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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

男と女 人生最良の日々

2022年01月27日 00時27分34秒 | 洋画2019年

 ☆男と女 人生最良の日々

 

 かっこええ!

 さすが、クロード・ルルーシュ。面目躍如っていうのはこういうことをいうんだろうなあ。

 50年っていう歳月があるからこその映画なんだろうけど、過去の映像を組み合わせることで物語はよりいっそう深みを増してる。だけでなく、いやほんど、映像がええんだ。よくもまあ「184」のマスタングがあったもんだっておもうけど、なにより、ノルマンディ・ホテルが健在だってことで、部屋がまるで変わってないってことなんだけど、セットだとしたら、これもまたたいしたもんだ。

 アヌーク・エーメは貫禄が出てきて、昔みたいにモデルめいてて感情がおもてに出てこない秘めた感じはなくなってるけど、その分、慈愛深さが際立ってきてる。80代とはとてもおもえない。かたや、ジャン=ルイ・トランティニャンだけど、こっちは養老院で過ごしている元レーサーで痴呆が入ってきてるにもかかわらず、お洒落だ。フランスのカップルは凄いな。

 痴呆による意識の混濁と夢、そして回想の三つ巴によるカットバックは観る者をやや混乱させるけど、夢に登場する小道具が拳銃だってことで、失敗した西部劇を匂わせるのもいいし、なんといってもルルーシュが1976年に撮った短編の『セ・テタン・ランデヴー(C’était un rendez-vous)』の挿入が好い。途中とラストのシトロエンの右外から低いアングルで撮っているカットと重なり、まるで新しく撮ったような錯覚に酔う。いや、ほんと、酔いそうなるんだ、まじ。

 ラストのグリーン・フラッシュでおもわず柏手を打っちゃいたくなるくらいよかった。

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疑いの中で

2022年01月26日 00時28分01秒 | 洋画2019年

 △疑いの中で

 

 チェコの映画だっていうからどんなものなんだろうって感じで観たんだけど、このイジー・ストラッチって監督は『暗くなるまで待って』が好きなんだろうか?

 でも、主役は孤独な老女だし、イジナ・ボダロバはどうやってもオードリー・ヘップバーンとは似ても似つかないし、クリストフ・ハーデクもロイ・シェイダーにはなれない。なにより、盲目かどうかってのはこれほどサスペンスを盛り上げるかどうかってことに関わってくるってのをあらためておもいしらされるわ。

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ユージュアル・ネイバー

2022年01月24日 00時07分51秒 | 洋画2019年

 ◇ユージュアル・ネイバー

 

 ピーター・フォンダじゃないか!

 野球で心臓を強打した少年を女医サマンサ・モートンが緊急処置で救ったていう人道的な始まりを除けば、なにもかもぎこちなく始まる。

 まあそこに、夫婦なのにやけにその女医の立場がつよいサマンサ・モートンとマイケル・シャノンの夫婦と、マイケル・シャノンの浮気相手にして薬を横流ししてくれるメドウ・ウィリアムズ、死にそうな車椅子の子供、親を亡くしたとおぼしき少女が絡んでくるんだけど、その少女の里親がピーター・フォンダなんだよな~。

 でもまあ、予告編でなにもかもわかっちゃったから、このぎこちなさも的のはずれたような観客を勘違いさせるおもわせぶりな夫婦の会話も裏の見当がついちゃうんだけどね。

 
 
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記憶にございません!

2022年01月22日 23時33分23秒 | 洋画2019年

 △記憶にございません!

 

 ま、出演してるみんなが楽しみましたっていう映画だね。

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ミッドサマー

2021年12月24日 00時57分16秒 | 洋画2019年

 ◇ミッドサマー

 

 171分のディレクターズカット版を観てしまったことにめちゃくちゃ後悔したわ。アリ・アスターのデビュー作を観てないからなんともいえないけど、才能あるんか?っていいたくなるくらい辛かったぞ。

 まあ、シンメトリックな構図がキューブリックを思い出させるし、ただならぬ雰囲気は『シャイニング』を思い出させる。けど、窓の外の雪の中に浮かぶ最初のメインタイトルは、字が小さすぎて読めない。フローレンス・ピューの実家の家族が双極性障害で無理心中したことでその心的障害を抱えたまま、ジャック・レイナーやウィル・ポールターたち大学仲間の下宿に行きスウェーデンに誘われるんだけど、この出だしまで長い。

