木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

パーティション・ポール

2010-03-15 20:59:43 | 木工
椅子の漆の乾き待ちの時間、並行して進めている次の作品の木取り、今日はブビンガ。


ブビンガを主に使っての制作は初めて。
あまり使おうという気にならなかったのは、たぶん材の重さ。
このブビンガの材、幅60cm、長さ1m、厚さ8cmほどで、重さは約50kgあります。
そのままでは機械にかけるのも大変なので、取りあえず2つに切りました。


やっと持てる重さになったので、(それでも幅の広い方は25kg以上あります。)手押し鉋で2面を削り、


バンドソーで必要な厚さに挽き


荒木取りをしました。
何を作るかというと、パーティション・ポール
今回は、重さが必要なのでブビンガを使ったというわけです。


足りないベースの一枚は、2枚を貼り合わせて使います。
しばらく置いて材の動きを見ながら制作にかかります。

京都丹後半島、世屋高原にあるいーポート世屋さんからの注文です。
新しく購入したグランドピアノのパーティションに使われるそうです。
市販のパーティション・ポールはほとんどが金属製で値段も高いので、木製がほしいと注文をいただきました。
いーポート世屋では、日本の音楽界の第一線で活躍している著名な音楽家を招いて年に数回音楽会を開いています。題して「いーポート音楽会
昨年は行事が重なり参加できませんでしたが、今年は是非参加しようと今から楽しみにしています。

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栃盤製材

2010-03-13 22:24:59 | 木工
朝一番、栃板の製材に行って来ました。
行った先は丸萬さん


巨大な製材機。最大挽割高さは1.5mだそうです。


自動の送材車に載せ、片面を舐め(薄く挽き)、それを基準に厚みを決めて挽いていきます。


この職人さんの実に確かな腕にはいつも感心させられます。
こちらの細かな注文にも的確に応えていただきました。


板の間に挟まっている、薄板の厚みは約2mm。一度挽いて、傷を取るため挽き直してもらった切れ端です。


製材は全部で3枚。


どれも全面縮みの杢板。拭漆での仕上がりが楽しみです。


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平出さん来たる

2010-03-12 21:29:30 | 道具
新潟の平出さんが関西方面へ来られたついでに当工房に寄ってくださいました。


道具バス この中に刃物満載です。

定番の刃物の他、時々いろんな珍しい道具や、新開発の道具を見せてもらうのですが、今回はこれ。

なんだかわかりますか。信州の田舎育ちの私も知りませんでした。
先に刃がついているのですが大工道具ではありません。人差し指にはめて使います。
当てた方には一つ進呈・・・しません。答えは明日のお楽しみ。

次は、

銅製の小玄翁
小さい方が20匁、ですから、75グラム。私も自作しましたが、小鉋の刃の頭を痛めず叩くのに良いですね。


こちらはできあがってきた別注の蟻作理左勝手。
右勝手は昔左久作さんに作ってもらったのですが、前回お見えの時、左勝手を注文していたのです。

今日は他のお客さんが少なかったので、工房でお茶を飲みながらいろいろお話を聞かせてもらいました。
その後、大津へ行き、それから大阪と言っておられました。お気を付けて。


平出さんが帰られた後、昨日引っ張り出した栃の盤を軽トラに積み込みました。
明日朝一番に製材所に持ち込み、製材してもらいます。

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ほっと一息

2010-03-11 21:34:33 | 木工
確定申告も終わり、椅子の漆が完全に乾くまでの間、ほっと一息。


工房の裏の川を眺めると、お隣の梅が満開。
春の訪れを歓迎する気持ちと、もっと雪が降ってほしいという思いが入り交じる今日この頃・・・明日はだいぶ暖かくなるそうな・・・。

次の制作の準備のため、

吉岡棟梁から預かった栃の厚板を引っ張り出しました。
幅90cm、長さ160cm 厚み7.5cmあります。


全面縮み杢のこの厚板。座卓を作るために製材所で2枚に挽いてもらわねばなりません。


こちらの1枚もです。
重いので軽トラに積むのが大変です。

お知らせ
 明日(12日)の午後、新潟の平出さんが当工房に見えます。ご用のある方はどうぞ。
時間は2時か3時頃になると思います。
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確定申告

2010-03-11 12:27:22 | その他
昨年よりこの時期頭を悩ます仕事になった確定申告。
昨年フリーのソフトを見つけ、今年もそれを使いました。

その名も「おまかせ白色申告2010 」
必要事項を順番に記入していけば、帳簿(売上額、経費等)から収支内訳書、確定申告書まで自動的に作成してくれます。
それは良いのですが、肝心の収支は・・・今年も赤字・・・
昨年は税金の還付も期待できましたが、今年はそれもない・・・(払ってもいない税金が返ってくるわけない!)


