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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ポイズンローズ

2022年09月13日 23時36分02秒 | 洋画2019年

 △ポイズンローズ(The Poison Rose)

 

 よくもまあこれだけつまらない脚本に、これだけの役者を揃えられたもんだって感心するわ。

 ていうより、あれかな、かつて分かれた恋人が実は娘を産み落としていて、その娘の結婚相手が、自分とおなじように大学のアメフトのヒーローだったんだけど、どうにも女遊びと麻薬から足を洗えずに困っていた矢先、その結婚相手が不審な死を遂げると、これを見過ごせないかつての恋人が私立探偵になっている自分に連絡してきて、故郷で捜査を始めるっていう物語で、これにジョン・トラボルタの娘のエラ・ブルー・トラボルタが父娘の役で出演するからってことで、モーガン・フリーマン、ブレンダン・フレイザー、ピーター・ストーメアあたりが顔を出したって感じなんだろうか?

 そうとしかおもえない。

 しかし、トラボルタ、肥り過ぎだぞ。

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ドミノ 復讐の咆哮

2022年09月05日 00時00分37秒 | 洋画2019年

 ◇ドミノ 復讐の咆哮(Domino)

 

 なるほど、ブライアン・デ・パルマは完全な雇われ監督に徹してたってことか…。

 これ、主役の拳銃を愛人とのセックスに夢中になって忘れちゃったおかげで相棒の老練刑事ソーレン・マリンを死なせちゃったことで必死になる若手刑事ニコライ・コスター=ワルドーの物語ってことになるんだけど、いや、つらいのはこのセックス相手の女の子はここしか出てこない。つまり、ニコライ・コスター=ワルドーの私生活はまるで描かれないんだよね。なんかな~。

 そのかわりに、ソーレン・マリンと不倫してたカリス・ファン・ハウテンに比重が置かれるんだけど、恋愛が発展しない分、おもしろさに欠けてくる。ちなみに、カリス・ファン・ハウテンはFBIの職員の役で出てるガイ・ピアーズの子を妊娠しちゃったのね。そのふたりを出演させるってのもなんかね~。

 で、よく観ると、この映画、ニコライ・コスター=ワルドーが製作総指揮になってんじゃん。だったら、主役の物語をちゃんと描いた脚本をデ・パルマに渡してほしかったな。画面は、あいかわらず、しょぼい原色が効いてるんだけど、カメラワークがなめらかじゃなくて、ちょっと興醒めしちゃうんだけどね。

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43年後のアイ・ラヴ・ユー

2022年08月27日 22時41分30秒 | 洋画2019年

 ◎43年後のアイ・ラヴ・ユー(Remember Me)

 

 なんとなく、おもしろかった。

 86歳のブルース・ダーンが、昔好きだった舞台女優カロリーヌ・シロルのために、認知症を騙って彼女の入ってる老人ホームに入所するっていう発想はなかった。ルルーシュの『男と女』の最終章をおもいだしたけど、こっちの方が命を張ってる感じがしていいかもしれない。

 つか若い頃の役者、よく似てるなあ。よく見つけてきたっておもうわ。

 そんなことより、カロリーヌ・シロル、旦那いるじゃん。あかんじゃん。老人ホームに入居してる認知症の老女に昔の不倫をもう一度って感じにされたら、すべてパーじゃん。とはいえ、この老いらくの元初恋は、相手がアルツハイマーな分、どうにも、純粋さが増してくるように見えてくるっていうのはなんともいえない錯覚なんだけど、そういうことからするとふしぎな展開だった。

 しかし、旦那がまた会いにきてやってくれみたいな感じで握手をもとめるのはどうかって気がするぞ。

 ていうか、そうか、ブルース・ダーンって『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』か。ブライアン・コックスもよかったし、老け役は旦那もふくめてみんなよかったわ。

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エンド・オブ・ステイツ

2022年07月28日 22時25分20秒 | 洋画2019年

 ◇エンド・オブ・ステイツ(Angel Has Fallen)

 

 まあ『エンド・オブ』の完結編になるわけだよね。どんどんちからが落ちてくるのが実感されるんだけど、それはそれで仕方がない。ホワイトハウスが陥落するっていう衝撃的な展開に比べれば、大統領の暗殺未遂なんてのは大したことじゃないもんね。

 シリーズで毎回顔を観るのはジェラルド・バトラーとモーガン・フリーマンだけなのかもしれないけど、いやまじ、ふたりとも年食ったな。音楽はなんだかちからが入ってたけど、タイトルバックが始まってから、ひとつだけ親子の和解だけにあきたらず仲良しの暮らしまで描く必要があったかどうかはわからない。いや、要らないんじゃないか。

