その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

塩野七生 『ローマ人の物語〈21〉危機と克服〈上〉』 (新潮文庫)

2011-01-06 23:30:52 | 
 この巻では皇帝ネロの死後、紀元68年6月から69年12月までのガルバ、オトー、ヴィテリウスの3名の皇帝の「混迷のローマ」1年半が描かれます。この1年半は、3皇帝が入れ替わり立ち替わり殺害・自殺・殺害され、「ライン軍団」と「ドナウ軍団」のローマ軍同士の内戦がおこり、ローマ人同士のローマでの市街戦が繰り広げられる、まさにローマの危機の時代でした。

 ただ、筆者は、「ローマ人の歴史とは、「危機と克服の歴史」と言い換えても良い」(p20)と言い、危機を繁栄に結び付けてきたローマ人が、危機を克服しても繁栄に結びつけられなくなった理由の究明が「ローマ帝国の滅亡の要因に迫ることではないか」と考えます。

 本巻は、この危機が描かれますので、それほどエキサインティングなものではありません。むしろ、これからの巻で、どうこの危機的状況を克服していくのかが楽しみです。
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