは全然気がつきませんでした。特に、私としては2幕が秀逸だと感じました。サンドマンの歌、祈りの重唱、2幕最後の管弦楽、いずれも優美でおおらか。幸せ一杯の気分にしてくれます。

 この日の指揮者はRory Macdonaldというとっても若い人でした。2年前のデイヴィス御大とは、音楽はまるで違う印象です。正直、ちょとスローすぎるんではと思うぐらい、ゆっくりと大きく音楽を作り、それが優美さを引き立てるような感じでした。家で2年前の出演者一覧のペーパーを見比べてみたら、今回は1・2幕で70分、3幕で50分と記載されていますが、前回は1・2幕で65分、3幕で48分となっていました。時間は音楽だけではないのかもしれませんが、さもありなんという感じです。

 演出は2幕の森の舞台が、森の深さ、暗さ、神秘さをとても良くあらわれていて、綺麗です。細部は前回と多少違いがあるような気がします。お父さんが大手スーパーのビニール袋を引っ提げていたり、魔女が歩行器を使ったりして、現代風に仕立てていました。あえて、難を言うと、私としては2幕の森の中のシーンで出てくるお姫様や妖精たちがディズニーっぽくてちょっと好みではありません。それと、第3幕で、魔女にさらわれて魔法に掛けられて、宙刷りにされている子供が出てきたり、魔女を焼却炉の中に閉じ込めて丸焼き(ケーキ?)になって出てくるシーンなどは、ちょっとグロテスクで、子供にはきついのでは???私にもちょっと・・・。

 歌手はスーパースターは居ませんが、皆さん十分なパオーマンスで楽しめました。

 年末年始の家族連れを引きこむプログラムだと思いますが、大人にも十分楽しめるオペラだと思います。

 





Hansel and Gretel
Monday, January 03 7:30 PM

Credits
Composer: Engelbert Humperdinck
Directors: Moshe Leiser and Patrice Caurier
Set designs: Christian Fenouillat
Costume Designs: Agostino Cavalca
Lighting design: Christophe Forey

Performers
Conductor: Rory Macdonald
Hänsel: Christine Rice
Gretel: Ailish Tynan
Gertrud: Yvonne Howard
Peter: Thomas Allen
Witch: Jane Henschel
Dew Fairy: Anna Siminska
Sandman: Madeleine Pierard§

コメント (4)
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