 それにしても、やっぱり、タフガイの親父は元祖タフガイのニック・ノルティになるんだね。ベトナム帰りってのは、スタローンの『ランボー』のラストブラッドでもそうだったみたいにやっぱり縦横無尽に穴を掘りたがるんだろうか。それと、爆弾だ。まあ爆発させることさせること。

 ただおもうのは、冒頭の湖上の暗殺未遂はドローンの大群を投入しての凄まじい攻撃だったのに比べて、佳境のモーガン・フリーマンの入院している病院を襲撃するのはなんだかひと昔前の集団突撃で、これがおんなじ民間軍事会社の精鋭なのかっておもっちゃうほど下手くそな攻撃だったのはなんでだ。いくらそのまえに酸素爆弾でやっけつけておこうっていう段どりは踏んでるものの、これじゃダニー・ヒューストンがあほみたいじゃんね。

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風をつかまえた少年

2022年07月12日 23時44分40秒 | 洋画2019年

 ☆風をつかまえた少年(The Boy Who Harnessed the Wind)

 

 おもしろかった。

 監督・脚本・出演を果たしたキウェテル・イジョフォー、たいしたもんだな。

 世界最貧国のひとつマラウイでほんとにあった話をもとにしてるらしいんだけど、いや、なるほど風をつかまえて自転車のダイナモで発電するというのは誰でもしそうなことだし、できそうなことではあるけれども、それを実際に14歳の子供が父親の無理解のもとで廃材を集めて発電させてみせるっていうのはなかなかできるものじゃない。しかも、この風をつかまえた風車でポンプを回し、地下水をくみ上げるなんて、まず考えない。けれど、実際にそれをやりとげてこうして映画化されてるわけだから、うん、すごいね。

 で、この本人のウィリアム・カムクワンバ氏が20歳になったときに本を書き、23カ国で翻訳されて、タイム誌の「世界を変える30人」に選出され、キウェテル・イジョフォーが注目した。なんてすごい話だ。いや、おもしろかったぞ。音楽がまたいいし。

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コリーニ事件

2022年06月30日 21時10分47秒 | 洋画2019年

 ◎コリーニ事件(Der Fall Collini)

 

 事件を担当した几帳面な新米弁護士エリヤス・エンバレクがむかし世話になった老人マンフレート・ツァパトカが、ワルサーで後頭部を射たれた被害者だったというのが味噌だね。

 殺される理由がなく、殺したコリーニことフランコ・ネロも黙秘、しかも残された巨大企業の跡継ぎつまりマンフレートの孫が昔の親友で、その妻アレクサンドラ・マリア・ララとなにやら因縁ありげってのも、出だしとしては申し分ない。まあ、因縁ありげっていうより、抜き差しならない仲なんだけどね。

 それはともかく、フリジェシュ・シャーンドル指揮の requiem in d minor, k. 626: iii. sequentia - f. lacrimosaとスロヴァキアの室内管弦楽団カペラ・イストロポリターナの Suite No. 3 in D major, BWV 1068 が効果的だね。

 けど、ワルサーP38の登場が遅すぎるだろ。これが出てこないと過去に遡れないじゃないか。後半が始まるのと同時じゃちょっとなあ。イタリア語のできるピザ屋のアルバイトのおね~ちゃんピア・シュトゥッツェンシュタインをつれてトスカーナまで行くんだけど、通訳に連れてくんなら自分はまったく話せないって設定で、訪ねた先の老人もドイツ語が話せないって設定にした方が彼女の存在感が増すっておもうんだけどな。

 いずれにしても、フランコ・ネロの幼い頃の家族を虐殺されたナチスへの憎悪が根底にあるのは徐々にわかってくるっていうか想像されていくわけで、それを認めてくれる筋をひたすら追いかけていくと、後頭部を射ち貫くところがなんとも理解して観終えることができるっていう構成は満足がいく。

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ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

2022年06月29日 21時27分15秒 | 洋画2019年

 ◇ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(Godzilla : King of the Monsters)

 

 フォーチュンクッキーじゃなくて、おみくじっていってくれよ、ケン・ワタナベ。

 というより、ヴェラ・ファーミガ、綺麗なのになんかキワモノ女優みたいになってて、カイル・チャンドラーも高島忠夫みたいになってきてて、なんかね。

 つか、そんなことより、中身だ。おいおい、勝手なおもいこみかもしれないけど、おもわず『三大怪獣 地球最大の決戦』が浮かんできちゃったぞ。

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スペシャルズ! 〜政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話〜

2022年06月23日 23時23分32秒 | 洋画2019年

 ☆スペシャルズ! 〜政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話〜(Hors normes)

 

 ケア施設スタッフのひとりは特捜部Qの相棒ファレス・ファレスのカメオ出演かとおもうんだけど違うのかな?