提出に税務署まで行く気にもならず、郵送にしました。

まあ、好きなことを毎日やれるだけでも幸せ! と気を取り直して仕事に行きます。


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拭漆

2010-03-10 23:56:36 | 木工
椅子の拭漆にかかりました。


今までは仕口の養生にマスキングテープを使っていましたが、宮本さんより、硬めの発泡スチロールで埋める事を教えてもらい早速実行。
作業も楽で、何より、ヘラで余分な漆を取る時、ほぞ穴でヘラが傷みません。


準備完了。刷毛は、泉清吉広重作の
今まで最初の捨て摺りには、導管に良く漆を摺り込もうと硬い胴摺り刷毛を使っていたのですが、


この胴摺軟目の刷毛、びっくりするほど良く漆を摺り込むことができます。


この椅子1脚で140グラムほどの生漆を摺り込んでしまいました。
はじめの捨て摺りでできるだけ漆を摺り込むことで、木地は丈夫になり、また次の作業もし易くなります。


ついでに、制作中の合鹿椀と修理の五稜箸も研ぎ、


漆をかけました。
今日は早めに帰って確定申告の書類を仕上げなければ・・・。



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椅子についての能書き

2010-03-09 19:58:03 | 木工
今回制作した椅子についての能書きをたれてみたいと思います。

世の中にはいろいろな椅子が、様々なコンセプトに基づいて作られています。
この椅子はダイニングチェアですが、家庭の団らんや語らいに、すこしゆったりと過ごす場としても使われることを想定して、人間工学の理論からも学びながら設計しました。
市販されているいろいろなダイニングチェアや、一昨年の「暮らしの中の椅子展」に出品されていた椅子に片っ端から座ってみた結果なども参考にしています。


まず、座面ですが、座り心地が良いよう一番深いところで16mm掘り下げています。
「木は暖かい」と言いますが、冬など直に座るとやはり硬く冷たいので、薄い座布団などは必要になるでしょう。
その場合でも、この座堀があるのとないのではだいぶ座り心地が違ってきます。


座の前後には、約5度の傾斜をつけました。


座面の奥行きも、一般の椅子に比べて深くして、ゆったりと座れるようにしました。
この座面の奥行きの寸法が座り心地に大変影響するのですが、深いものが比較的少ないように思います。
座面の前縁には太ももの裏が当たらないよう丸みを付けています。


肘掛けは実際に使ってみて、一番自然に肘が置けたほぼ水平の角度にしました。


背は、すこしゆったり寄りかかることができるよう傾斜角を105度にし、


背の高さも、47~48cmと、邪魔にならない程度に少し高くしました。


背は、身体を曲面で支えることができるよう背束を曲面に配置しました。

さらに、一番苦心したことは、

腰を支えることができる構造にしたことです。
これがあるのと無いのでは、少し長く座っていた時の腰への負担がだいぶ違います。
以上が、座り心地という点から見た特徴です。


構造的にはできるだけシンプルなものにするために、座板にやや厚めの板を使い、接合部には丈夫な仕口を考えて組み合わせています。
ちなみにこの肘掛け椅子で重量は約7kgです。材料はタモです


まだまだ改良の余地はありますが、現時点でそれらの結果できあがったのがこのデザインです。
寸法的には、165cmの小生を基準にしてありますので、使う人の体格に応じて各部の寸法をやや変える必要はあります。
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肘掛け椅子 続き

2010-03-08 21:16:14 | 木工
肘掛け椅子の制作もいよいよ佳境に入ってきました。


一番厄介な肘掛けと後ろ脚の接合。最終は現物あわせでうまく収まりました。


肘掛けは鉋と小刀で削り出します。腕を載せる部分なので優しいカーブに仕上げました。


背にかかるため仮組み。前脚と座板を組み、前脚に肘掛けを差して、


後から後脚を差します。


座板に背束を6本立てて


上から笠木をかぶせます。
収まりを確認して笠木を丸く削り出します。


内側を内丸の反り台で削ります。


いろんな鉋を引っ張り出しましたが、結局はこれ1丁ですべて仕上げました。


木地完成です。
もう一度バラして、逆目、傷等の最終チェックをして拭漆にかかります。

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仕上げの鉋削り

2010-03-07 23:24:55 | 木工
肘掛け椅子の部材の仕上げの鉋削り

後脚
足先を細くした後、平鉋で左右の形を揃えて削り


木端を極浅の内丸鉋で胴張りに削って仕上げます。


一先ず完了


前脚は座板の接合部より、上も下も先に行くに従い細くなるよう仕上げました。
木端は浅い丸みを持たせました。


背束は6本を同じ形に仕上げます。その際ほぞが基準になります。
山形の部分が腰のサポート部になります。


背束の裏は反り台の小鉋で仕上げます。


仕上げ削りの終わった部材
まだまだ続きます。
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肘掛け椅子 仕口加工続き

2010-03-06 21:40:08 | 木工

昨日やり残した座板にほぞ穴をあけるため、


角鑿盤の材固定レバー部をはずし、送りハンドルを延長します。


背束を立てるためのほぞ穴を放射状にあけます。
この方法を思いつくことにより、背を丸棒でなく、板を使って腰当てと背中の曲線に合わせた背束を作ることができるようになりました。


仕口の仕上げ加工は、座板の縁を鉋で曲面に削って仕上げることからはじめます。


脚を補強する貫の仕上げ削りをして、それに合わせて脚に大入れの穴を掘ります。


後脚と座板の接合部。この時点では脚の仕上げ削りによる厚みの減りを見込んで座の溝幅を調整しています。


前脚と座板の接合部は力がかかる場所なので、中に2枚のほぞを仕込みます。


ややきつめにほぞを調整し、


脚の欠き取り部を座板の側面の曲線に合わせて仕上げます。隅を彫っているのは5厘鑿です


うまく合いました。
これで脚部と座板の接合部が完了。次は背と肘掛けです。
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