その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ドゥダメル指揮/ ロスアンジェルス・フィルハーモニック/ マーラー交響曲第9番

2011-01-28 22:59:25 | コンサート (in 欧州)
ロスアンジェルス・フィルハーモニックのロンドン公演に行って来た。

指揮は同楽団の音楽監督を勤め、今世界で最も注目の若手カリスマ指揮者といっても良いグスターボ・ドゥダメル。1981年1月26日生まれということらしいので、まだ30歳になったばっかり。すげえ〜。

今日のプログラムはマーラーの交響曲第9番の一本勝負。

バービカンホールの舞台一杯に広がる大オーケストラが、第1楽章からスケール感一杯の音楽を奏でてくれた。ただ金曜日の演奏会ということで、いつもどおり自分の集中力が欠け、聴いているような、聴いていないような宙に浮いた感じ。第2楽章以降は復活し、一生懸命聴いた。第2楽章はリズミカルな旋律が楽しい。でもやっぱり、マーラーの第9は第4楽章が圧巻。主題が形を変えて繰り返され、進むに従って薄くなり、最後は消えて行く。マーラーは最後の小節に「死に絶えるように」と書き込んだそうだが、その通りだ。最後の音が消えて、ドゥダメルの腕が降りるまで1分近くあったのではなかろうか。マーラーの9番を聞くのはこれが3回目だが、こんなに長いセ静寂の時間が続いたのは初めてのような気がする。

ドゥダメルの指揮姿はエネルギッシュで気持ちがいい。暗譜で全身で楽員に向かっていく感じが、若さがあっていい。オーケストラはどの楽器も良くなっていて、迫力満点だった。マーラーということもあり、金管が大活躍。

ただ・・・、正直、自分の中に、深く胸に残るような感動は起こらなかった。何故だかは良くわからない。私がこういうのも何だが、音楽は美しいのだが、なんか精神的に後に残らないのである。さっぱりしていて、不思議な気分だった。初めて聴いたのはチョン・ミョンフン指揮のN響だったと思うが、その時は第4楽章の感動から抜け出すのに数時間かかったほどだったのに。あまりにも若くて活きのいいドゥダメルの指揮とマーラーの暗い9番のイメージが合わないといったビジュアル的なものなのかもしれない。やっぱり、マーラーの9番は、ミョンフンが目を閉じて静かに指揮したり、ハイティンク大先生とかが難しそうな顔をして、指揮棒の先一つでオケを操るみたいなほうが合うのかな?などと後で勝手なことを考えた。

しかし、終演後の拍手はすごいものだった。カーテンコールでは、ドゥダメルは常にオーケストラを立てて、自分が中心に立つようなことがない。謙虚な人なのかもしれない。

Los Angeles Philharmonic / Dudamel
28 January 2011 / 19:30
Barbican Hall

Mahler Symphony No 9

Los Angeles Philharmonic
Gustavo Dudamel conductor
コメント (6)
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Susan Bloch & Philip Whiteley "The Global You"

2011-01-28 00:11:49 | 

グローバル化するビジネス、職場の環境変化に対して、どうやって自分自身をグローバル化させるのか? そのノウハウを紹介する本です。経験豊かなエクゼクティブコーチング米国人と英国人の経済記者による著作で、国際ビジネスマンへのインタビューやアンケート調査を元に導かれたものです。

本屋で見かけて「こりゃあ、俺に読めと言っているような本だな」と思って、即、購入しました。英語が恐ろしく分かりやすく書かれているので、スイスイ読めました。英語の本がみんなこれほど読みやすければいいのに...

ただ内容は正直、期待ほどではありませんでした。10のアドバイスが夫々の章で語られるのですが、その章立ては・・・

1. Think global.
2. Learn to work in a multi-cultural context.
3. Travel whenever you can - for fun or for work.
4. Learn a language.
5. Learn to learn out of the classroom.
6. Go virtual while staying real.
7. Treat multi-cultural teamwork as a core skill.
8. Build your personal network.
9. Raise your global profile.
10. Manage your time across time zones.

一瞥して分かるように、「なんだ当たり前のことじゃないか〜」と言う中身と言えば中身なのです。なので、私が思ったのは、英米のビジネスマンにとっては、我々日本人以上にグローバル化 (脱欧米化?) というのは大変なことなのかもしれないということでした。違いはあるにせよ基本的な歴史や世界観を共有している欧米市場の中でのビジネスと、本書の事例としていくつか紹介されているアジアや中東諸国とのビジネスに欧米人が入っていくというのは、日本人が欧州市場に入ってて仕事をする以上の難易度があるのでしょう。

一方で、いくつかの新しい発見もありました。

例えば、7章ではグローバルなマインドセットとは何か、場所の離れた地点同士のテレビ会議や電話会議を如何に効果的に進めるかといった具体的なアドバイスが記述されています。

また、9章では、Facebook、Twitter、LinkdIn、Blogなどのソーシャルメディアをどう活用するのかとか、オンライン上での自分の経歴の書き方例などが書いてあって、なるほどと思わせます。

私はソーシャルメディア好きですが、オンとオフを使い分けた形で使っています(というかビジネス目的の利用はしていない)。プロフェッショナル(職業上)とプライベートの境目がどんどんあいまいになってきている社会で、こうしたメディアを最大限活用するには、もう少し活用方法も考え直したほうがいいのかもしれません。

このブログも実名かつ英語で書こうかしら。そしたら、誰も読んでくれなくなるだろうなあ〜。

とりあえず、久しぶりに英語の本を一冊読み通して、いい気分です。

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