 ただ、大学の仲間の下宿で家族を亡くした話をされ、変にきれいなトイレに入って泣き出したなとおもったらスウェーデンに向かう機内のトイレだったとかなんてのは、まあまあすてきな繋ぎだった。それと、ピューたち5人の乗り込んだ車が途中でドローン撮影で天地が逆転して、ヘルシングビレッジに入ったところで天地が元に戻るってのもよかった。なるほどここが世界の分かれ目なのねって感じの展開はちょっぴり才能を感じさせた。

 薬とマッシュルーム茶でトリップしたときの風景が加齢黄斑変性のとさほど変わらないのは愛嬌だけどね。

 あ、ちょっとハイキー気味に撮られた画は北欧の夏っぽく、なんとなく『ビレッジ』を思い出させるな。

 けど、物語全体は異様な退屈さなんだけど、妙な緊張感が続いてて異世界を見学してるみたいな気分にもなる。だるまさんが転んだ的な女王選びのゲームのさまを見てるうちに藤子・F・不二雄の短編も思い出したけどね。

 わからないのは、おそらくこの夏至の村は自給自足で、外から血を得て近親相姦を無くしてきたんだろうけど、文化がまるで入ってこないわけでもないのになんで中世的な暮らしをしてるのかってことだ。アーミッシュの村のような現実味もなくて、なんか生殖ばかりが前面に出てくる。

 異常な処女の貫通式もそうで、それを見守りながら歌をうたっている女たちが、自分の乳房を揉みしだきながら声をあげてゆくのは伝統的変態儀式といっていいんだろうけどね。

 ま、期待したほどの出来映えじゃなかったな。雰囲気だけ伝わってきた分、残念だわ。

 
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アイリッシュマン

2021年12月21日 00時36分34秒 | 洋画2019年

 ◇アイリッシュマン

 

 いくらなんでも210分は長すぎる。ジミー・ホッファを暗殺したと告白するフランク・シーランの回想記なんだけど、たしかに理詰めで丁寧に撮っていけばこれだけの長さになるのはわからないでもない。でも、やっぱり長い。脚本で調整するしか方法はないんだろうなあ、これは。

 いや、そりゃ、たしかにラストの60分ちかく、つまり、ロバート・デ・ニーロがジョー・ペシに因果を含められてアル・パチーノを殺しに行くところで、もともとその瞬間のために、デ・ニーロ夫妻がペシ夫妻を連れて旅行に出ているところで回想が展開し、それでアリバイを作るようにして飛行機で単身デトロイトに飛んだデ・ニーロが、山荘に待っているアル・パチーノを撃ち殺すっていう段どりなんだけど、それはわかっているのにどうしようもない緊張感が60分つづく。このあたりの演出は、さすが、マーチン・スコセッシだ。

 でもなあ、なんかだれるんだよね。要素が多すぎるのかもしれないけど、ひとつひとつのエピソードはどれも要るようにおもえちゃうしなあ。

 それにしても、アメリカのトラックの組合ってのは、こんなにマフィアと連動してたんだろうか?だとしたら、いやまじ、アメリカってところは政治と経済は切り離せないんだね。ただ、なんていうか、フランク・シーランの回想ってのが印象の薄くなっちゃう要因のひとつなのかもしれないね。

 なんにしても、長すぎたわ。

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レプリカズ

2021年12月17日 13時15分51秒 | 洋画2019年

 ◇レプリカズ

 

 批評家の評価は低いけど、それなりにおもしろかったとおもうんだけどな。

 まあ、結果的には、自分の脳の記憶をレプリカ・ロボットに転写することで、自分とロボットと意識が併存することになり、敵というか国家の手先に妥協する道を選んじゃうわけで、それがけっこう中途半端な結末におもえたりもする。いろいろと考えたあげく、その結末を選ぶしかなかったんだよっていう弁解が聴こえてきそうな気にはなったけどね。

 でも、途中でハラハラさせるためか、ご都合主義っていうか、レプリカがひとつ足りないからって娘のひとりを犠牲にしなくちゃならないっていう決断はありかっておもうし、そもそも、家族の記憶から娘をひとり失わせるってのは不可能だし、たとえそれができたにせよ、もうすこし愛憎の絡み合いに持っていく発想はなかったんだろうか。

 それと、証人保護プログラムの結末みたいに、南国の白浜がラストってのはなんともありがちな絵だったかな。

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ジョーカー

2021年12月12日 00時52分18秒 | 洋画2019年

 ☆ジョーカー

 

