◎ビデオドローム(1983年 カナダ 89分)
原題/Videodrome
監督・脚本/デビッド・クローネンバーグ 音楽/ハワード・ショア
出演/ジェームズ・ウッズ デボラ・ハリー レスリー・カールソン
◎すべては過去の物
公開当時、ブラウン管もビデオもブロンディも過去の物になるとはおもいもよらなかったんだけど、当時、ぼくらにとってこの作品は今でいうカルト・ムービーだった。ブロンディのボーカルだったデボラ・ハリーが映画初出演ってのもあって、その魔力を秘めたような顔と演技がなんともいえず官能的だった。
まあおもってみれば、この作品からクローネンバーグに魅せられてしまったわけで、難解という言葉だけではやっぱり不十分で、官能的な難解さというのがやっぱりいちばんいい。
ビデオの世界に捕り込まれるというのは、つまり、ビデオそのものが人格をもってその精神世界を構築していて、そこへ現実の肉体を持った者をひきずりこんでしまうことができるようになってしまうわけで、魑魅魍魎の世界にもはやどうしようもなく惹かれてしまう人間の性っていうのはこういうもんなんだろうなって、単にそれだけのことなんだけれどもね。