 ヴァンサン・カッセルの『正義の声』ともうひとつのレダ・カテブの『寄港』に理解のある女医カトリーヌ・ムシェも聴覚障害の介護士リナ・クードリはどちらも美形すぎていかにも作り物めいて見えちゃうんだけど、それをおけばかなり現実味が感じられる。

 自閉症の若者たちを預かるのはどれだけ忍耐強さが要るものかってことをあらためて考えさせれるね。

 ヘッドギアをつけてないとヘッドバンキングで自分を傷つけてしまう自閉症の少年の面倒を看たのは団地で除け者にされて行き場を失っていた黒人なんだけど、彼の成長譚でもあるということは、つまり自閉症の若者に救われ、忍耐力を養われ、成長することができたという裏返しにもなってる。

 上手な映画だな。

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リチャード・ジュエル

2022年04月21日 23時54分20秒 | 洋画2019年

 ☆リチャード・ジュエル(Richard Jewell)

 

 法執行官であろうとするあまり、職務に忠実であればあるほど滑稽になる。

 ハリウッドの傾向というか、イーストウッドも例外ではなくて、どうもこの頃の映画は事件が起きるまでが長い。人物や状況の説明が長いんだよね。

 しかし、イーストウッド、巧い。FBIを徹底的に憎ませてくれる。オリヴィア・ワイルドの演じた女性記者の枕営業が真実かどうかってことで論議を呼んだらしいけど、真実か否かは別にして、そもそもその記事がリチャード・ジュエルの冤罪につながっていくわけだから、イーストウッドとしては裏付けのない記事を掲載することが赦せなかったんだろうね。

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チャイルド・ブライド 売られる子供たち

2022年04月19日 23時30分51秒 | 洋画2019年

 ◎チャイルド・ブライド 売られる子供たち(I Was a Child Bride)

 

 このサラ・ニコルズっていう監督は素人なのかテレビの報道ディレクターなのかわからないんだけど、まあそれなりに一所懸命に児童婚を追いかけてる。

 でも、アメリカっていう国の病根は深いね。少女の自分を強姦した野郎と結婚させられて、しかも子供まで産ませられて、それを宗教的なところからか外聞を気にするところからか、両親も親戚も認めざるを得ないっていうとんでもない事実が、この現代のアメリカのすべての州で蔓延してるなんてのは、あかん。

 こういうところでも、まるきり頼りにならないのは頑迷な爺いの政治家だ。どこの国もおなじで、眼の前の被害者が涙ながらに訴えているのに、自分の母親も10代で結婚したが幸せな夫婦生活をおくってわたしを育ててくれたとかいってる始末だ。あんたの事情を聴いてるんじゃないんだよって、観客はみんな感じただろう。

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キング

2022年04月14日 22時13分19秒 | 洋画2019年

 ◎キング(The King)

 

 15世紀の鎧ってのはこんなに素朴なのか~とあらためておもったりした。

 ティモシー・シャラメ演じるハル王子がどうしてゴミ溜めのようなところで放埓な暮らしをしているのか、なんでイングランドの王位を拒否しているのかっていうあたりの理由がいまひとつ明確でない気がするし、父親のヘンリー四世を人でなしと罵るっていう父と子の確執はさらっとしてるもんだから映画だけだとよくわからない。シェイクスピアを読み込んでないとなかなかね~。

 で、本筋は、アルフルール包囲戦とアジャンクールの戦いなんだけど、なるほど、釣り野伏せになってるわけね。史実はもっと複雑なんだけど、そんなことはどうでもいい。ここで、ぼくらのティモシー・シャラメは、冒頭の一騎打ちで勝って兵の損耗を防いだところが伏線になってて、フランスの王子ことロバート・パティンソンに一騎打ちを挑むんだけど、このあたりの伏線処理はとてもわかりやすい。

 わかりやすいといえば、そうか、ショーン・ハリスが暗殺で釣ったのか。つまり、アジャンクールの戦いはこの映画では小さな釣り野伏せになってて内円で、大きな釣り野伏せで映画の枠にあたる外円になってるのが暗殺の謀略だってことなのね。なるほど、それをフランスから嫁いできたリリー=ローズ・デップの言葉でようやく感づくティモシー・シャラメっていう構図になってるわけね。暗殺で釣られるイングランド、軽装の歩兵で釣られるフランス軍ってわけか、なるほど。

