☆男と女 人生最良の日々
かっこええ!
さすが、クロード・ルルーシュ。面目躍如っていうのはこういうことをいうんだろうなあ。
50年っていう歳月があるからこその映画なんだろうけど、過去の映像を組み合わせることで物語はよりいっそう深みを増してる。だけでなく、いやほんど、映像がええんだ。よくもまあ「184」のマスタングがあったもんだっておもうけど、なにより、ノルマンディ・ホテルが健在だってことで、部屋がまるで変わってないってことなんだけど、セットだとしたら、これもまたたいしたもんだ。
アヌーク・エーメは貫禄が出てきて、昔みたいにモデルめいてて感情がおもてに出てこない秘めた感じはなくなってるけど、その分、慈愛深さが際立ってきてる。80代とはとてもおもえない。かたや、ジャン=ルイ・トランティニャンだけど、こっちは養老院で過ごしている元レーサーで痴呆が入ってきてるにもかかわらず、お洒落だ。フランスのカップルは凄いな。
痴呆による意識の混濁と夢、そして回想の三つ巴によるカットバックは観る者をやや混乱させるけど、夢に登場する小道具が拳銃だってことで、失敗した西部劇を匂わせるのもいいし、なんといってもルルーシュが1976年に撮った短編の『セ・テタン・ランデヴー(C’était un rendez-vous)』の挿入が好い。途中とラストのシトロエンの右外から低いアングルで撮っているカットと重なり、まるで新しく撮ったような錯覚に酔う。いや、ほんと、酔いそうなるんだ、まじ。
ラストのグリーン・フラッシュでおもわず柏手を打っちゃいたくなるくらいよかった。