◎愛のメモリー(1976年 アメリカ 98分)
原題 Obsession
監督 ブライアン・デ・パルマ
出演 クリフ・ロバートソン、ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド、ジョン・リスゴー
◎デパルマ初のワイドスクリーン
誘拐犯の登場と死体の行方、さらにはリスゴウとの妙に怪訝な友情が垣間見られる内に、佳境まで見通せてしまえるのは仕方ない。
しかし、そんなことは実はどうでもよくって、デ・パルマの映像への愛情を見つめなければどうにもならない。ヒッチコックの『めまい』の物真似だとかヌーヴェルバーグへのオマージュだとかなんだとかいわれるけど、批評家じゃないぼくにはそんなこともどうでもいい。要は、どれだけかっこいいワンカットを撮れるかってことで、ヒッチコックに似た映像と『めまい』と同じくバーナード・ハーマンを起用してるからって、批評がそちらに傾いてしまうのは、なんか嫌だな。
ということで、船から岸へ身代金のトランクを放り投げるカットと円形移動は正にデパルマ。好いね。