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紅海リゾート 奇跡の救出計画

2022年04月13日 01時11分24秒 | 洋画2019年

 ◇紅海リゾート 奇跡の救出計画(The Red Sea Diving Resort)

 

 まるで『海の翼』のようなラストの飛行機救出だけど、まあそれはさておき、冒頭、状況を把握するのが難しい。ナレーションで説明されてもイスラエルやモサドに関して無知な僕にはどうもね。7人の侍のような集め方はもうやめた方がいいとおもうな。

 しかしエチオピアに黒人のユダヤ人がいるというのは知らなんだ。

 この最初に救出される174人の中にナレーションの黒人少年がいるんだけど、かれらが1000キロも歩いて到着したっていう苦労話はまるで描かれていない。これはあかんよね。倒壊しかかった小さな平屋のリゾートにほんとうの客か来るのも中途半端だし。とはいえ、まあまあの出来な気はするけど、タイトルバックに登場する過去の現実の写真の方が凄くて、こちらに感動しちゃったわ。

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THE UPSIDE 最強のふたり

2022年04月06日 02時21分21秒 | 洋画2019年

 ◎THE UPSIDE 最強のふたり(The Upside)

 

 リメイクが完成するまで6年も掛かったっていうのがちょっと意外なんだけど、その分、秘書の設定と新たな物語が上手に添えられてる。

 まあ、文通の相手とはうまくいかないだろうなっていうのがリアルな受け取り方だし、なにもかもわかってる秘書が実は恋心をもっててやがて結ばれるのを暗示してるってのいう方が物語としては上手な作り方だっておもうし。ニコール・キッドマンを起用するっていうのはそういうことだろう。

 けど、ニコール・キッドマンを解雇する場面がないのはよくないね。そうじゃないとラストの再会が生きてこない。

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特捜部Q カルテ番号64

2022年03月27日 22時41分13秒 | 洋画2019年

 ◎特捜部Q カルテ番号64(Journal 64)

 

 複層的だな~。

 優生保護法はなにも日本だけの問題じゃなくて、北欧のデンマークでもかなり深刻な問題になってるんだろうか。そうじゃなかったら、こんな物語にはならないよね。

 それにしても、アパートの閉ざされた部屋から発見される縛られて毒殺されてミイラ化した3つの死体と、1961年のスプロー島の女子矯正施設に収容された従兄弟の子を宿した少女との関係がまるで曖昧なまま、さらに中絶手術をしたことで異常な腹痛を訴える移民の女の子とその知り合いの特捜部の移民ファレス・ファレス、相変わらず嫌われつづける特捜部のニコライ・リー・カースと、やはり彼氏のできない孤独な特捜部の女子ヨハン・ルイズ・シュミットとが一緒くたになって語られ始めるもんだから、物語の世界に入り込むまでかなりの根性を要したけど、でも、やっぱり期待どおりの出来栄えだった。

 ニコライ・アーセルの脚本がいいんだな、これは。

 珈琲やかつてはドイツのビールにも入ってたっていうヒヨスってのがほんとにあるのかどうかは知らんけど。

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囚われた国家

2022年01月31日 00時45分54秒 | 洋画2019年

 ◇囚われた国家

 

 どうもキャストに花がないな~。ジョン・グッドマンもベラ・ファミーガも決して悪くないし、こうした作品には似合ってる感じもするんだけど、ふたりともおとなしめなんだよね。さて、このふたりは主役なんだけど狂言回しじゃない。狂言回しは黒人の少年の兄弟なんだけど、これがまた地味なんだよ。なんかな~。

 さて、で、かれらは地球を征服した異星人に対するレジスタンスで、地下組織の一員であることを絶対に知られてはならないジョン・グッドマンはいかなる犠牲を払っても、たとえ味方に詰られ、嫌われ、軽蔑されようとも憲兵隊の長のような立場を守って、叙勲されなければならない。そうでないと、異星人の母艦の中枢に入っていいとは認められないから。

 でもそうなればしめたもので、母艦の内部に入り、なんにも探知されない立場となって自爆することができるようになるんだね。これがこの作品の味噌になるんだけれども、やはり地味だ。

 ただおもったのは、これはナチスに占領されたドイツでの地下活動の物語にしてもなんら違和感はないってことだ。別にロシアに支配された某国の話でもなんらかまわない。要するに、圧倒的な軍事力あるいは思想によってちからずくで支配されていながらも最後まで抵抗をし続けるという悲壮感に包まれた作品だってことだ。

 

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