☆コーカサスの虜(1996年 カザフスタン、ロシア 95分)
原題/Kavajazski Plennik
英題/Prisoner of the Mountain
監督/セルゲイ・ボドロフ 製作・原案/ボリス・ギレル
脚本/セルゲイ・ボドロフ、アリフ・アリエフ、ボリス・ギレル
撮影/パーヴェル・レベシェフ 美術/ワレーリー・コストリン
衣装/デザイン・ヴェラ・ロマノヴァ 音楽/レオニード・デシャトニコフ
出演/オレグ・メンシコフ、セルゲイ・ボドロフ・ジュニア、ドジュマール・シハルリジェ
☆チェチェン紛争下のロシア
単調さが延々と続きながらも、詩的興奮もまたずっと続く。こういうのが映画が芸術たる所以なのかもしれない。ま、なまいきなことをいえばの話だけど。
捕虜に好意を抱いてしまうのはどこの世界でもあることながら、それで逃亡させてしまうことが、悲劇の結末をより鮮烈なものにさせてしまうわけで、そういうのをたぶん、物語の昂揚というんだろう。
紛争の是非ではなく、戦争の無益さと感情の愚かさ、そして紛争の町の奇妙さはよく描けてる。心の交流も静かな盛り上がりで、じつに見事だ。くりかえしになるけど、淡い恋と優しさの復活の後に、現実的な悲劇を予感させる終幕もまた見事だ。