木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

掘り出し物

2009-06-19 21:09:56 | 道具
パルスプラザで開かれている「京都大アンティークフェア」に行ってきました。
これで2回目。行きたいと思いながら、なかなかいけませんでしたが、今朝思い立ち行ってきました。金曜日というのに大勢の人で賑わっていました。
会場を一通り見て回り、見つけた掘り出し物?はこれ。


古い漆刷毛です。
約2寸の広い幅の刷毛が5本、5分から1寸の狭い幅のものが5本。全部合わせて、広い幅の刷毛の今の1本分以下の値段。それをさらに値切って・・・。


皆周りに和紙を貼り、漆を塗って固めてあります。5分は未使用。
どれも今の市販品と比べると長い。本通し途中で接いでいますので。時にその必要があって長くしているのかもわかりません。
厚みはやや薄手。特に2寸の幅の刷毛はかなり薄いです。

毛の根元が漆で固まっているので、切り直しすることにしました。


漆で固まってしまっている部分を切り落とし、塗師屋包丁で慎重に切り出します。
漆の刷毛は毛を漆で固めてあるので、このままでは使えません。


まず、ぬるま湯を付けながら、金槌で叩いて漆で固められた毛をほぐします。
ところがこの刷毛、最近の刷毛に比べると漆が硬いこと。
あまり強く叩くと毛が折れてしまうので加減しながら、根気よく叩くこと約30分
やっとほぐれて来たので、次はゴミ出し


もち粉を水に溶いて良くかき混ぜのり状にしてそれを付けて定盤の上でもみ、篦で突き出します。
これを繰り返して、固めてあった漆のかすや折れた毛を洗い出します。
実はこの刷毛の仕立て方法、黒田乾吉先生に教えていただいたのですが、その時使ったのはもち粉ではなかったような気がするのです。
「一度火を通しα化した米の粉」と言っていたように記憶しているのですが、それが何だったか・・・。
まあ、糊状のものなら何でもでも良いとは思うのですが・・・。


こちらは6分の刷毛。腰が強いので、箸の捨て刷り用に先をとがらせずに切り出しました。


4本ほぐしましたが、今の刷毛と比べて毛の腰が強いように感じます。
使うのが楽しみです。

今日はもう一つうれしいことがありました。
夜、大学時代のサークルの同窓生のハチロー君から電話をもらいました。電話の中身は、ブログを見てくれてその感想。
その昔「芸大を目指せ」と美術先生に言われたほどのハチロー君から、作品の写真を見てのお褒めの言葉。
写真ですからよく見えたのでしょうが、うれしかったのは、「今までやってきたことが作品の基になっているように思う。」と言ってもらったこと。
33年間、養護学校や聾学校で障害のある子ども達の教育に携わり、その中で学んで来たことを、もの作りや作品に生かしたい。
具体的にはどうしたらよいのかわかりませんでしたが、そこに自分が木工芸をする意味がある、そんな思いをもって昨年早期退職してこの道に進んだのです。
まだまだそんなところに至ってはいないのですが、ハチロー君がそう感じてくれた事は何より大きな励みになりました。
ハチロー君ありがとう! 

コメント (4)
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