 なるほど。

 ゴッサムシティの80年代である意味が必要なのかどうかは『バットマン』のファンが楽しめるかどうかってだけで、おまけのような気もしないではないけれど、認知症の始まっている母親の妄想なのか真実なのかはわからないけれど、もしも真実であるとすれば、ウェイン家で女中をしていたときに孕んだことになり、それはつまり心優しき道化師アーサー・フレックは、ブルース・ウェインと異母兄弟ってことになっちゃうんだよね。

 まあそれはそれとして、トッド・フィリップスの演出はなかなか見事だったけど、リアリティをもたせたのはやっぱりホアキン・フェニックスの演技だよね。邦画界でここまで徹底した役作りをする役者がいたらお目にかかりたいわ。でも、ふしぎなことに、アメリカでのバットマンっていうのは不動の人気なのかな。

 ところで、緊張すると発作的に笑い出してしまう病気ってのはトゥレット障害っていうんだね。知らなかったけど、緊張するとどもったり、うなったり、ちょっと異様な咽喉の音を発したりするのは、精神的な抑圧つまりストレスで誰にでも起こるもんだとおもってたんだけどな。

 しかし、アーサーの気持ちが嫌というほどわかるからか、どこまでも哀しいな。

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ランボー ラスト・ブラッド

2021年12月11日 16時12分22秒 | 洋画2019年

 ◇ランボー ラスト・ブラッド

 

 きわめて残念だった。

 観なけりゃよかったとすらおもった。

 もともとランボーはベトナム帰還兵の心の闇についての物語で、結局のところ、その悪夢から解放されることはないっていう悲劇なんだが、それでもアメリカの理想を求めていくっていうところで、ときにたったひとりで叛乱したり、ベトナムへ乗り込んでいったり、イラクにまで辿り着いたりして、そこで自分が戦うのはアメリカのためではなく自由のためだったんだって自覚したのがビルマだったていう筋書きだったはずが、なんとも、個人的な戦いを最後にしちゃうのはどうよ。

 イヴェット・モンレアルが父親を探して、それがもとで誘拐されて、売り飛ばされて、麻薬漬けにされて、売春婦として悲劇的な境遇に置かれたばかりか、ランボーが捕まって頬を斬られたときにさらに見せしめとして頬も傷つけられ、結局、救出されたものの、ランボーの車の中で悲劇を迎えることで、ランボーの闘争心と復讐心が燃え上がるって展開はわからないでもないんだけど、ランボーを助けることになった妹を拉致された新聞記者パス・ベガとの関係がいまひとつ中途半端なままいつのまにやら忘れられるってのは、あかんだろ。

 これは撮り直しだな。

 スタローンはこういうことがよくある。いやまじ『ロッキー5』とおんなじだ。

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1917 命をかけた伝令

2021年12月10日 19時25分20秒 | 洋画2019年

 ◎1917 命をかけた伝令

 
 すごいわ。物語そのものはこれといった面白さはないけど、もうなにが凄いってカメラワークに尽きる。
 
 全編ワンカットみたいになるように撮られとかいうのはもしかしたら日本だけの謳い文句かもしれないんだけど、そんなことはどうでもよくて、たしかにカメラに撮り続けてるように見える。
 
 とはいえ、少なくとも塹壕の地下に入り込んでゆくときの暗転、塹壕で犬の干し肉と鼠が落ちてきた瞬間の爆発、川沿いの廃墟で真正面から撃ち合って階段から転げ落ちた際の失神、川へ飛び込んで滝壺へ落ちた時の水没の4回のテープチェンジはっきりわかる。
 
 もちろん、それらのほかにも数か所、カメラを止めて繋いだところはあるはずなんだけど、そうだとしても、いやまあよくもこれだけエキストラを演技指導して、ロケセットを縦横に使いまくって、ステディカムなのかクレーンなのかドローンなのかまったくわからない、池や川や塹壕や人間の頭の真上を通過して撮影できちゃうのはどういうことだろう?
 
 さらにいえば複葉機が納屋に墜落してきてその搭乗員を助け出すカットはいやまじどうやって撮ったんだってくらい感心したわ。いやまあCG処理なんだろうけど、これは邦画は太刀打ちできんね。
 
 やるな、サム・メンデス。
 
 それにしても、ジョージ・マッケイとディーン・チャールズ・チャップマンの上等兵と伍長のコンビはよく走ってるわ。凄い根性だ。カンバーパッチがちょっとだけのゲスト出演ってのが残念だったけどね。
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IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。

2021年11月27日 00時38分24秒 | 洋画2019年

 ◇IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。

 
 前編の抒情感は断片的に残ってはいるものの、恐怖から逃げるために記憶の底に封じ込めて忘れ去ってしまっているものを、ひとりひとりがひとつずつおもいだしてゆこうとするのと同時進行でピエロことペニーワイズの復讐が始まり、あらたな恐怖に引きずり込まれてゆくわけだけど、ただこれがちょっと長すぎる。
 
 問題はとりとめのない恐怖が連続することで、だんだん馴れてきてつまんなくなってくる。前編のようなまとまりがないというのか、27年ごとにデリーを包み込んでくる恐怖はいったいどこにいってしまったのが、あらたな恐怖はなく、徹頭徹尾、負け犬倶楽部に復讐を挑むピエロとの戦いだけで、だれる。
 
 少年たちが単なるおっさんになってしまっただけで、なんだかね。ジェシカ・チャスティンとジェイムズ・マカヴォイのおかげでなんとかもってるけど、そもそもかれらが帰郷するのは27年後にペニーワイズが復活して町がふたたび恐怖に包まれる、つまり、子供たちが行方不明になってつぎつぎに殺されはじめていると想像されたときのはずで、そうした謎解きや使命感みたいなものがいっさいなく、単におぞましい幻に悲鳴をあげつづけるのを観るのは辛すぎるな。
 
 ちなみに、ラスト、少年たちの姿で再起してゆくかれらのイメージショットの左側に映画館があるんだが、そこで上映されてるのは『エルム街の悪夢5』なんだよね~。
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ドクタースリープ

2020年04月30日 00時32分40秒 | 洋画2019年

 ◎ドクタースリープ(2019年 アメリカ 152分/180分)

 原題/Doctor Sleep

 監督・脚本・編集/マイク・フラナガン 音楽/ザ・ニュートン・ブラザーズ

 出演/ユアン・マクレガー レベッカ・ファーガソン カイリー・カラン ジェイコブ・トレンブレイ

 

 ◎40年後のオーバールックホテル

 続編に見えて続編でないというか、シャイニングの子供たちの霊気を吸って生きながらえているヴァンパイア集団トゥルー・ノットとダニーとの対決が主な筋立てになっていかざるを得なかったのが、旧作のフアンとしてはどうにもつらいんだけれども、これがなかったからまたふたたびおんなじことが起こってしまうだけで映画にする必要なんかないんじゃないかってことにもなりかねない。むつかしいな。

 けどまあ、定番というか、物語の常道はまあこんな感じなんだろうなと。

 ラストにどんでん返しが控えていて、ラストカットでさらにひとつどんでん返しを用意してる。女の子が廊下をゆくとき、ジャックを虜にしたときの懐かしい歌が聞こえてきた。あ、この子もそうなるのかとおもっていたら、なんだかそうじゃなくなって…ていう前ぶりはあるものの、結局はそうなるしかないよね。

 ダニーの腐った老婆に捕らえられて扉を閉められる悪夢とおんなじ構図と段取りになるってことは、過去の悲劇というのか、実はジャック・ニコルソンよりも前からずうっとおんなじことが繰り返されてきたんだっていうことになるんだよね、たぶん。

 いずれにせよ、父性の喪失てゆうか、父親は代理があるかぎり続くんだなとおもったわ。

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ターミネーター:ニュー・フェイト

2019年11月30日 19時03分46秒 | 洋画2019年

 ◇ターミネーター : ニュー・フェイト(2019年 アメリカ 129分)

 原題/Terminator Dark Fate

 監督/ティム・ミラー 音楽/ジャンキーXL

 出演/リンダ・ハミルトン アーノルド・シュワルツェネッガー マッケンジー・デイヴィス

 

 ◇これで最後か?!

 問題は3つある。

 ひとつは、どうしたところでシュワルツェネッガーが若返ることは決してないということ。

 もうひとつは、リンダ・ハミルトンとマッケンジー・デイヴィスだけでもいっぱいいっぱいなのに、ここへさらにナタリア・レイエスまで加わって、3人の女性が中心になっていく話はちょいとばかり焦点がぼやけてしまうんじゃないかってこと。

 さらにひとつは、ジョン・コナーが死んでしまって、ジョンのためにとかって標語で戦いが行われてきて、そこへさらにあらたなジョン・コナーとしてナタリア・レイエスが加えられるんだけど、こういうとんでもない設定が為されてしまった上に、守るべきヒロインがまるで魅力的でないことだ。

 せっかく「T2」の正式な続編とかっていわれて期待したところへもって、この仕打ちは痛すぎるぞ。

 やっぱりこのシリーズは「T2」で終わらせておくのがいちばん良かったんじゃないかな?

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