その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ウィリアム・シェイクスピア/著 福田恆存/訳 『リア王』(新潮文庫)

2011-01-31 22:16:32 | 
週末にシェイクスピアの4大悲劇の一つ『リア王』を読む。

「老王リアは退位にあたり、三人の娘に領土を分配する決意を固め、三人のうちでもっとも孝心のあついものに最大の恩恵を与えることにした。二人の姉は巧みな甘言で父王を喜ばせるが、末娘コーディーリアの真実率直な言葉にリアは激怒し、コーディーリアを勘当の身として二人の姉にすべての権力、財産を譲ってしまう。老王リアの悲劇はこのとき始まった。」 (新潮文庫ホームページより)

人間の財産欲、名誉欲、猜疑心が、張り詰めた緊張感とともに描かれる。
この戯曲には、希望はなく、描かれるのは絶望だけである。
シェークスピアの悲劇は、まさに曇り空のイングランド、スコットランドの城跡のように、とことん暗い作品がおおいが、読後、これほど重く、複雑な気分になるのは、この作品がピカイチであると思う。

いろいろ読み解きたくなる本だが、時間がないのと、ますます気分が沈みそうなので、止める。個人的には、リア王に仕える「道化」が何者なのか気になった。あの機転、切り返しは、只者ではない。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする