△母べえ(2007年 日本 132分)
監督/山田洋次 音楽/富田勲
出演/吉永小百合 浅野忠信 檀れい 志田未来 坂東三津五郎 笹野高史 中村梅之助 大滝秀治
△わが青春に悔いなし山田版?
思想犯と呼ばれた人達の悲哀はわからなくもないし、なるほど野上家はそういうふうに生きてきたのかとおもえるし、晩年の黒澤明とかなり親密そうに見えた山田洋次が選ぶのもよくわかる内容だともおもうんだけど、でもな~なんで今の時代にこの物語なんだろうって素朴に感じちゃうんだけどね。
ていうか、このなんともいえない美しすぎる物語がどこまでほんとうの話なのかはわからないけど、書生が師の奥方に横恋慕して、鈍感さ故かあるいは感じとりながらも素知らぬふりをしてか、ともかくその好意を厚意として受けるという姿勢はどうよと。
もしも、あまりの鈍感さでもって自分に惚れている男の奉仕に対してなにも報いることなく受け続け、やがてなんだか悲劇を背負ったみたいにその死を受け止めるという女性像はありなんだろうかと。いやあ、それでいいのだといえる男は凄いとおもうんだけど、なんだか無法松のようでいてそうでないんだよね、これが。
われながら、ふしぎだ。